FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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亜留土乃湯
前書き
予想よりもストーリーの進行が早くて驚きを隠せないです。
原作今出てるところの話数的にはすでにおよそ半分になってます。
シリルside
ドラシールの街・・・というより、アルドロンがいた場所から東へ数キロ行ったところにあるドラミールという小さな町に俺たちは来ている。
なんでもここはアルドロンを監視するために政府によって作られた町なんだそうだ。だからアルドロンが動き出した途端に攻撃を仕掛けられたのだなと納得する。
アルドロンが崩壊した直後、たくさんの軍が現状把握のためにやってきたんだけど、俺たちはそれに気付かれないようにドラミールの町までやって来た。白魔導士とかドラシールでの俺たちの行動とか、突っ込まれると厄介だからね。
ちなみにここまで来てしまったギルドのみんなにはしっかりと事情を説明した。アルドロンや五神竜については契約上話すことができなかったけど、俺たちの今気にしているのは何よりもこの二人だろう。
「おい!!トウカの奴縛り付けておかなくていいのかよ」
「目ぇ覚ましたらまた魔力を抜かれちまうぜ」
俺たちの目の前にある二つのベッド。そこにはトウカ・・・エクシードの女の子と白魔導士が気を失うように眠りについている。
「たぶん大丈夫です。そう簡単に回復する魔力じゃないですから」
「目覚める気配もないしね」
「暴れたら俺がぶん殴る」
ナツさんはみんなが危険な目にあったことを相当怒っているらしく白魔導士をずっと睨み付けている。その間トウカと白魔導士の話しになっていたのだが、シャルルはトウカのことを疑問に思っているらしい。
「猫の国のエクシードじゃないんだよね?」
「間違いないわ。私たちの知らないエクシード」
「目ぇ覚ましたらその辺の話キッチリ聞かねぇとな」
「ナツさん、冷静に話し合いましょうね」
トウカは白魔導士に操られていただけだから悪くないはずなのに、ナツさんからすれば関係ないらしい。ただ、アルドロンとの戦いからすでに3日も経っているのに二人はいまだに目覚める気配がない。そのため俺たちは交代で見張りをしながら、久しぶりの仲間たちとの再会を祝っている。
「何はともあれ、異国の地での再会を祝して」
「「「「「乾杯!!」」」」」
まるでギルドに戻ってきたかのような安心感を感じるような騒がしさに俺たちは大盛り上がり。お店の人たちはすでに3日もこのどんちゃん騒ぎをしている俺たちを冷ややかな目で見ているけど気にしないで騒ぎ続けるのだった。
「何読んでるんですか?グレイさん」
宴会も終了し各々次の見張りまでの時間は自由に過ごしていいことになっている。ギルドの全員がいることもあり見張りになるまでは相当な時間があるため、俺は先ほどの会場で何やら読んでいるグレイさんの隣へと座る。
「あぁ、ちょっとな」
素っ気ない返事に何か隠し事があるのかと彼が目を通しているものを覗き込む。そこには色々なものが写っているが、どうやら女性向けのもののように見える。
「あれ?グレイさんもしかして・・・」
「あん?」
わざとらしく口に手を当てて半笑いをして見せると彼は不機嫌そうな表情でこちらを見る。それに臆することなく俺は続けた。
「ジュビアさんへのプレゼントですか?」
彼特有の照れ隠しが見れるかと思って問いかけた。意外とうぶなグレイさんへの普段おもちゃにされることが多い俺からのささやかな嫌がらせのつもりだったのだが・・・
「あぁ、そうだな」
ほのかに頬を赤くして答える彼に押し黙る。それは照れているというよりも想い人のことを考えてそうなっている、恋心を抱いている人の表情にしか見えなかったからだ。
「え?熱でもあるんですか?」
「おま・・・失礼だな」
俺の言葉に目を細めているグレイさんだけど、それも仕方がないことだと思う。だって彼とジュビアさんの恋愛は彼女からの一方通行と思われるようなほど、グレイさんはいかにも気にしてませんと装っていたのに、突然こんな発言が・・・しかも照れたような表情でされたらこんな言葉も出てきてしまう。
「俺も色々思うところがあるんだよ」
そう言ったグレイさんだったけど、その兆候は確かにあったかもしれない。テッカの街でジュビナさんにあった直後から少しずつ彼女を考えている時間が増えていたような気もするし、何かあったのかもしれない。
「グレイ様~」
「ん?」
すると、小さなものではあったがジュビアさんの声が聞こえたような気がする。しかし、周囲を見回しても彼女の姿がない。
「どうした?シリル」
「いや、ジュビアさんの声がしたような・・・」
「気のせいじゃないか?」
どうやらグレイさんは気付いていなかったらしく俺の反応が気になっているらしい。彼女の話をしていたから幻聴でも聞こえたのだろうか?姿も見えないしそう考えた方が自然かな?
「なんだ?ああああああ!?」
「きゃあああああ!!」
気を取り直して雑誌に目線を戻そうとした途端響き渡るグレイさんの悲鳴。それに重なってやっぱりジュビアさんのそれも聞こえたような気がしたのでそちらを見る。
「どうした?グレイ」
「何かありましたか?」
その声の大きさに近くにいたエルフマンさんも歩み寄ってくるが、するとグレイさんはまたしても絶叫したかと思うと、肩についていた何かを口へと吸い込んだ。
「ちょ!?・・・え?」
「お前今でけー虫みてーの食わなかったか?」
何が起きたのかわからず呆然としている俺と顔面蒼白になっているエルフマンさんだが、当の本人は汗を浮かべながら無言で腕組みをしており素知らぬ顔をしている。エルフマンさんの問いにもひたすら首を横に振るだけで、何をしているのか全く理解できない。
「シリル!!」
「ん?」
グレイさんのワイルドすぎる行動に呆然とする俺たちだっが、今度はウェンディの声が聞こえてきたのでその方向を見るが、そちらに彼女の姿はない。
「シリル!!ここ!!」
「こっちよシリル!!」
「気付いて~!!」
姿は見えないのに声だけは聞こえる。しかもシャルルとセシリーの声までするので、二人なら足元にいるかなと思って見ると、そこに確かに全員いた。めっちゃ小さくなっている三人が。
「・・・えぇぇぇぇぇぇ!?」
虫と勘違いされそうなほどに小さくなっている三人を見て声を上げずにはいられない。すると、俺の声に驚いたエルフマンさんが声をかけてくる。
「今度はシリルか?どうした?」
俺自身の叫びで先ほどのグレイさんの行動の意味が全て繋がった。彼は恐らく小さくなっている他の誰かを匿うためにその人を口に入れたんだろう。よく見たら三人ともバスタオルだし、それがほどけたりしたのかもしれない。
「なんでもないで~す」
三人を手の上に乗せると何事もなかったかのようにその場から走っていく。説明してもよかったけど、バスタオル姿の三人を見せるわけにはいかないと思った俺は人気のないところへと避難した。
「で?なんでこんなことになってるの?」
周囲に誰もいないのを確認して三人に問いかける。確か彼女たちは女性陣全員でお風呂に行っていたはず。まさか人を小さくする効能でもあるのだろうか?いや、それだったら誰も近付かないか。
「実はね・・・」
聞いた話によるとアルバレスにいたブランディッシュさんがここに来ていたらしく、ルーシィさんをふざけて小さくしたらしいんだけど、それに他の女性陣も乗っかって小さくしてもらいお風呂で遊んでいたらしい。
すると、気が付いた時には彼女の姿が見えなくなっており、元に戻ることができなくなっていたんだとか。
「あの人もここに来てたんだ」
「アイリーンさんと一緒に来てたのかな?」
彼女の目的を知らなかった俺たちはてっきりアイリーンさんと同じく評議院から頼まれたのかと思っていたけど、そんなことは今はどうでもいい。とりあえず彼女を探した方がいいのだろうか?
「どこに行ったとかわかんないの?」
「お風呂に入ってたから匂いも追えないし・・・」
ガッカリとした表情でそう言うウェンディ。ただでさえも小さくて可愛いのに、今のフィギュアサイズだとそれがより極まってしまうのがまたすごい。
「・・・」
「ちょっとシリル!!引っ張らないで!!」
「ハッ!?」
ウェンディの声によって正気を取り戻した俺は慌てて彼女のバスタオルから手を離す。よくフィギュアとかを入手するとスカートの中を見たりするあれで彼女のバスタオルを剥がしにかかってしまったことでお怒りモード。ただ、あまりにも小さな彼女の攻撃は通じるはずもなく、すぐに終了する。
「とりあえず、まだ近くにいるかもしれないし探しますか」
いまだに怒っている彼女を頭の上に乗せる。当然シャルルとセシリーもそこに乗せているが、三人も乗っているのにまるで重さを感じない。普段からセシリーたちはこのサイズでいてくれれば運ぶのが楽なのになぁ。
そんなことを考えながら建物内を探索しようとしたその時!!
ブワッ
頭上にとてつもないほどの重みを感じ、地面へと伏せる。
「ふぎゃっ!!」
「きゃっ!!」
どうやらウェンディたちの小さくなる魔法が解けたらしく、その重みに耐えきれずに潰れてしまった。
「あ!!元に戻った」
「よかった~」
猫の姿であるシャルルとセシリーはそれに安堵の表情を浮かべている。ただ、この中で確実に恥ずかしい思いをしている人物がいる。
「ひぃぃぃぃ」
俺の上に乗っかっているままなのも忘れて身体を隠すように腕をクロスしているウェンディ。それもそのはず、彼女はバスタオル一枚で人の多いこの場所にいるのだ。当然視線を集めることになってしまう。
「ここではやめてほしかったかな」
「見ないでよー!!」
すると至るところで小さくなっていた女性陣が元に戻っているらしく男性陣は歓喜の声を上げている。グレイさんの口の中から出てきたジュビアさんは誰よりも嬉しそうだったけど、今はそれどころじゃない。
「あの・・・ウェンディ」
「え?」
「早く退いてもらってもいい?」
彼女を頭の上に乗せていたことが災いしてしまい顔面から地面にめり込みそうになっている俺はやっとの想いでそう伝える。すると、彼女もようやく今の状況に気が付いたらしく、真っ赤な顔が真っ青になっていた。
「わっ!!ごめん!!大丈夫!?」
慌てて立ち上がったウェンディ。とりあえず額が痛いため身体を反転させて仰向けになる。
「うん。なんとか・・・」
そう言いかけて、俺は言葉を失った。真上には俺の顔を覗き込んでいるウェンディ。彼女はバスタオル一枚になっているわけで・・・
「どうした・・・の!?」
突然言葉を発しなくなった俺のことを不思議に思って顔を近付けようとした彼女は、俺が何を見ているのかを把握したらしく股間の辺りを抑えて顔を真っ赤にしている。
「忘れて!!今すぐ忘れて!!」
「いたたた!!ごめんってウェンディ!!」
顔を踏みつけて記憶の抹消を図ってくる少女。ラッキーににやけていたところだったが、かなり強めの蹴りを放ってくる少女にタジタジになっている俺は命の危険を感じたため転がるようにしてそれから逃げる。その間も彼女は追いかけてきたが、格好が格好だったため更衣室に置きっぱなしになっている服を俺が取りに行くことで妥協してくれたらしく、生き長らえることができたのだった。
プクー
「ごめんってウェンディ」
服へと着替えたウェンディはいまだに怒っているらしく頬を膨らませている。俺はなんとか機嫌を直してもらおうと奮闘しているが、彼女はそっぽを向いたままなかなかこちらを向いてくれない。
「すごい怒ってるわね」
「あらあら」
その様子をリサーナさんとミラさんが心配そうに見ている。いや、ミラさんはいつも通りのほんわかした感じで見守っているって言った方が正確か。
「不可抗力なんだし許してあげなさいよ」
「でもシリルじゃ狙ってやってそ~」
「コラ!!セシリー!!」
本当に不可抗力なのにセシリーのせいで余計なことをウェンディが考えてしまいそう。そんな感じで彼女を宥めていたところ、突然俺たちの身体が光り始める。
「え!?これは!?」
「シリル!?何これ!?」
「身体が光って・・・」
「どういうことなの~!?」
俺たち四人の身体が光ったかと思うと突然どこかに飛ばされたような感覚に襲われる。次に視界に入ってきたのは、どこかわからない屋外の・・・自然が広がる光景だった。
「どこだここは!?」
見覚えがあるようなないようなその場所を見渡していると聞き覚えのある声がする。そちらを見るとナツさんとエルザさん、それにグレイさんの姿があった。
「グレイさん!!」
「ナツさん!!」
「ウェンディとシリルもか!?」
周囲にいるのはこの面々のみ。他のギルドのみんなの姿はない。
「きゃあああああああ!!」
ここがどこなのかわからず困惑していると、突然ルーシィさんの悲鳴が聞こえてくる。
「ルーシィの声!!どうした!?」
「服が・・・服が消えちゃったのよぉ」
岩影に隠れて顔を赤くしているルーシィさん。何をどうしたらそんなことになるのかわからない俺たちだったが、ナツさんがそれが事実がどうか確認にいったのでそれだけは阻止しておくことにする。
「どうなってるの?てかここどこなの?」
「ふむ。私たちはドラミールにいたはずだが」
「どこかに飛ばされたのか?」
「なんか見覚えがあるような気もするんだけどなぁ」
星霊魔法も使えないとのことで彼女に羽織っていたジャケットを手渡すグレイさん。その間に俺たちはあることに気が付いた。
「いや・・・ちょっと待て!!俺も魔法が使えねぇ!!」
「私もだ」
「俺もです!!」
この場にいる全員が魔法を使えなくなっている。何がなんだかますますわからなくなっている俺たちだったが、それをさらに増幅させる存在が遠くから走ってきた。
「ママ?」
遠くからかけてくる小さな人影。するとその少女はルーシィさんへの前へとやってきて顔を覗き込んだ。
「ママ・・・だよね?あれ?」
「はいいいいい!?」
そう言ったのはマフラーをした桜色の髪の小さな女の子。ただでさえ混乱しているのにさらにそれに追い討ちをかける少女の登場に、俺たちはあたふたするしかなかった。
後書き
いかがだったでしょうか。
どこまで行くか迷いましたがシリルのラッキースケベができて満足したのでここで一度切ることにしました。
エドラス編はたぶん1話か2話くらいだと思うのでちゃっちゃっと進めていきたいところですね←投げやり
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