神々の塔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十六話 ローマの中でその六
「どちらかが死んだ時にな」
「わかるん?」
「若し相手が死んで」
そうなってというのだ。
「その死んだことを悲しんだり残念に思う人がおったら」
「その人が友達なん」
「そうちゃうか」
こう言うのだった。
「何故なら大事に思ってるから」
「死んで悲しんだり残念に思うね」
「会ったことあって付き合いあってもな」
それでもというのだ。
「何も思わん人やと死んでも何とも思わんやろ」
「そやね」
「会って付き合いもあるのは当然で」
友達という概念にはというのだ。
「そこからな」
「死んだ時に悲しいとか残念やと思う」
「その死をそう思う人がな」
「友達やねんね」
「生き残った人がそう思ったら」
「その人は友達なん」
「死んだ人はその人の友達やってん」
芥川は過去形で述べた。
「死んでその死について悲しいか残念に思うなら」
「それだけ大事に思ってるから」
「そや、それでな」
芥川は綾乃にさらに話した。
「死んだ人もその人が悲しんでるのをな」
「魂だけの状態で見て」
「生きてて悲しんだりしてる人が友達やてな」
「そうやね」
「わかるんちゃうか」
「それが友達なん」
「僕は最近そうも思うわ」
綾乃に考える顔のまま話した。
「どうもな」
「ううん、難しい考えやね」
「そうもであってこうした付き合いやとな」
「友達と言ってええんやね」
「普段はそう考えてるわ」
友達についてというのだ。
「僕は。けどな」
「そう考えることもやね」
「あるわ」
こう綾乃に言った。
「そんなこと親戚のおっちゃんに言われてな」
「その人ひょっとして」
「ああ、最近幼稚園からのお友達が亡くなって」
「それでやね」
「時々言うてるねん」
「友達ってそういうもんやて」
「それで僕もな」
芥川もというのだ。
「その考えをどうもやねん」
「否定出来へんねんやね」
「そうかもって考えて」
そうしてというのだ。
「時々でもな」
「最近考える時あるんやね」
「ああ、友達ってのはな」
「仲良くて一緒に遊んで」
「こうして助け合いもする」
「そんな間柄か」
「それはどうやろな」
自問自答する様に今の言葉を出した。
「ほんまな」
「それはわからんかもね、簡単には」
「若しくはその考えは一人ずつちゃうかもな」
友達とはどういったものか、そのことについてというのだ。
ページ上へ戻る