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X ーthe another storyー

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第十五話 仮住その十

「安いんですよ」
「それは知っているけれど」
「ですから尚更です」
 丁が出してくれるうえに安いからだというのだ。
「ご安心下さい」
「それならね」
「はい、では今から」
「あちらに行って」
「皆さんで楽しみましょう」
「それじゃあ」
 笑顔で話してだった。
 天の龍達もこの夜は外に食べに出た、そのうえで店に入ったがその入り口でだった。 
 空汰は遊人を見て驚いた顔で言った。
「ああ、遊人さんもでっか」
「空汰君もですね」
 遊人も驚いた顔で応えた。
「今日はですか」
「ここで食います」
「ということは」
 遊人は空汰と一緒にいる面子を見て言った。
「皆さんは」
「はい、天の龍です」
 征一狼が微笑んで答えた。
「僕は蒼軌征一狼といいます」
「鬼咒嵐よ」 
 次に嵐が名乗った。
「私も同じよ」
「猫依護刃です」
 護刃は微笑んで名乗った。
「宜しくお願いします」
「夏澄火煉よ」
 火煉は余裕のある笑みを見せて名乗った。
「覚えておいたら嬉しいわ」
「そうですか、僕は麒飼遊人です」
 遊人はいつもの穏和な笑顔で名乗った。
「地の龍の一人です」
「八頭司颯姫よ」
 颯姫の表情はいつも通りなかった、声の色もだった。
「私も同じよ」
「哪吒です」
 哪吒は真面目な調子だった。
「塔城霞月といいます」
「あれっ、貴方」
 護刃は哪吒を見て気付いた、そして颯姫も見て言った。
「クランプ学園で」
「はい、そちらに通っています」
「そういえば道で会ったわね」 
 颯姫も言ってきた。
「自転車に乗っている時に」
「犬鬼にも気付いてくれましたね」
「ええ、その子ね」
 今も護刃の傍にいる彼も見て応えた。
「覚えているわ」
「そうですか」
「そして私は庚というの」 
 庚は微笑んで名乗った。
「ここまでくればわかるわね」
「おひいさんの妹さんでっか」
「そうよ」
 まさにと言うのだった。
「私はね」
「そうでっか」
 空汰はその話を聞いて頷いた。
「ここまで来て察しがつきましたけど」
「ええ、そして地の龍を率いるね」
「そうした人でんな」
「私自身は地の龍でないけれど」 
 それでもというのだ。
「そうした立場よ」
「それで今はですか」
「ここで皆で食べるのよ」
 こう話したのだった。 
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