仮面ライダーファイズ 小さな星の話
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第二十六章
「俺達オルフェノクの時代のはじまりを告げるな」
「御前達ヲココデ倒ス」
レオもまた彼等を見下ろしていた。
「サア、死ネ」
「死ねと言われて死ぬ奴はいないんだよ」
乾はその圧倒的な数を前にしても態度を変えない。
「やってやる。どれだけいても同じだ!」
「数だけ揃えても意味ないんじゃないかな」
草加もそれに続く。
「質がなければな」
「そうだ、幾ら数がいても」
三原は少し怯えが見られるがそれでも逃げない。
「勝ってやる!」
「じゃあかなり辛いだろうけれど」
「やるか」
津上と葦原が辺りを見回して述べる。
「いいですね、氷川さん」
「アンノウンの時みたいに」
「ええ。では」
「ただ。八人ではないです」
ここで後ろから声がした。
「!?」
「誰だ」
八人の後ろから二十人程のG3Xに似た強化服の者達がやって来た。その先頭にいるのは。
「私ですよ」
「北條さん」
「氷川君、聞こえる!?」
ここで小沢から氷川に通信が入った。
「はい」
「今北條君とG5チームも到着したわ。そして」
「そして」
「私も」
「何っ、御前は」
「生きていたのか」
草加と三原が北條と共に姿を現わした一人の女を見て驚きの声をあげた。それは木村沙耶であった。彼女もまた蘇っていたのだ。
「ええ。黒い服の人に」
「そうか。やっぱりな」
草加は木村のその言葉を聞いて納得したように頷く。
「今は三原君がデルタなのね」
「ああ、悪いけれど使わせてもらってるよ」
「ええ、わかったわ」
三原の言葉ににこりと笑って答える。
「私は私の力で戦わせもらうから」
「それは一体」
「それは」
木村の目が白く光った。彼女はそのままオルフェノクに変身する。カメレオンオルフェノクであった。
「彼女のことは小沢さんから聞きましてね」
北條が八人に述べる。
「それで協力して頂いているんですよ。人間として」
「人間としてか」
「そうです、人間として」
乾に答える。
「乾巧君、君と同じようにですよ」
「俺のことを知っているのか」
「はい」
乾に対して頷く。
「そのうえで協力させて頂きます。宜しいですね」
「わかった。じゃあ頼む」
「沙耶、御前も」
「頼むぞ」
「ええ、わかったわ」
木村は草加と三原に応える。
「私も人間として」
八人ではなくなった。しかし村上もラッキーグローバーの面々もそれを見ても余裕の笑みを消してはいなかった。
「役者は多い方がいいのです」
それが村上の言葉であった。
「見栄えがしますからね」
「じゃあ皆」
北崎が周りのライオトルーパー達に声をかける。
「どうぞ」
「俺達はどするんだ?」
「慌てることはないわよ」
影山がジェイに述べる。
「ゆっくりとね。見物していればいいから」
「高みというわけか」
「そういうこと」
悪意のある笑みであった。その笑みは乾達に向けられている。
「じゃあ下がらせてもらう」
澤田は素直にその言葉に従う。
「楽しみは後に取っておきたいからな」
「待ッテイルゾ、乾巧」
レオは乾を見て笑みを浮かべている。挑発する笑みであった。
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