仮面ライダーファイズ 小さな星の話
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第二十四章
「素直にスマートブレインに乗り込んでも潰されるだけだ」
草加は言う。
「しかし動かないとどうにもならねえ」
乾はそこにジレンマを見ていた。
「どうすればいいんだよ」
「果たし状とかは?たっ君」
啓太郎は何かを思い出したように言ってきた。
「それだとさ。向こうをおびき寄せて」
「馬鹿、そんなのに乗るかよ、奴等が」
乾は呆れた声で啓太郎に返す。
「そんな簡単な相手ならこんなに困らねえだろ」
「そうか」
「そうだよ。しっかしなあ」
どうすればいいかわかりかねていた。話が詰まろうとしたところでふと阿部里奈が部屋に入って来た。
「また暫く見ないうちに大所帯になったわね」
彼女は部屋に入るとまずは乾達を見て述べた。
「あんたが生き返ったってのは真理から聞いたけれどね。まさかと思ったけれど」
次に草加を見て言う。
「長田さんはよかったけれどね」
「俺と随分態度が違うな」
里奈が長田に笑顔を向けたのを見て草加は憮然とした顔で呟く。
「まあ気にしないでね」
「ああ」
啓太郎にも応えるがそれでも釈然としない様子であった。その間に乾が里奈に声をかけていた。
「それで里奈」
「何?」
「その手に持ってるのは何だ?」
「ああ、これね」
見ればそれは一通の封筒であった。それを乾達に見せてきた。
「郵便箱に入っていたのよ」
「郵便箱にか」
「そうよ。差出人は・・・・・・えっ」
里奈は封筒の裏に書かれた名前を見て急に表情を変えた。
「何、これ」
「誰なんだ?スマートブレインからか?」
「そのまさかよ。村上峡児から」
里奈は驚いた顔でこう述べる。
「どうするの?」
「どうするのってよ」
乾も他の面々も驚きを隠せない顔で里奈に顔を向けていた。
「読んでみるしかねえだろ」
それが乾の答えであり他の面々の答えでもあった。
「何かわからねえけれどよ」
「そう。じゃあ」
「ああ」
乾が里奈から封筒を受け取った。その封をすぐに切る。
真理に啓太郎もやって来て手紙の中を見る。それは丁寧に手書きで書かれていた。書かれていることは一同が予想した通りであった。果たし状であった。
親愛なる乾巧様並びに私達の友人である方々へ
長きに渡って私達にお付き合いして下さっている皆様を我がスマートブレイン社が主催するパーティーに招待致します。場所は奇巌山。時間は二十三日の正午。お待ちしております。
村上峡児
レオ
影山冴子
北崎信也
ジェイ
澤田亜季
六人の連名であった。文章は簡潔であったがそれは明らかに果たし状であった。それもオルフェノクからの全面的な宣戦布告であった。
「向こうから来たな」
「ああ」
乾の言葉に葦原が頷く。
「まさかとは思ったけれどな」
「向こうから来ましたね」
氷川は三原の言葉に頷く。
「これは相当な催しになるんじゃないかな」
「けれどこれで動いたな」
草加に津上が述べる。
「それでどうするの?皆」
「決まっています」
長田が真理に答える。
「というとまさか」
「おいおい、御前が今言ったんじゃないか」
海堂は啓太郎に突っ込みを入れた。
「行く」
乾は一言で終わらせた。
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