仮面ライダーファイズ 小さな星の話
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第二十三章
「サイガの力も使えるし。何よりも雰囲気がいいわ」
「彼等の墓標としては上の上ですね」
「何ニシロ戦エル場所ナノハイイ」
レオも異存はないようであった。
「ファイズ、今度コソ倒ス」
「僕は楽しいんなら何処でもいいよ」
北崎の願いはそれだけであった。他には何も考えてはいないし望んでもいないようである。
「それだけ」
「俺もだな」
ジェイはクールなまま言った。
「どちらにしろだ。ファイズ達を倒さなければならないのならそれに適した場所でいい」
「俺も同じだ」
澤田は別に何処でもよかった。
「あいつ等の死に場所に相応しいのならな」
「ではこれで決まりね」
影山が話を纏めてきた。彼等の話はこれで決まった。
「奇巌山でね。いいわね」
「では今宵は我々の勝利に対して」
「乾杯だね
北崎が村上の言葉に応える。こうしてスマートブレインはライダー達を迎え撃つ準備に入ったのであった。村上の目には秘策が宿っていた。
スマートブレインが戦いの準備を進めている頃乾達は自分達の傷を癒していた。
オルフェノクになった者かその因子を持つ者達であるからその回復は早い。しかし彼等はその中で浮かない顔をしていたのであった。
「ラッキーグローバーが全員復活か」
乾は啓太郎の家の中でソファーに身体を沈めていた。浮かない顔で呟いている。
「しかも新しいライダーまでいるとはな」
「最初に戻っただけだろ」
向かい側に座る草加がそれに返す。紅茶を飲みながら言う。
「そうじゃないかな」
「簡単に言ってくれるな、また」
海堂がそれを聞いて呆れたように言葉を返す。
「相手にするにはこの上なく厄介だろうが」
「そうですよね」
彼の言葉に長田が頷く。
「相手は全部で六人。あの村上峡児もいて」
「他にもオルフェノクがいるな」
三原はそこに気付いた。
「王が復活しているのならそれだけでかなりの数だろうな」
「それに対してこちらは八人です」
氷川が述べてきた。彼等もソファーに座っている。乾と海堂、長田、津上が一方にいて草加、三原、氷川、葦原がもう一方にいる。真理や啓太郎は少し離れた場所でそれぞれ椅子に座って話を聞いている。
「どれだけの数なら相手になるか」
「スマートブレインって大企業だったよな」
葦原がふと言う。
「そいつ等全員がオルフェノクだとしたら」
「絶望的、でもないか」
津上はあえて笑って述べた。
「一万とかそんな数じゃないし」
「あるよね、多分」
「そうだろうね」
しかし真理と啓太郎がここで言う。
「スマートブレインもかなり数が減ったけれど」
「いるよね、まだそれだけ。それに復活したのとか」
「マジ!?」
「マジって御前」
乾が津上に突っ込みを入れる。
「そんなことも考えていなかったのか!?」
「いや、何て言うかそこまではさ」
苦笑いを浮かべて乾の方を見てきた。
「やっぱり」
「馬鹿かよ。しかも奴等の王がいるんだぞ」
「王様がか」
「ああ、そいつも倒さなきゃいけないんだぞ」
「また随分念入りだな」
流石に津上もかなり厄介なのがわかった。
「何重にもなっている感じだな」
「そうだな。しかし王まで倒さないといけない」
乾は言う。
「それをどうするかなんだ」
「居場所はわかっているのか?」
葦原がそれを問うてきた。
「ああ、ある程度はな」
三原が答える。
「スマートブレイン本社だ」
「じゃあそこにすぐにでも乗り込んで」
「向こうが何の備えもしていなければな」
氷川を止める形で草加が呟く。
「けれどよ。そんなこと言っても結局は何にもならねえつうんだよな」
「やっぱり動かないといけませんか」
海堂と長田はそれぞれ対照的な動きを見せていた。海堂は顔を上げており長田は俯いている。しかし二人共悩んでいるのはわかる。
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