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X ーthe another storyー

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第十五話 仮住その九

「あらためてです」
「絆を固める時ね」
「そしてこれからも」
「ずっとね」
「絆を維持するべきなので」
「仕方ないわね、では今はね」
 火煉は嵐からも聞いて言った。
「私達でね」
「行きますね」
「そうしましょう」
「焼肉いいですよね」
 護刃は無意識のうちの猫の耳を出して話していた。
「私も好きです」
「そうなのね」
「はい、何でも好きですが」
 食べものはというのだ。
「焼肉もです」
「それはいいことね、ではね」
「今夜はですね」
「好きなだけ食べてね」
「そうさせてもらっていいんですね」
「ええ、お金はあるわ」 
 これはというのだ。
「実は私もお金に困ってないの」
「そうなんですか」
「以前ホステスとかをしていると言ったわね」
「今はシスターさんですね」
「元々神父様にお世話になっていて」
 それでというのだ。
「学校を卒業してね」
「そうしたお仕事をされていたんですね」
「その時に随分働きを認められて」
 そうしてというのだ。
「結構なお金があるから」
「それで、ですか」
「お金はね」
 今夜のそれはというのだ。
「心配しないで」
「そうなんですか」
「ええ、そうよ」
「それはええんですけど」
 空汰は火煉の話を聞いて彼女にどうかという顔で問うた。
「あの、ホステスって」
「ええ、お客様にね」
「貢がせることも」
「そんなことはしないわ」
 火煉は微笑んで答えた。
「私はね」
「じゃあ普通にですか」
「それで無理している人からのお金やものもね」
「受け取らへんかったんですか」
「人から巻き上げることは好きじゃないから」
 だからだというのだ。
「絶対にね」
「そうしたことはでっか」
「しなかったわ、困っていない人が見返りなしにくれるなら」
 それならというのだ。
「受け取っていたけれど」
「そうしたお金で、ですか」
「実はお家も建てたし貯金もね」
 こちらもというのだ。
「一生困らないだけあるのよ」
「そうなんでっか」
「だからね」
 それでというのだ。
「心配しないでね」
「お金のことは」
「全くね」
「あっ、実はです」
 征一狼が笑顔で言ってきた。
「今回のお金も丁様からです」
「あの方からなの」
「出ていまして」
 それでというのだ。
「安心して下さい」
「そうなのね」
「はい、それに食べ放題飲み放題ですと」
 それで楽しむと、というのだ。 
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