仮面ライダーファイズ 小さな星の話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十章
「俺はスマートブレインとは手を組まない。あいつ等だけは倒す」
「じゃあ草加さんも」
「そうだ、前と同じだ」
啓太郎にも言う。
「俺は奴等と戦う。それだけだ」
「そうか」
「ああ」
オルフェノクになったとしてもそれは変わらなかった。草加は今それをはっきりと言うのであった。こうして彼も戦いの中に戻ることとなった。
戦士達が集まる。その中で啓太郎と長田はデートをすることになった。
「お待たせしました」
「いや、どうも」
啓太郎は笑顔で着飾った長田と待ち合わせの木の下で合っていた。にこりと笑う彼女を見てやけに嬉しそうである。
「やっと約束果たせますね」
「そうですね。もう駄目かと思っていました」
啓太郎はでれでれとした顔で述べる。
「まさか結花さんと一緒にまた歩けるなんて」
「私もです。啓太郎さんと一緒になんて」
結花はにこりと笑って自分の右手を啓太郎の左手に絡ませてきた。仲のいい感じであった。それがはっきりとわかる。
長田の服は彼女によく似合う白いコートとセーター、それにクリーム色のロングスカートであった。彼女はこうした服装がよく似合うのであった。
その服で啓太郎と並んで歩く。そして歩きはじめた。
「今まで色々とありましたよね」
「そうですね」
長田は啓太郎の言葉に頷いた。
「昨日は特に。あの、木場さんですけれど」
「木場さんなら大丈夫です」
長田は沿う啓太郎に返す。
「大丈夫なんですか?」
「はい」
「本当ですかね」
啓太郎はそれを聞いても半信半疑であった。どうにも首を傾げてしまっている。
「木場さんも随分悩んで一回死んだり。何かとありましたから」
「ええ。けれど木場さんはわかっていますから」
長田はまた言う。
「人間のことが。だから」
顔は少し俯いていた。それでも言葉ははっきりとしていた。
「戻ってきます。嘘は言わない人ですし」
「そうですよね。あの人は純真過ぎるから」
「ええ。そうですよね」
啓太郎のその言葉に頷く。
「だからああして。私のことでも」
「これからどうします?」
啓太郎はそう長田に問うてきた。
「これからって?」
「いえ、結花さんは。どうしますか?」
「私は同じです」
それが長田の答えであった。それは変わりはしなかった。
「人間として。生きます」
「そうですか」
「はい。だから啓太郎さんともこうして」
そして啓太郎に顔を向けてきた。
「一緒に」
「じゃあこれからもこうして」
「はい、一緒に」
二人はにこやかにデートを楽しんでいた。その間に二人はある男とすれ違った。だがお互いそれには気付かなかった。
「随分リキついたじゃねえか」
「は、はい」
眼鏡をかけた男が随分いかつい感じの男に引き摺られていた。琢磨逸郎であった。かつてはセンチピードオルフェノクとしてラッキグローバーの一員でもあった男だ。しかし長田も琢磨もお互いには気付かなかったのだ。そしていかつい男と話をしていた。
「いいか、何か自分を嫌う奴がいるだろ」
「はあ」
琢磨は男の話を聞いている。聞くだけであった。
「それがいいんだよ、面白いだろ」
「面白いですか?」
「嫌われるのも人間は華なんだ」
随分独自の論理を展開している。かなり偽悪者な人物のようだ。
「わかったな」
「何かはじめて聞きました」
「そうだろ、俺の持論だからな」
胸を張って語っている。
ページ上へ戻る