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イベリス

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第九十六話 お盆になりその四

「そうよ、だから今年のお盆はね」
「お父さんの実家にもお母さんの実家にも」
「帰ってね」
 そうしてというのだ。
「法事をしてその後のね」
「宴会ね」
「それをするわよ」
「そうするのね」
「それでいいわね」
「ええ、宴会は大好きだしね」 
 咲はこれはいいと笑顔で答えた。
「それじゃあね」
「お盆に行くわよ」
「どちらも」
「二日連続になるわ」
「忙しいわね」
「忙しくてもどっちも夕方までには帰ってるわよ」
 家にというのだ。
「行き来もすぐだし」
「疲れないのね」
「実際あんたも疲れたことないでしょ」
「ええ、そんな記憶ないわ」
 実際にとだ、咲も答えた。
「お父さんとお母さんの実家に帰っても疲れたなんて」
「そうでしょ、だったらね」
「日帰りで二日連続で出て」
「やっていくわよ」
「わかったわ、あと少しね」
「お盆までね、あとね」
 こうもだ、母は話した。
「愛ちゃんも来るけれどね」
「お父さんの実家の方にね」
「愛ちゃんも法事の時は大人しい恰好だからね」
「お姉ちゃんもわかってるから」
 愛のことになるとだ、咲は庇う様に言うが今回もだった。自分によくしてくれて慕っている相手だからこそだった。
「その辺りはね」
「考えてみればそうよね」
「だから安心してよ」
 従姉である彼女のことはというのだ。
「別によ」
「おかしなことにはならないわね」
「そうよ」
 絶対にというのだ。
「大人しい恰好で来てくれるから」
「そうね、じゃああの娘のことも安心して」
 母は笑顔で話した。
「行きましょう」
「それじゃあね」
 咲は笑顔で頷いた、そして法事を待つが。
 母と話した後に愛と携帯で法事の話をするとこう言われた。
「法事とかお墓参りはね」
「しないと駄目なの」
「そうよ、こうしたことを続けたら」
 それならというのだ。
「ご先祖様が喜んでくれるからね」
「いいのね」
「そうよ、しっかりとやって」
 法事や墓参りをというのだ。
「続けていくことよ」
「そのことが大事ね」
「ええ、それで私も毎年出てるのよ」
「お姉ちゃんもその辺りしっかり考えてるのね」
「ご先祖様あっての私達だからね」
 携帯の向こうの咲に話した。
「ご先祖様がいたから私達もね」
「今いるっていうのね」
「そうよ、子孫が続いているのよ」
「それで大事にしないといけないのね」
「人間って一人で生きているかというと」 
 咲に真剣な声で話した。
「やっぱりね」
「違うのね」
「そう、人間は」 
 まさにというのだ。 
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