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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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最強の存在

 
前書き
スマホ変えたらデータ移行するのに時間かかりすぎてやる気が削がれてしまった件について。 

 
第三者side

「うあ!!」
「カナさん!!」

シリルたちがティオスになったウルフェンと対峙している頃、他のところでも大量のウルフェンが発生していた。

「読んだぞ、お前がもっとも強大だと思う者の力を」

それと共に変化していく木の人間。そこから現れたのは、心を読まれたカナの父であるギルダーツだった。

「ギルダーツ!?」
「なんで親父の姿に!?」

ギルダーツの姿になった敵を見て困惑していると、彼が使う魔法と同じ魔法で攻撃してきたことにさらに驚かされる。さらにはその木の人間が大量に現れているため、彼らはそれらに捕まらないように逃げていた。

















シリルside

俺たちを見据えているティオスは余裕の現れなのか、顎を擦りながら周囲を見回している。

「残念だけど、お前たちじゃ相手にならないなぁ」

その挑発を受けて真っ先に動いたのはナツさん。彼は炎を両腕に纏わせると一直線に突進していく。

「そう言ってられるのも今だけだぁ!!」

以前よりも魔力が上がっている・・・いや、どこか炎の質が違う彼の拳。威力も今までの彼を遥かに越えているはずのそれを、ティオスは片手で受け止めた。

「へぇ、やるじゃん」

そう言って彼は掴んだ青年を投げ飛ばす。その際彼の足元に注意が向いていないのを俺は見逃さなかった。

「水竜の・・・」

気付かれないように足元へと入り込んだ俺は口に魔力を溜める。ナツさんに視線が向いていたおかげで俺への警戒は皆無。それを利用して攻撃に出たが・・・

「見えてるよ、シリル」
「!!」

気が付いていないと思っていたその目は確実に俺のことを捉えていた。しかし相手は攻撃の体勢に入っていない。それなら俺の方が先に決まるはず。

「咆---」
「ほっ」

そう思いそのままブレスを放とうとしたが、彼の蹴りが顎に直撃し魔法を発動することができなかった。さらに隙ができた俺に対し、ティオスは追撃の回し蹴りを放ってくる。

「がっ!!」
「シリル!!」
「来るな!!」

相変わらずの動きの速さによって蹴り飛ばされた俺は地面を転がる。ウェンディが心配してこちらに駆け寄って来ようとするが、それを制止する。

「ウェンディは先に行ってて」
「でも・・・」
「すぐ追いかけるから」

本当は体力がほとんど残ってないウェンディに白魔導士を任せるのは大変だとは思うけど、ここもいつまで持つかわからないし、セシリーたちの体力が戻ったら(エーラ)を使って逃げてもらえばなんとかできるはず。それを理解してくれたのか、彼女は白魔導士を背負ってこの場から逃げていく。

「相変わらず優しいねぇ、それがお前の弱さなんだけどな」
「そんな弱い奴に負けたのはどこのどいつだよ」
「あ?」

意外なことにこちらの挑発に乗ってきたティオスは完全に目付きが変わった。そしてそんな時彼は・・・いや、レオンと俺ならできるだけ相手にダメージを負わせるために高い威力の攻撃を仕掛けるはず。

「炎竜王の・・・」

そしてそうなれば当然魔力が溜まるのに時間のかかる。その間に死角からナツさんが仕掛ける。

「崩拳!!」

振り下ろされた拳。これも以前ティオスと対峙した時よりも威力が上がっている。そして彼はナツさんに気が付いていないのか反応できていない。この一撃は完全に決まった。

「と思うじゃん?」

すると彼は攻撃が当たる寸前で身体を反転させてそれを交わすと、地面にナツさんの拳が突き刺さったところを見計らい踵落としをその頭へと叩き込む。

「がはっ」
「ナツさん!!」

地面と彼の足業の板挟み状態になってしまったナツさんは意識を失っておりピクリともしない。それを見たティオスは笑みを浮かべると、俺の方へと視線を向ける。

「何が上等だよ、全然成長できてないじゃん」

肩をすくめやれやれといったジェスチャーをわざとらしくするティオス。あくまで余裕を見せる彼に、俺は額から流れるものを拭うことすらできなかった。
















第三者side

「なんて数だ!!」
「倒しても倒しても地面から生えてくる!!」

その頃別の街にいたグレイたちも大量発生しているウルフェンの猛攻に手を焼いていた。

水流斬破(ウォータースライサー)!!」

頭を掴まれると自身の考えるもっとも強い存在が具現化されることもあり近付かせないように動いている面々。そのうちの一人、ジュビアが戦っている姿を見てカナがあることに気が付いた。

「そうだ!!ジュビアが魔法を使えるようになったってことは・・・」
「他のみんなも!!」
「よし!!みんなをカードから出せ!!ただ・・・じーさんはそのままにしとくぞ!!戦える身体じゃねーし」
「OK!!」

カナの魔法により白魔導士に操られていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々をカードへと納めていた彼らは、その魔法が解けたこともありすぐに全員をその場へと召喚する。カードから出てきたメンバーたちは白滅(ホワイトアウト)の影響により記憶が混濁しているようで、何が起きているのかわからない様子。

「ルーシィ姉!!一体何事!?」
「説明は後!!今は手を貸してくれる!?」

状況がわからない彼らに迫ってくる木の人間たち。それを見てほとんどのメンバーが戦いていたが、腕を鉄へと変えてそれを一掃した青年は満面の笑みを見せていた。

「ようするに一暴れすりゃいいんだな?」
「思いっきりお願いします!!ガジルくん!!」

先陣を切った鉄竜のおかげで全員がすぐに戦いへと赴く。その様子を上から見下ろしている人物が一人。

「ルーシィも来てるのね、メンドくさい」

口ではそう言っている彼女だが、視界の真ん中に捉えている金髪の少女を見るその顔は笑みを抑えられずにいる。本来ならすぐにでも手を貸そうと考えていたのだが、彼女はそれをしようとはしなかった。

「店員はどこにいるのかしら」

目の前にあるパフェを口へと運びながら人影がなくなった店内を見ている女性。ただ、彼女は諦めたのか、今あるパフェを味わうことにしたようで食べる速度がゆっくりになっていた。
















ウェンディside

街の外へと向かっている私たち。遠くの方では至るところで戦っている音が聞こえてきますが、運がいいのか私たちのところには一切敵が現れていません。

「他のみんなは無事なのかな~?」
「マックスたちが心配ね」
「でもそっちまで行く余裕はないよ」

繭に掴まっているマックスさんたちが意識を取り戻せているかはわかりません。ただ、メストさんが瞬間移動(ダイレクトライン)で皆さんを集めていくれているはずなので、それを信じていましょう。

「シリルとナツさん、大丈夫かな」

後ろで戦っている二人のことが心配で思わずそちらに顔を向けます。その際地面にできた亀裂に足を取られてしまい転倒しそうになります。

「キャッ」
「ちょっと、大丈夫?」
「うん、ごめん」

私と同じくらいの背丈の白魔導士さんを背中に背負っているため足が重くなってきました。でも、二人が追い付いてきてくれることを信じてここは急ぐしかありません。

ドォンッ

すると、後ろから爆発音が聞こえ足を止めて振り返ります。その方向はシリルたちが戦っていると思われるところ。

「二人でも大丈夫なの?あいつ相手に」
「でも、僕たちがいたら邪魔になっちゃうよ~」
「そうだけど・・・」

シャルルも相当心配なようで納得いかないといった顔をしています。でも、今の私たちじゃ手伝いするのともできません。

「早くいこ、シャルル、セシリー、ハッピー」

不安で仕方がありませんが、私は今は少しでも早くここから脱出することが最優先だと思い、すぐに歩き出します。

「それに、シリルとナツさんなら大丈夫だよね」

思わずそんな声が漏れました。でも、この気持ちは決して間違いではないはず。あの二人ならいつだって私たちの希望を叶えてくれたんだから。そう自分に言い聞かせながら、私は懸命に重たくなっていく足を前へ前へと運んでいきました。


















シリルside

ドォンッ

ティオスの冷気を纏った拳を間一髪で回避する。それは建物を無慈悲にも粉々にしていたが、ギリギリで回避することができたのは大きい。

「もっと速度を・・・上げる!!」

ドラゴンフォースを解放して加速した俺は身体に回転を加えながら相手へと接近する。

「水竜の剱角!!」

この一撃は完全に彼の腹部を捉えた。ティオスは踏み留まって倒れることだけは避けるが、次に動き出せるような体勢ではない。

「水竜の・・・鉄拳!!」

続けざまに拳をその頬に突き刺す。それにより彼は地面を転がるが、すぐに起き上がりこちらへと視線を向けている。

「氷神の怒号!!」

至近距離でのブレス。これを受けるわけにはいかないが、攻撃の直後だったこともあり反応が追い付かない。おまけにこいつの攻撃は高火力で広範囲。避けるのともできずあっさり飲み込まれてしまう。

「ゴホッゴホッ」

いくつもの建物を破壊してようやく止まったが身体の至るところに激痛が走りまともに息ができずに咳き込む。

「そぉれ」

そんな俺の背中に飛び蹴りを咬ましてくるティオス。防御の姿勢も取れなかった俺は地面へと叩き付けられ、彼の足蹴にされている。

「残念だったな、これだけの魔力を持つ者を思い浮かべたお前の負けだ」

俺のことを踏みつけているティオスは笑みを浮かべながらそう呟く。いや、実際中身は違うんだろうけど、しゃべり方も俺の記憶の中から持ってきているからかあいつを思い出してしまう。

「ゴッドシードの一人としてまずは貴様を排除する」
「一人?」

真上にいるそいつの言葉に引っ掛かりを覚えて問いかけるが、彼はそれに答えることなく足を振り上げる。

「アルドロンの一部にならなかった者よ、後悔しながら死んでいけ」

絶望的な力の差を見せつけられた俺は思わず手を強く握り締めた。強くなったと思っていたのにそれは全くの思い違いだったこと。そしていまだにこいつを越えることができないこと。何を考えてももう意味もないのに、その事が頭の中から離れない。

そして後悔に包まれた俺の頭部目掛けてティオスの足は振り下ろされる。

「え・・・」

トドメを刺されると思っていたその一撃は、俺の頭の真横の地面へと突き刺さっている。

「外した?いや・・・」

意味がわからず視線を上げると俺のことを守るように足を出している黒装束の人物が目に入る。

「やれやれ。手間のかかることだ」

そう言った長身の人物は出していた右足を左足の横へと置くとティオスと対峙するように身体を向ける。

「なんだ?お前」

どうやら彼の蹴りによってティオスの攻撃は本来の軌道から外れ地面へと突き刺さったらしい。自身の踵落としをあっさりと退けた人物に対し、彼は目を細める。

「この匂い・・・やっぱり・・・」

この間評議院にいった時に感じた匂い。微かなものだったから気のせいかとも思ったけど、この人が近くに来たらすぐに誰かわかる懐かしい匂い。

「笑わせるなよ・・・」

俺に跨がる格好になっているティオスの腹部に目にも止まらぬ蹴りをその人は放った。それに反応することもできなかった彼は驚愕の表情を見せている。

「なっ・・・」

どれだけの人間が束になっても勝つことができないほどの魔力を持っているはずのティオス。そんな存在になっているはずなのに今の一撃に反応することすらできなかったことが彼からすれば不思議で仕方がなかった。

「その程度の魔力で・・・」

魔力を一切感じさせない黒装束の人物。その人物が顔を隠す布をさらに目深く被り直したことに、腹を立てたティオスは魔力を高めて突進する。

「ゴッドシードに抗うか!!」

神と称されるドラゴンの一部であるためか、ただの人間に一撃を受けたことが相当刺激になったようで怒り心頭で突進する彼を、その人は俺の前に立ち受け止めると、そのまま逃げられないように抱え込む。

「せっかくお前とやれると思っていたのに、がっかりだ」

そのまま後方へとジャンプした彼はバックドロップで相手を地面へと叩き付ける。それも全体重を乗せたその一撃はあまりにも重たく、ティオスはすぐに起き上がることができない。
それに対し起き上がったその人は、余裕綽々だった。そして今の攻撃で顔を隠していた布が落ちてしまい、姿を現したその人物を見て背筋が凍るのを感じつつも、どこか安堵したのを良く覚えてる。

「この程度でティオスだと?笑わせるなよ」

天下無双天海。冷たい眼差しで大の字になっている存在を見ながら彼はそう言い放った彼を見て俺は思わず笑みを浮かべてしまったのだった。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
本当は天海が顔を出すのはもっと先になる予定だったんですがやりたいことが出てきたので早めにシリルにだけは存在を示すことにしました。
そして最近原作頼りになっていたせいでオリジナル要素強くなると話が短くなる・・・次からは何とかします・・・たぶん。 
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