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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十九話 群雄、戦を終わらせるのことその十一

「なら今何処にいやがる」
「姿を見せることだ」
「ええ、ここよ」
 そして実際にだ。司馬尉の声がしてきた。
 見ればだ。司馬尉はだ。まだ立っていた。
 しかし満身創痍であり全身ズタズタになりだ。左手の傷を右手で押さえながらだ。
 何とかといった感じで立っていてだ。こう言うのだった。
「ただ。もうね」
「戦えないのだ?」
「そうよ」
 こう張飛達に答えたのである。
「私ももう限界よ」
「では我等の勝利か」
「そうなるわね。私の九つの命も尽きたわ」
 今の戦いでだ。そうなったというのだ。
「こうなってはもう諦めるしかないわね」
「ではそのまま倒れるのだな」
 趙雲はその司馬尉にクールに告げた。
「最早戦いは終わった。それではだ」
「そうさせてもらうわ。残念だけれどね」
「九頭の九尾の狐かよ」
 馬超は司馬尉そのものについて言及した。
「とんでもない力だったな」
「そうね。けれど私達はその狐にね」
 黄忠は感慨と共に述べた。
「勝てたのね」
「そして世界は救われた」
 関羽は感慨と共に言った。
「よかった、本当にな」
「この世界は。貴女達のものになったわ」
 司馬尉はこのうえない無念さを込めてその関羽に述べた。
「こうなってはどうしようもないわ」
「では介錯か」
 関羽はその得物を手に一歩前に出た。
「それは私が務めよう」
「その必要はないわ」
「ではそのまま死ぬのか」
「死ぬ時に誰の世話にもならないわ」
 だからだというのだった。
「貴女が気にかけることではないわ」
「そうか、それならな」
「妹達も既に倒れているわ」
 司馬尉もまた、だ。このことを感じ取っていた。
 それでだ。最期の微笑みを浮かべ言ったのだった。
 
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