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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十九話 群雄、戦を終わらせるのことその六

「俺が勝ってな」
「奢らないことだな。それは俺の台詞だ」
「どうだろうな」
「何にしてももう因果は消えたわ」
 二人の間にあるものを見てだ。神楽はもう入ろうとはしなかった。
 だがそれでもだ。このことは言うのだった。
「それならね」
「ああ、また別の奴等との戦いはあるにしてもな」
「俺は俺のやるべきことを果たさせてもらう」
 二人はこう応えた。そうしてだった。
 今はオロチとの戦いが遂に終わったことを実感していた。二千年に渡る戦いがだ。
 馬岱がだ。司馬師と司馬昭に言っていた。
「中々しぶといわね」
「当然よ。私達にもね」
「やるべきことがあるから」
 こう返す二人だった。そしてだ。
 その両手に黒い気を帯びさせてだ。それを周囲に乱れ飛ばす。その激しい攻撃を繰り出してだ。
 二人はだ。こうも言ったのだった。
「さあ、この私達をね」
「一体どうして倒すのかしら」
「ふん、言うのう」
 そう言われてもだ。厳顔はだ。
 余裕のある笑みを浮かべてだ。こう言うだけだった。
「その程度の攻撃でわし等に勝つというのか」
「何っ、私達の妖気を見ても」
「まだそう言えるというの?」
「わし一人なら御主等一人の相手もできん」
 それは無理だとだ。厳顔もわかっていた。
 しかしだ。彼女がわかっていることはそれだけではなかった。そのことも言うのだった。
「しかし今は皆がおる」
「そうだ、私もだ!」
「蒲公英もいるんだから!」
 こうだ。魏延と馬岱が名乗る。そしてだ。
 袁術の家臣である紀霊と楽就もだ。それぞれ得物を構えて言う。
「私達もだ!」
「ここにいる!」
 こう名乗りを挙げてだ。二人を囲んでいるのだった。
 そしてだった。そこにさらにだった。
 呂蒙とだ。周瑜の軍師二人が来た。しかしだ。
 周瑜はその手に鞭を持ちだ。呂蒙も身構えている。それを見てだ。
 司馬師と司馬昭はだ。こう言うのだった。
「二人共只の軍師ではないわね」
「どうやら」
「私とて戦の場では常に己も戦っている」
 まずは周瑜が言う。
「そしてだ」
「私もかつては孫家の親衛隊にいた者」
 そうだったというのだ。呂蒙もだ。
「そして暗器も使えます」
「その我等も御主達と戦おう」
「そして倒します!」
 二人の言葉を聞いた司馬姉妹はだ。少し侮蔑した笑みになりだ。
 そのうえでだ。彼女達に問い返したのだった。
「軍師の仕事はいいのかしら」
「それを放り出したのではないようだけれど」
「安心しろ。そちらは穏に任せた」
「あの人なら大丈夫です」
 そしてだ。実際に前線ではだ。陸遜が穏やかな調子で孫策達に話していた。
「はい、このままです」
「敵を囲んでね」
「そうして攻めるのじゃな」
「はい、それでお願いします」
 こうだ。孫策と黄蓋に策を述べる陸遜だった。
「戦いはもうすぐ終わりますので」
「そうね。敵将もかなり倒れたし」
 孫権は戦局を見つつ陸遜に返した。
「それならね。気合を入れなおして」
「気を抜かないでお願いします」
 陸遜は口調も表情もおっとりとしている。しかしだった。
 戦局全体を見てだ。主達に述べていた。
「そしてそれは戦が終わってからもです」
「わかってるわ。勝って兜の緒を締めろね」
「その通りです」
 こう話してだ。彼女は軍師としての務めを果たすのだった。
 このことを知っているからこそだ。周瑜も呂蒙も安心してだ。司馬姉と対峙できていたのだ。
 その対峙の中でだ。周瑜は厳顔に言った。
「厳顔殿、いいか」
「うむ、何じゃ」
「囲むのは止めるべきだ」
 今の包囲をだ。解くべきだというのだ。
 
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