恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十九話 群雄、戦を終わらせるのことその四
その右手をだ。下から上に振りだ。炎を出した。
だがその炎は青ではなかった。赤い炎だ。その炎をゲーニッツに向けて放ってからだ。
こうだ。彼に言ったのだった。
「俺は貴様を倒す。そしてつまらん因果を終わらせる」
「自由になりたいのですか?」
「自由?違うな」
それとはまただ。違うというのだ。
「俺は俺を縛る貴様を倒すだけだ」
「それだけですか」
「そうだ。それだけだ」
こう言うのだった。
「貴様を倒してだ」
「そう言われますか」
「少なくともな!」
草薙は突進する。その両手に炎を宿らせてだ。
そうしてゲーニッツの腹や胸に連続して攻撃を浴びせる。そうしながらだ。
ゲーニッツにだ。こう言うのだった。
「俺達は手前の好きなようにはさせねえ!ここで倒してやる!」
「人間が神をですか」
「神だからっていってもな!」
ゲーニッツは既にオロチと完全に一つになっていた。人格もだ。
その彼に荒咬み等を浴びせつつだ。草薙はゲーニッツに対していた。
「この世界を好きな様にはさせねえんだよ!」
「世界を好きな様にしようとしているのは人間ではないのですか?」
「だからなんだな」
「はい、私は人を滅ぼします」
その考えをだ。ゲーニッツは言った。
「文明なるものに染まった人をです」
「それが世界を好きなようにするからか」
「人は過ちを犯しました」
あくまでだ。オロチからの視点での言葉だった。
「文明を手に入れ奢り昂ぶり」
「そしてだっていうのかよ」
「はい、世界を己のものと思い多くの命を奪っていきました」
「環境破壊ってやつだな」
「この世界は自然のままであるべきなのです」
言いながらだ。ゲーニッツも反撃に転じる。その草薙にだ。
その長身から腕や足を繰り出す。そしてだ。
至近距離でだ。草薙に鎌ィ足も出す。己の力もだった。
そうしながらだ。草薙、そして八神と神楽にも言うのであった。
「だからこそ。私は自然を、この世界を破壊する人を滅ぼすのです」
「手前の話は聞いたぜ」
ゲーニッツの右の拳が来た。しかしだ。
草薙は己の左手でその拳を掴んだ。そうして動きを止めてだ。
それからだ。こうゲーニッツに返すのだった。
「けれどな。それでもな」
「くっ、私の拳を」
「人間は確かに独善さ。けれどな」
だが、だ。それでもだと言う草薙だった。
「それは手前も同じなんだよ!」
「私が。人と同じ」
「人間は自然を破壊してるさ。けれどな」
「その自然を護っているのも人間よ」
神楽は人間のその一面も指摘した。
「人はその二つの顔を持っているのよ」
「そのことを見ないで一方的に人を断罪するのがな!」
まさにだ。それこそがだというのだ。
「独善なんだよ!」
「私をそう言うのですか」
「ああ!それに過ぎないんだよ!」
また告げる草薙だった。
「そしてそれはな!手前が人を滅ぼす!」
「それが何か?」
「人と一緒にある多くの命や自然を滅ぼすってことでもあるんだよ!」
「人もまたこの世界の一部!」
神楽もこのことを指摘する。
「貴方は世界を護ると言いながら世界を破壊しようとしているのよ!」
「あの司馬尉や于吉と手を結んでこの世界を破壊するっていうのもな!」
「貴方が何もわかっていない証!」
「俺達はこの世界の全部を護る為に!」
「貴方を倒します!」
「俺は世界には興味がない」
ここでも八神は八神だった。だが。
それでもだった。オロチには殺意の目を向けてだ。
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