ドリトル先生と山椒魚
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第七幕その九
「絶対に悪いこと言わなかったんだ」
「井伏さんは悪人と言っても」
「芥川さんには言わなかった」
「そうだったんだ」
「最後の方に如是我聞って作品を書いたけれど」
この作品のお話もするのでした。
「芥川さんの様にって言ってるし」
「悪人どころかだね」
「芥川さんの様にだね」
「そう言ったんだ」
「人間失格と一緒に自殺する直前に書いた作品だけれど」
それでもというのです。
「その作品でも言っていたからね」
「凄いね」
「太宰さんって本当に芥川さんに憧れていたんだ」
「そして心から敬愛していたのね」
「そうなんだ、太宰さんにとって井伏さんはお師匠さんでも」
それでもというのです。
「芥川さんは特別な人だったかもね」
「敬愛、尊敬かな」
「そう思っている人だったのかな」
「太宰さんは」
「そうかもね、山椒魚とは関係ないけれど」
今書いていてお手伝いをしている生きものとはというのです。
「けれどね」
「それでもだね」
「山椒魚を書いた井伏さんと関りの深い人だから」
「覚えておくといいね」
「そうだよ、学問は一つに終らないんだ」
ただそれだけでというのです。
「そこからどんどん枝分かれもして学べるし深く広くもね」
「学んでいく」
「そうなるんだね」
「学問は」
「だから尚更面白いんだ、そうしたものだからこれからもね」
是非にというのです。
「学んでいきたいね」
「そうなんだね」
「先生としては」
「これからも学問をしていきたいんだ」
「そう考えているよ」
皆で笑顔で言います、そうしてです。
電車で神戸に戻ってお家でお風呂に入って歯を磨いて寝てです。
翌朝です、動物の皆が言ってきました。
「先生起きて」
「とてもいい朝だよ」
「朝顔も咲いてるよ」
「へえ、どうなのかな」
先生は皆のお話を聞いてです。
そのうえでお布団から出てお庭の縁側に行きました、すると。
お庭にある朝顔がです。
見事な青や紫に咲いています、先生はそれを見て笑顔になって言いました。
「朝から素敵だね」
「そうだよね」
「朝顔っていいよね」
「日本の夏の朝にとてもマッチしていて」
「最高だよね」
「そうだね、日本の夏はね」
何と言ってもというのです。
「朝顔だよね」
「そうだよね」
「奇麗で風情があって」
「とても素敵だよ」
「早起きすればね」
日本の夏にというのです。
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