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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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読心

 
前書き
D4DJのソフィアが変態すぎてずっと面白い。
こちらのソフィアとはタイプが違う変態なのがまた面白いです。
私はエルシィ推しですが← 

 
シリルside

「なんかすごい爆発があったけど~」
「確かこの辺だよね?」

右肩の街へとついた俺とセシリー。こちらに向かってる最中に何やら巨大な爆発がしたためそちらへと急遽舵を取り直したのだが、街の一部だけ建物が瓦礫の山になっているところがあるのが目に入る。

「この辺かな?」
「あ~!!あそこ~!!」

そこに向かって降りていくと見知った少女の姿。そしてその隣にはエルザさん・・・じゃない!?

「ウェンディ!!」
「あ、シリル!!」

地上に降りると彼女もそれに気が付いたようで手を振ってくれる。そんな彼女のすぐ横にいる女性も俺に気が付いており、笑顔で迎えてくれる。

「アイリーンさん!!どうしてここに!?」

アルバレス帝国のアイリーンさんがなぜこんなところにいるのかわからず問いかけていた。

「ゴッドセレナから声をかけられてね。ここに来たらあなたたちがいたから遊びたくなってね」

楽しげな表情を見せている彼女。どうやらウソは言っていないみたいだし、これ以上の詮索は無用かな?

「ウェンディ!!シリル!!」

二人が何を話していたのかを聞こうとしたところ、上空からもう一人こちらへと降りてくる人が現れます。

「無事か!?」
「あれ?セシリー、シャルルは?」
「僕も知らないよ~」

こちらへと来たのはナツさんとハッピー。二人はこちらへとやってくると、俺たちの後ろにいたアイリーンさんに気が付き仰天していました。

「お前!!アルバレスの!?」
「なんでここに!?」
「めんどくさいわね」
「無視していいですよ」

先ほどの俺と同じようなリアクションをしていたためここはあえてスルーする。それよりも重要なことがあるからだ。

「ウェンディ、オーブは?」
「ごめん・・・壊されちゃって・・・」

そう言って彼女が視線を送った先には瓦礫に埋もれている男の人がいる。あれはディアボロスの魔導士なのかな?彼に壊されてしまったということなのだろう。

「でも、もしかしたら皆さんを元に戻せるかもしれません」
「「「「え?」」」」

彼女のそんな言葉に俺とナツさんは顔を見合わせる。なぜそんなことになっているのかわからない俺たちを見て、アイリーンさんとウェンディが説明してくれた。

「分離付加術(エンチャント)よ」
「なんですか?それ」
「本来は"人"と"魔法"を分離させる魔法なんですが、この魔法を使えば二重人格の白魔導士を別々の二人に戻せるかもしれません」

ジュビアさんを彼女の支配下から抜け出させてくれたトウカさんの人格と白魔導士の人格。それを二つに分けることができれば確かにこの状況を打破できるのかもしれない。

「オイラたちさっきまで白魔導士といて・・・なんとか逃げてきたんだ」
「逃げてねーよ!!俺はハッピーに誘拐されただけだ!!」
「ナツくん・・・」
「誘拐って・・・」

仲間うちで誘拐が適応されるのかはわからないけど、ナツさんらしい発言に笑ってしまうような呆れてしまうような・・・ただ、ウェンディとアイリーンさんは別の感情を抱いていたようだ。

「白魔導士の居場所を知ってるんですか?」
「どこにいるのかしら?」

どうやら二人は背中の街のオーブのところに行っていたらしく、そこで白魔導士と遭遇したらしい。その際ナツさんも白滅(ホワイトアウト)されそうになったらしいが、ハッピーの機転によりなんとかここまで逃れてきたそうだ。

「行きましょう!!みんなを助けるために!!でもその前にシャルルを助けに行きます!!」
「そうだ~!!シャルルどこにいるの~?」

シャルルの姿が見えないとは思っていたけど、どうやら彼女は教会で囚われの身になっているらしい。そのためまずは彼女を助けるためにそこへと向かう。

「私はこれで失礼するわ」
「え?手伝ってくれないんですか?」

ハッピーが謎のヘブン状態に入っている中、アイリーンさんが俺たちとは別方向に進もうとする。そんな彼女にウェンディが問いかけるが、彼女は背を向けたままこちらを見ない。

「私は本当は別の依頼で来てるのよ。だからこれ以上面倒ごとは遠慮させてもらうわ。それに・・・」
「それに?」
「エルザに会うと面倒だからイヤなのよね」
「「「「あぁ・・・」」」」

仲違いは解消されたはずだけど、やっぱりどこか会いづらさがあるらしくそんなことを言っていた。エルザさんは会えたら嬉しいと思うけど、彼女的にはずっと別々に生活していただけに気まずさがあるのかもれない。

「あとはあなたたちに任せるわ。エルザには会ったこと言わないでよね」
「あはは・・・」
「わかりました」

鬼の形相で釘を刺してきた彼女に乾いた笑いをすることしかできない。それを肯定と受け取った彼女はその場を後にする。残された俺たちはまずはシャルルを助けるために教会へと向かうのだった。



















「ウォーレンやマックスもいるじゃねぇか」
「何あれ?みのむし?」
「可哀想ですが、気を失ってるみたいなので好都合です」

先ほど瓦礫に埋もれていた男が皆さんを捕まえていたらしく天井からぶら下がっている状態にそんな突っ込みをいれる。シャルルもそれと同じ魔法で捉えられていたようだったが、ウェンディが敵を倒したことですんなりそれを助けることができた。

「よし!!白魔導士のところへ行くぞ!!」
「白魔導士?」
「あいつの正体猫なんだよ!!でな!!ウェンディが猫になるんだ!!」
「ちょっと何言ってるかわからない」
「ナツさん、慌てすぎて間違えてますよ」
「色々混ざりすぎです」

間違っているのか本気で言っているのかわからないナツさんに呆れるしかない。どうやら白魔導士はトウカというエクシードに入っている別の人格らしいが、シャルルはそれに何やら違和感を覚えていた。そしてそれと時を同じくして再び震動が俺たちを襲う。

「うわぁ!!」
「地震だ~!!」
「でけぇぞ!!」
「これって・・・」
「オーブが壊されたんだよ」

残りのオーブの数が少ないからか先ほどまでよりも地震の規模が大きい。残された時間が少ないと判断した俺たちはすぐに白魔導士の元へと向かおうと急ぐのだった。
















セシリーたちの(エーラ)の力を借りて背中の街へと向かう俺たち。その道中、空を飛んでいるはずの俺たちにすらわかるほどの巨大な震動が襲ってくる。

「何の音だ!?」
「今までで一番大きい!!」
「大地の鼓動が空にまで・・・」

眼下に広がるドラシールの街が崩れているのがわかる。そしてそれを皮切りに眠っていたはずのアルドロンが動き出したのだ。

「え!?なんで!?」
「あいつ起きてるじゃねぇか!!」
「どういうこと!?」

オーブが壊されるとアルドロンは力を失うという話だった。それなのに逆にアルドロンは目覚めて動き出しており、鼓膜を破るのではないかというほど巨大な咆哮をあげる。

「考えるのは後だ!!」
「そうですね」
「今は白魔導士のところに・・・」

ただでさえも大変な状況なのに皆さんが操られたままではより状況が悪くなる。そう考えた俺たちは背中の教会へと急ぐ。

「見えたよ!!」
「あれね!!」
「急げ~!!」

ハッピーたちが魔力をかなり使ってスピードを上げてくれたこともありすぐにそこへとたどり着くことができた。その中に入ると何やら怒声を上げているメストさんと膝をついている白魔導士の姿が目に入る。

「なぜ!?どういうことなの!?」
「そりゃこっちのセリフだぁ!!」

何かに困惑している白魔導士にナツさんが声を荒げる。そんな俺たちの姿に気が付いたメストさんは驚いた顔をしている。

「ナツ!!シリル!!ウェンディ!!」
「メストさん!!」
「お前も操られてんのか!?メスト」
「壊れたオーブがありますよ」

彼も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員であるため白滅(ホワイトアウト)がかかっているはず。しかし彼は俺らに敵意を見せないどころか冷静に自身の記憶を確認すると、顔色を青くしている。

「なんてことだ・・・」
「もしかして操られてないの?」
「いや、正確には操られていたが術が解けた・・・らしい」

どうやら何かの拍子で白滅(ホワイトアウト)が解けたらしい。それによって彼は何が起きていたのかわからない状況になっているようだ。

「クソッ!!大体の事情はわかった!!こりゃ・・・えらいことになってるぞ」
「トドメ刺したのあなたですけどね」

あそこにあるオーブを壊したのは間違いなくメストさんだろう。そういえばこの人は瞬間移動(ダイレクトライン)が使えるから、もしかしたら他のところでもオーブを壊しているかもしれない。

「あんたの力でみんなを集めてくれる!?」
「そうだな!!任せろ!!ナツ!!気を付けろ、そいつはーーー」
「わかってる」

彼は魔法を使って至るところに散らばっている皆さんを集めるために動いてくれる。メストさんへの魔法が解けているのなら、他の皆さんも魔法が解けてるかもだし、うまく行けばこの事態を回避できるかも。

「動かないでください」
「動き出したアルドロンもまずいけど、まずはお前からだ」
「あなたとトウカさんを分離します」

彼女が魔法を発動しないようにとすぐに動けるようにしておくが、彼女は自身の手を見ながら呆然としていると、歯痒そうな表情を見せながら目元に涙を浮かべています。

「白魔導士に操られてるみんなは元に戻ったの?」
「そうみたいだね~」
「どういうわけか、あいつの魔法が解けたみたいね」
「それでも・・・」

ハッピーたちがそんな話をしている間も震動はどんどん大きくなっていく。建物も徐々に崩れてきており、急がないと俺たちも巻き添えを喰らいかねない。

「ウェンディ」
「任せて!!」

ウェンディはポケットに入れていた髪飾りを着けてツインテールになり、気合いを入れています。

「白魔導士とトウカを分離します。分離付加術(エンチャント)!!」

初めて使っている魔法のはずなのに白魔導士の身体から猫が覗いてきているのがわかる。彼女もそれがわかっているからか、声を上げながら限界まで魔力を引き上げると、二人は別々の個体へと分離されていた。

「二人に別れた!!」
「すごい!!」
「よくやったわね!!ウェンディ」

その反動で意識を失っている白魔導士。ウェンディも相当魔力を使っているようで、フラフラしているので肩を貸す。

「大丈夫?」
「うん、ありがと」

顔色が青ざめているウェンディ。相当分離付加術(エンチャント)は魔力を消耗するようで、真っ直ぐ歩くのもやっとみたいだ。

「ここも崩れそうよ」
「急がないと~」
「早くトウカを連れて逃げよう」
「よっと」

シャルルたちもここまで急いで飛んできたことで魔力がほとんどないらしく(エーラ)が出せない。そのためハッピーがトウカを背負うと、後ろにいたナツさんが白魔導士を背負う。

「ナツ!!そいつも連れてくの!?」
「なんかスッキリしねぇだろ!!こいつの目的もよくわからねーし!!」
「ナツくんらしいね~」

彼らしい行動に思わず全員が笑みを浮かべる。ただ、そんなに悠長にしている余裕はなさそうだ。

「木神竜アルドロンを封じるためにオーブを壊すって言ってたのに、オーブを壊したらアルドロンが目覚めた」

教会の外に出るとアルドロンが暴れているのか、街の崩壊がかなり進んでいる。

「ん?」
「何?あれ」

上空から音がしたためそちらに目をやると、何やらアルバレス帝国を思い出させるような艦隊がこちらに向かってきているのが目に入る。アルドロンを包囲するように現れた艦隊は魔力を溜めたかと思うと、それらを一斉にアルドロンへと向けて発射する。

「な!!なんだー!?」
「何!?この魔力!?」
「伏せて!!」

どうやらアルドロンを監視していたと思われる組織が動き出したのを見て討伐のために動き始めたらしく、今の攻撃を放ったらしい。当然それは俺たちにも向かってきているためその場に伏せ、事なきを得た。
ただ、それは俺たちだけでなくアルドロンにも通用していなかったらしく、その身体から無数に伸びた木々が上空に数多もある艦隊全てを撃ち落としていた。

「あれだけの船を・・・」
「一瞬で・・・」

しかもあれだけの攻撃も受けていることを考えてもアルドロンの強さがよくわかる。そのことに俺とウェンディは言葉を失っていたが、一人だけ的外れな人がいた。

「よくわかんねーけど、船が全部やられちまった。スゲー力だ」
「「ナツさん・・・」」

確かによくわからなかったと言われればそうなんだけど、ナツさんの場合理解しようともしていないからまたすごいんだ。誉めてないんだけどね。

「しかしまいったな、こんなでけー奴どうやって倒せばいいのか」
「滅竜魔法を打ち込み続けますか?」

敵の大きさが異次元過ぎてどうすればいいのか皆目検討もつかない。でも街の人たちは逃げれたのか、この辺に姿が見えないが救いかな。

「とにかくやるしかねぇか!!」

炎を腕に纏い大きく振りかぶるナツさん。セシリーたちの魔力が少ない今、逃げ切るのは難しい。そうなるとここはこいつを止めることが最優先になるはず。

「いくぞアルドロン!!炎竜王の崩拳!!」

ナツさんも同じ考えだったらしく拳を地面へと叩き込み攻撃を試みる。それにより周囲に爆発が起き、近くにいた俺たちも巻き込まれそうになったのは内緒です。

「ふぅ・・・」
「どうですか?」
「効いてます?」
「ダメだ、少しもダメージを与えちゃいねぇ」

地面にヒビは入っているけど、アルドロンは今の普通に動いていることからダメージが入っていないのがわかる。でも、俺たちもダメージを与えられないけどアルドロンはここにいる俺たちに攻撃できないんじゃないか?それなら少し時間がかかっても何とかするための対策を考えることとかはできそうだけど・・・

「"1"だ」
「「「「「!!」」」」」

そんなことを考えていたところ、後ろから突然声がしたため振り返る。しかしそこには誰もいない。誰もいないのに、またしても声が聞こえてくる。

「お前はアルドロンに1ポイントのダメージを与えた。ただアルドロンの体力は1億ポイントだ。あと99999999回同じ技が撃てれば倒せるかもな、背中部分だけは」
「な・・・」
「なんだこいつ!!」
「木?」

その声がするのは地面から生えてきている小さな草。その草はみるみる伸びていき、やがて手の形をした枝が生えてくる。

「お前たちが挑もうとしているのはそういう存在なのだよ」
「芽が人の形に・・・」

やがてそれは人といっても遜色ないほどの形へと変化していき、大きさも俺やウェンディ・・・いや、ナツさんすら越えるほどの背丈へと成長する。

「俺は木神竜アルドロンの一部、ゴッドシードのウルフェン」
「一部?」
「ゴッドシード?」

彼が何を言っているのかわからず困惑することしかできない俺たち。そんな隙だらけの俺たちを相手は見逃すことはしない。

「これより木神竜の一部とならなかった者たちを排除する」

そういった木の人間は俺の顔面をその手で掴む。その手を振り払おうとするが、握力が強くて全然引き離せない。

「読んだぞ」
「は?」
「お前がもっとも強大だと思う者の力を」

そう言って手を離した人形をした木の生き物は煙に包まれていく。その姿が少しずつ変化していることに俺たちは気が付いた。

「なんだ!?」
「あいつの身体が・・・」
「変化してる!?」

サイズから全身の形も変化していくことに驚きを隠せない。徐々に人の形により近づいていくそれを見て、俺たちは目を見開いていた。

「ゴッドシードは排除すべきものの記憶の中にある"強者の力"を具現化し、その者を排除する。そう・・・お前が絶対に勝てない相手となり確実に殺す」

聞き覚えのある声に変化していくそいつを見て、俺たちは背中に冷たいものが流れるのを感じた。そして煙が晴れるとその場に現れたのは、頭に芽があるところを除けばこれまで俺たちが出会った中でもっとも強く、強大な敵である男だった。

「久しぶりだな、シリル、ウェンディ」

水色の髪をした青年は俺たちを見るとニヤリと笑みを浮かべる。その魔力はかつて戦ったそいつに迫るものになっており、俺たちの悪寒はひどくなる。

「ティオス・・・」

かつて何人もの仲間たちを殺した未来の俺とレオンが融合した存在、ティオス。俺たちを見て余裕の表情を浮かべる彼に顔が強張る。ただ・・・

「上等じゃねぇか」
「あぁ、そうだな」

すぐにその感情は消し去られた。隣には頼れる仲間がいて、後ろには守るべき人があるんだから。

「やってやるぜ」
「燃えてきたぞ」

思わぬところでの強敵との再戦に心が踊る。あの時はフィオーレ全員の力を借りて彼を倒すのがやっとだった。ただ、俺たちはあれから強くなった。今回はそれを証明してやる!!





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
アイリーンをそのまま残しておいてもよかったんですが、カマセになること間違いなしなので先にお帰りいただきました。
てかこの条件でハッピーが出てくるナツの頭の中が気になる・・・ 
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