恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十八話 草薙、オロチを封じるのことその五
「所詮御前達は造られた人間。その中にあるものは求められ続ける」
「これまで通りか」
「御前達に安住の場所はない」
イグニスが言うのはこのことだった。
「それでもか。御前達は生きるのか」
「そのことについては心配無用です」
イグニスに対して言う声があった。それはだ。
雛子だった。彼は胸を張って出て来てだ。イグニス達に告げたのである。
「私、四条家がケイダッシュさん達を責任を以て御守りします」
「御前は」
「私はお友達を何があっても見捨てません」
その誇りと共にだ。雛子は言った。
「それ故にです」
「人造人間達を受け入れるのか」
「この方々は人間です」
「造られていてもだというのか」
「その御心が人間ならばです」
まさにだ。そうだというのだ。
「だからこそです」
「言うな。ではだ」
「貴方達が気にされることではありませんわ」
ケイダッシュ達が人として生きること、そのことについてはというのだ。
「では。安心して休まれて下さい」
「ふん、そう言うか」
「ええ、何度でも」
「なら勝手にするといい」
イグニスもだ。諦める様にして言ってだ。そうしてだった。
仰向けに立ったままゆっくりと目を閉じた。そしてグリザリッドとゼロもだ。
静かに目を閉じ死んだ。それを見届けてからだ。
ケイダッシュは雛子にだ。問う目で尋ねたのだった。
「今の言葉だが」
「はい、ケイダッシュさん達はこれからはです」
「あんたと一緒にいていいのか?」
「ケイダッシュさん達が望まれるなら」
そうしてくれとだ。雛子は微笑んで彼等に返した。
「そうして下さい」
「どういうつもりだ。俺達は」
「いえ、貴方達は確かにです」
「人間だからか」
「そして私のお友達です」
だからだというのだ。
「ですから」
「俺達を追う奴等は多いがな」
「そんなもの四条家にとってはプランクトンより小さなことですから」
微笑さえ浮かべてだ。言い切る雛子だった。
「御気になさることはありませんわ」
「・・・・・・そうか」
「ではこれからも宜しくお願いしますね」
「わかった」
ケイダッシュが彼等を代表してだ。雛子に答えた。こうしてだった。
彼等は安住の地、そしてかけがえのない友を得た。この世界で。
ネスツとの戦いは終わりだ。そしてだった。
ケイダッシュにだ。マキシマとクーラが声をかけてきた。
「ではだ。戦いはまだ行われている」
「それなら」
「ああ、わかっている」
戦場では死闘が続いていた。それを見てだった。
ケイダッシュも彼等の言葉に頷きだ。雛子にも顔を向けて言った。
「ではだ。最後のな」
「はい、戦いですね」
雛子も真剣な顔で頷きだ。共に戦いに戻るのだった。
朧の刃が空中からだ。二人を襲い続けていた。
だがそれをだ。二人はだ。
かわしていく。その動きは。
まさにだ。透けていた。朧の刃が二人を斬っても斬れない。そしてだった。
二人はそこにいる。それを見てだ。朧は彼等が何をしているか悟ったのだった。
「見切りですか」
「そうだ。武道の極意の一つをだ」
蒼志狼がだ。朧のその言葉に答える。
「俺達は使っている」
「貴様の攻撃は見切った」
刀馬も言う。今彼の身体を刃が突き刺した。しかしだ。
その身体を透けるだけだった。攻撃が全く通じない。その中でだった。
刀馬はだ。蒼志狼に告げたのだった。
「ではいいな」
「決めるというのだな」
「そうだ。いい頃だ」
こう彼に告げたのだ。
そしてだ。蒼志狼もだ。刀馬の言葉に頷いてだ。
己の構えでだ。刀馬に言ったのだった。
「ではだ。いいな」
「二人でだな」
「この世界での戦いが終わる」
彼等の戦い、それがだというのだ。そうしてだった。
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