里親になるということは
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第二章
小学校から中学校、高校と進んでいきやがて教会も継ぐと言った。だが大人になった彼は考える顔で両親に言った。その頃にはもうすらりとした長身の整った顔立ちの青年になっていた。
「あの、僕が家に来て家計とかは」
「いや、うちもちゃんとな」
「そういうのはあったから」
子供を育てられるだけのお金はとだ、両親は彼に笑顔で話した。
「心配いらなかったのよ」
「最初からな」
「そうなんだ、生活に不自由したことなかったけれど」
拓哉は二人の息子になってからのことを思い返して言った。
「家計は大丈夫だったんだ」
「そうだ、それにな」
父は息子に話した。
「家計とかそうした問題じゃないだろ」
「問題じゃない?」
「子供なんだぞ、お前は」
親の顔での言葉だった。
「だったらお金の問題じゃないんだ」
「子供はお金以上の価値があるのよ」
母も言ってきた、やはり親の顔であった。
「自分達のかけがいのないね、理屈じゃない」
「そんなものなんだ」
「あんたも結婚して子供が出来ればわかるわ」
その時にというのだ。
「愛情それに理を受け継いでくれるから」
「天理教のだね」
「これは天理教のお話だけれどね」
「そうしたこともあるからなんだ」
「子供はお金じゃないの、それにお金のことをお話したら」
ここで母はこうも話した。
「実は里親になったら国から補助金が貰えるの」
「そうなんだ」
「だから尚更ね」
「心配いらないんだ」
「そうよ、だからそうしたことは心配しなくていいから」
「お前はこれからいい教会長になってくれ」
父はまた言った。
「わし等以上にな」
「そうするよ、あと僕も出来たら」
拓哉は親達の心を受けて言った。
「僕みたいな子を助けられる」
「いい里親になるか」
「その機会があれば」
「そうなるよ、お父さんとお母さんみたいなね」
両親に笑顔で言った、そうしてだった。
拓哉は天理教の教会長になる為の勉強と行動に力を入れていった、そうして立派に両親の跡を継いだ、そしていい里親にもなったのだった。
里親になるということは 完
2023・4・23
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