仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜
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第十六話『ライダーの絆』
「リシュナルの奴は何処だ!」
ネオゴルゴム神殿の広間に、エピメルの怒号が響き渡る。
「リシュナルなら、研究室に閉じこもっている。なんでも、切り札の最終調整を行っている、との事だ。奴にそこまでの切り札があるとは思えぬが。」
ソフィルはリシュナルの行動に猜疑心を持ちながら答える。
「なら丁度いい。ソフィル、お前の力で南光太郎の手によって葬られた怪人軍団を蘇らせるんだ。俺が言ってきた怪人軍団による人類制圧が不可能なのか、やらせてくれないか。」
エピメルはソフィルに頼み込む。
「如何が致しましょうか、クリムゾンエクリプス。」
ソフィルはクリムゾンエクリプスの指示を待つ。
「よいだろう。いくらライダーが強力と言えど、数が多ければ不利になるだろう。」
クリムゾンエクリプスは許可を出す。
「畏まりました。無念の中で眠りしゴルゴムの志を宿せし怨霊達よ、今一度肉体を得て、この地に舞い戻れ!」
ソフィルの唱える呪文に応えるように数多の魂が集い、かつて仮面ライダーBLACK、そしてRXに敗れたゴルゴム怪人達が再生怪人として蘇る。
「これだけの数がいれば仮面ライダーなど目ではない!怪人軍団よ、出撃だ!」
エピメルは満足そうに言う。
「悪いが、ひとつだけこちらの意見を飲んでもらおう。兎場にも作戦に参加してもらう。」
ソフィルの言葉を聞き、ゴルゴメスの実を研究していた科学者、兎場清三がソフィルのそばへ駆け寄る。
「ウサギ怪人か、いいだろう。作戦の邪魔はするなよ。」
エピメルも了承し、怪人軍団はネオゴルゴム神殿が出撃する。
「キャー!」
「助けてくれ!」
光太郎が備品の買いたしに出ていた帰り、悲鳴を聞いて駆けつけるとかつて自身が倒した怪人達が束になって人々を襲っていた。
「ネオゴルゴム、とうとう実力行使に出たのか!変身!」
光太郎は変身し、人々を避難させながら再生怪人達を攻撃するが、
「グゥゥゥ…」
クワガタ怪人とカニ怪人によって身動きを封じられてしまう。
「しまった!」
RXは驚くが、既にヘビクイワシ怪人が突進してきていた。
「万事休すか。」
RXが怪人達を振り解こうとしていると、
《シグナルバイク!シフトカー!》
騒がしい音声が鳴り響く。そして、
「変身!」
《ライダー!デッドヒート!》
仮面ライダーデッドヒートドライブが現れ、ヘビクイワシ怪人を蹴り飛ばし、攻撃を妨害する。
「光太郎さん、無事ですか!」
デッドヒートドライブは怪人達を振り解いたRXに駆け寄る。
「進ノ介くん、如何してここに?」
「話はあとです。まずはこいつらを倒しましょう!」
《バースト!デッドヒート!》
デッドヒートドライブはシフトアップによる高速移動を駆使して怪人達を倒していく。
「悲しみの王、ロボライダー!」
RXもロボライダーへ変身し、ボルティックシューターによる精密射撃で怪人達を倒していくが、やはり数が多く、徐々に劣勢になっていく。
「このままではキリがない!」
デッドヒートドライブは焦りを感じる。すると、
「甘ったれるな!」
威厳のある老人の声が聞こえてくる。そして、
「大変身!」
その言葉とともに仮面ライダーXが現れる。
「あなたは!」
デッドヒートドライブは驚く。
「俺はX!仮面ライダーX!」
Xライダーはベルトに収められたライドルホイップを引き抜き名乗る。
「くっ、仮面ライダーが三人も現れたら流石に不利だ。ここは撤退だ!」
兎場は劣勢と判断し、怪人軍団を撤退させ、その場から逃亡した。
「神先輩、如何して此処に?」
ライダー達は変身を解除し、光太郎はXライダーに変身する男性、神敬介に質問する。
「先ずは落ち着いて話そう。」
「それなら、キャピトラへ来てください。」
光太郎達はキャピトラへ移動し、座って話し始める。
「ここ近年、ショッカーを始めとする悪の組織が世界各地でキングダークを運用することに違和感を感じたんだ。キングダークを動かすには悪魔のシステムと呼ぶべきRS装置の存在が必要不可欠だが、RS装置は40年近く前に俺達の手で設計図も全て消去したはずだ。それでも尚キングダークが運用されているということは、どこかで秘密裏にRS装置の研究が続いていると思い、調べていくうちにこの日本にRS装置の研究施設があることを突き止め、一時的に帰国してきたんだ。そこでお前さん達が戦っているのが目に入って、助太刀しただけだ。」
敬介は駆け付けて来た理由を説明する。
「そうだったんですね。それで、進ノ介君は如何して此処に?」
光太郎は仮面ライダードライブに変身する青年、泊進ノ介に話を振る。
「こっちの方は、国安0課の協力もあって、捜査1課が漸く重い腰を持ち上げてネオゴルゴムを宗教団体から広域テロ組織に認定してくれたから、捜査ができるようになって調べようとしていたときに丁度光太郎さんが戦っている所に出くわしたんです。本当は氷川巡査や加賀美刑事、照井警視にも協力してもらいたかったんですけど、三人とも悪魔数支配組織デッドマンズの元信者の捜査に駆り出されていて、ネオゴルゴムの捜査の担当は俺だけになってしまったんですが…」
進ノ介も事の経緯を説明する。
「いや、それでも協力してくれる仲間がいてくれるだけで心強いさ。」
光太郎は敬介と進ノ介の二人と硬い握手を交わす。
「しっかし、今時のライダーって、改造人間じゃない普通の人がベルトを巻けば簡単に変身できるんか。時代も変わっちまったなぁ。」
偶然店内にいた霞のジョーはボヤく。
「そういうな。今じゃあ、改造人間の方が珍しい。俺達の方こそ、言わば旧時代の遺物ってところだ。」
敬介はため息まじりに言う。
「だからこそ、光太郎さん達の存在が過去から今を繋ぐ生き証人になるんです。」
進ノ介は敬介の目をしっかりと見つめながら言う。
「お前さん、中々根性のある奴だな。」
敬介は進ノ介の肩を掴みながら言う。
「とにかく、あの怪人軍団を倒さないと、人々の安全が脅かされる。一緒に戦いましょう!」
光太郎の言葉に敬介と進ノ介は納得する。
「まさか、ライダーどもが次から次と現れるとは!」
ネオゴルゴム神殿ではエピメルが苛ついていた。
「だから言っていたのだ。今の時代では武力を行使した破壊工作は仮面ライダーにすぐ察知されてしまい防がれると。エピメル、こうなってはウサギ怪人に犠牲になってもらう必要が出てくる。お前には後で罰を受けてもらうことになる。覚悟をしておくのだ。」
ソフィルはエピメルを宥めることなく叱り、兎場の方を向く。
「こうなっては時間の問題なのは承知しています。できる限りの時間稼ぎはさせていただきます。」
兎場はウサギ怪人の姿に変わり、怪人軍団を引き連れて市街地の襲撃を始めた。
「…分かりました。直ぐに向かいます。」
進ノ介は通話を終了させる。
「敬介さん、光太郎さん、ネオゴルゴムが動きました。」
「行くぞ。」
進ノ介の言葉を聞き、敬介の一言で三人は現場へ向かった。
「さあ、人間共を皆殺しにし、仮面ライダーをおびき出せ!」
現場では既にウサギ怪人の指揮によって再生怪人達が人々を襲っていた。
「現れたな、仮面ライダー。」
「これ以上市民の命を脅かすことはさせない!」
ウサギ怪人の言葉に進ノ介は激しい怒りを見せ、マッハドライバー炎を装着し、シフトデッドヒートをセットする。
《シグナルバイク!シフトカー!》
「大変身!トウッ!」
「「変身!」」
《ライダー!デッドヒート!》
三人は変身ポーズを取り、敬介はXライダーに、光太郎はRXに、進ノ介はデッドヒートドライブへ変身する。
「Xライダー!」
「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK RX!」
「仮面ライダードライブ!」
三人のライダーは名乗りを上げる。
「やれ!再生怪人達!」
ウサギ怪人の号令で再生怪人達は突撃して来る。
「RX、ウサギ怪人は任せたぞ。」
「怪人軍団は、俺達で引き受けます!」
XライダーとデッドヒートドライブはRXがウサギ怪人と戦いやすくするために道を開ける。
「ありがとう!」
RXはその道を進みウサギ怪人とその場を離れる。
「ドライブ、気を抜くなよ!」
Xライダーはライドロープによって怪人を捕らえ、別の怪人へ叩きつける。
「捜査1課の名誉と、仮面ライダーの名にかけて、トップギアで行きますよ!」
《バースト!デッドヒート!》
デッドヒートドライブはシフトアップによる高速移動を活かして怪人達を翻弄し、強力なパンチの連打で怪人達を倒してゆく。
「RX、貴様にはせっかく俺が作った水耕ゴルゴメスの実の研究施設を破壊された借りがある。今こそその借りを返してもらうぞ!」
ウサギ怪人はRXの周りを跳び回りRXの隙を狙う。
「お前は、あの時の科学者か!科学は平和のためにあるんだ!」
「その通り!だからこそ、人類を滅ぼすために使うのさ!人類の存在こそが平和を乱す種となる。愚かな種を滅ぼすことで、真の平和は訪れるのだ!」
ウサギ怪人はRXに連続キックを放ち怯ませる。
「それは違う!確かに、人は過ちを繰り返す。だが、過ちを繰り返すから前に進むことができる!リボルケイン!」
RXはよろめきながらも立ち上がり、リボルケインを引き抜く。
「綺麗事で世界を平和にできると思うな!」
ウサギ怪人は飛び掛るがRXはそれを躱しリボルクラッシュをウサギ怪人に放つ。
「科学を信じ、人の心を信じられなかったことが、お前の敗因だ!」
RXはウサギ怪人に突き刺したリボルケインを引き抜き、ウサギ怪人は再生怪人達と共に爆発し蒸発した。
「それじゃあ、俺はこれからRS装置の研究施設へ向かう。またお別れだな。」
「俺の方も、全国にあるネオゴルゴムの拠点を調べないといけないので、ここで失礼します。」
「そうか。二人と戦えたこと、俺は光栄に思っている。」
三人のライダーは硬い握手を交わし、別々の方向へ向かっていった。
それから数日後、敬介はとある野原で黙祷を捧げていた。
「敬介さんも、ここに来ていたんですね。」
進ノ介は後ろから声を掛ける。
「ここには、巧が眠っていると聞いてな。」
「本当に、立派な人でした。命を失っても尚、人々の平和のために歴史改変マシンを破壊したんですから。」
「まさか、メガリバースシステムを利用した俺達ライダーを同士討ちさせる作戦が、そもそも歴史改変マシンを使った実験だったとは、あの時は思っていなかった。結局、満足に話せないまま別れることになるとはな。」
「でも、別れは必ず悲しいものとは限りませんよ。」
「いうじゃねぇか。そろそろ行くか。俺達が成すべきことを成すことが、巧への餞になるんじゃないか。」
「そうですね。行きますか。」
敬介と進ノ介は歩き出す。野原には名もない赤い花が1輪、力強く咲いていた。
続く
次回予告
リシュナルの切り札、それは復讐に燃える怪魔界の悪魔だった。悪魔の魔の手が響子に迫る。『最後の怪魔異星獣』ぶっちぎるぜ!
後書き
怪人図鑑
ウサギ怪人
身長:192cm
体重:89kg
能力:跳躍、連続で繰り出すキック、高い知能
植物学者の兎場清三が改造を受け再誕した、兎の性質を持つネオゴルゴム怪人。跳躍によって敵を翻弄し、一撃の軽いキックを連続で放ち威力を高める戦術を得意とする。また、怪人として活動するときは獰猛で好戦的な正確に変貌する。
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