X ーthe another storyー
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第十三話 母親その四
「食べようとしてその前からね」
「好きだったか」
「そうだったの」
「それが軍鶏鍋か」
「ええ、それで龍馬さんも東京にいたことあったし」
「土佐、高知の人だったな」
「それで京都によくおられて」
そうしてというのだ。
「京都で暗殺されたけれど」
「海援隊であちこち行っていたな」
「その前に江戸でね」
東京がそう呼ばれていた頃にというのだ。
「剣道の修行でね」
「この街に来ていたか」
「それで北辰一刀流を学んでいたの」
神威の顔をじっと見ながら笑顔で話した。
「免許皆伝だったのよ」
「強かったんだな」
「そうみたいよ、龍馬さんと親しかった桂小五郎さんや勝海舟さんもね」
彼等もというのだ。
「それぞれの流派でお強かったのよ」
「免許皆伝だったか」
「確かね。特に勝海舟さんがお強くて」
「それは知らなかったな」
「とんでもなかったらしいわ」
そう言っていいまでの強さだったというのだ。
「あの人はね」
「俺も勝海舟さんのことは知っていたが」
それでもとだ、神威は考える顔になって述べた。
「まさかな」
「免許皆伝とは知らなかったの」
「剣道のな」
「実はそうだったのよ」
「成程な、強かったのは新選組だけじゃないか」
「あの人達も強かったけれど」
幕末名を馳せた剣客集団である彼等もというのだ。
「龍馬さんもそうだったの」
「桂小五郎さんや勝海舟さんもか」
「それもかなりね」
「それはいい勉強になった」
「それでどの人も東京で修行してたのよ」
「近藤勇さん達も元々こちらだったな」
東京の方の人だったとだ、神威は言った。
「そうだったな」
「そうだったわね」
「東京は龍馬さんにも縁があるか」
「それで他の人達ともね」
「縁があるな」
「剣道を通じたりしてね」
そのうえでというのだ。
「あるのよ」
「そう思うと面白いな、そして」
微笑みから真剣な顔になって述べた。
「護りたいな」
「そう思うのね」
「実際にな」
こう答えたのだった。
「そう思った」
「そうなのね」
「まだ決めていないが」
天の龍になるか地の龍になるかはというのだ。
「しかしな」
「それでもなのね」
「幾分かでもな」
「考える要素になった?」
「確かにな」
小鳥に顔を向けて答えた。
「小鳥と封真のこと以外にもな」
「考える要素になったのね」
「天の龍の連中も見てな」
そうもしてというのだ。
「そしてな」
「考えていくのね」
「そのうえで決める」
そうするというのだ。
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