星河の覇皇
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第八十三部第四章 戦線崩壊その三十一
「だからだ」
「はい、ここはですね」
「予定通りの攻撃に止め」
「慾は出さないことですね」
「あくまで予定通りの攻撃ですね」
「シャイターン主席はいないが元々将帥の質は悪くなく」
ティムール軍、彼等はというのだ。
「そして士官や下士官、兵士達もな」
「優秀ですね」
「我等に負けない程に」
「そこまで優秀ですね」
「訓練も行き届いています」
「撤退の動きも訓練を行えばだ」
それでというのだ。
「それだけ動きがよくなる」
「それを行うことも重要ですね」
「我が軍もそうしていますし」
「ティムール軍にしても」
「訓練をしていましたね」
「それがわかる、なら欲を出さずにだ」
幕僚の一人が言う様にとだ、アッディーンは言った。
「この度は攻めていく、おそらく敵に与える損害は」
「どれ位になるでしょうか」
「果たして」
「それは」
「三割だな」
ティムール軍全体のというのだ。
「多いとしておくべきだ」
「三割で全滅ですし」
「それならですね」
「満足すべきですね」
「それ以上はだ」
敵に損害を与えようとすればというのだ。
「駄目だ」
「それ以上欲をかくと」
「思わず反撃を受けかねないですね」
「ティムール軍も強いですし」
「そのことを思いますと」
「豹は追い詰めるとだ」
シャイターンが赤い豹と呼ばれていることからティムール軍も豹に例えたのだ、そうしてさらに話すのだった。
「全力で反撃に転じるな」
「そうしてきますね」
「そうなれば恐ろしい力を発揮します」
「豹は獅子や虎に匹敵します」
「恐ろしい力を持つ獣です」
「だからだ、今は豹を完全に倒す時ではない」
例え損害を与えてもというのだ。
「それならだ」
「今は、ですね」
「最後の一手で止めますね」
「そうしますね」
「そうする、完全に包囲はしない」
こうも言うのだった。
「敵が撤退してもな」
「それでもですね」
「その時はですね」
「最後で止める」
「そうしますね」
「そうだ、では攻めていこう」
こう言ってだった、そのうえで。
アッディーンはティムール軍に総攻撃を浴びせた、並の軍ならばこれまでの戦力や気力の消耗もあり総崩れになるところだった。
だがそれでもだ、ティムール軍は。
総攻撃を受けて大きな損害を出したがそれでも陣形は保っていた。そうしてその中で確実にであった。
要塞やコロニーレーザー防衛用の衛星等防衛施設にいる将兵達の収容を行っていった、フラームはその状況について部下達に問うた。
「収容はどうなっている」
「はい、今はじめたばかりですが」
「かなりの将兵を収容しています」
「順調に進んでいます」
「戦傷者や戦死した者も収容するのだ」
フラームは部下達の報告を聞いたうえでこう返した。
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