イベリス
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第九十三話 お弁当を食べてからその十四
「もうね」
「言うことなしね」
「実はこんな人少ないのよ」
「そうなの」
「ええ、やっぱり何かしらね」
「変なところあるのね」
母にこのことも尋ねた。
「誰でも」
「それでその変なところがね」
「暴力とか浮気の人も」
「いるから」
「ギャンブルもなのね」
「夢中になる人がね、けれどお父さんはね」
咲から見てと言うのだ、自分の夫は。
「そうしたこと全然ないでしょ」
「そうね、お酒は好きでもね」
「真面目に働いてそうした運動にもでしょ」
「関わってないわね」
「だからよ」
そうした人だからだというのだ。
「いいのよ」
「ポイント高いの」
「一見普通でも」
「その普通が高ポイントね」
「そうよ、咲はこのこともよ」
「覚えておくことね」
「そう、普通はね」
そう言われる人はというのだ。
「これがね」
「あまりいなくて」
「一番いいのよ」
「お金持ちで凄く偉いとか」
「そんな人でも性格は悪かったらでしょ」
「アウトね」
「それで暴力振るったらそれで駄目よ」
幾ら金や地位があろうともというのだ。
「だからよ」
「本当に普通が一番ね」
「それでお金の出所がわからない人はね」
「信用しないことね」
「そう、特にね」
「運動家の人達はそうね」
「一番胡散臭いから。平日から新宿の駅前とかでデモしてるけれど」
それも昼間からだ。
「そうした人達の普段はね」
「何をしている人か」
「考えるといいわ、今日は新宿で」
そしてというのだ。
「明日は国会の前でね」
「デモばかりしてるのね」
「デモするにもお金いるし」
「生活もあるわね」
「毎日デモばかりしてどうして生きていけるのか」
働いているとは思えないが、というのだ。
「考えたらわかるわね」
「そうね」94
咲はここでまた頷いた。
「普通にね」
「働かないとでしょ」
「お金って入らないから」
「お金が入らないとね」
「人間生きていけないわね」
「それが今の日本なのよ」
自分達が暮らしている国だというのだ。
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