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第七十二話 海軍の記憶その六

「一五七とか」
「それ位だったのよね」
「今一五七って」
「女の子位よね」
「そうよね」
「女の子だと普通位ね」
「かな恵より小さいわよ」 
 富美子は本人を見て一華に話した。
「それで私や理虹や留奈とね」
「高いか低いか」
「何センチかね」
「それ位ね、私よりは大きいわね」
 一華は自分から話した。
「私一五五だから」
「何かあの人一五五って説もあるけれど」
「じゃあ私と同じ位?」
「本人さんと会ったらあんたでもね」
 一華でもとだ、富美子は真顔で言った。
「大きい女の子とかね」
「言われてたの」
「そうかもね」
「私でって」
 一華は首を傾げさせて言った。
「私小さいってね」
「言われてるわね」
「自覚あるけれど」
「それでもよ」
「伊藤さんから見たら」
「大きいのよ」
「そうなのね、じゃあ東郷さんも」
 再び絵の中の彼を見て思った。
「今から見たら」
「小さかったのよ」
「そういうことね」
「それでもね」
 富美子はそれでもと一華に話した。
「凄いことしたのよ」
「そうよね」
「日本海海戦に勝って」
「黄海海戦もで」
「日清戦争でも活躍してるから」 
 それでというのだ。
「まさにね」
「名将よね」
「大提督よ」
「そう言っていいわね」
「日本海軍のスーパースターね」
 理虹は笑って話した。
「東郷さんは」
「もう海軍って言うとね」
「やっぱり東郷さんよね」
「何と言っても」
 それこそというのだ。
「この人よ」
「日本海海戦は圧勝したし」
「歴史的な大勝利でね」
「それで後の奉天会戦にも勝てた」
「大きかったわね、あの勝利」
「本当にね」
「いや、こうした人ってね」
 一華は今度はしみじみとして言った。
「傍にいたらオーラ凄いでしょうね」
「そうよね、絶対に」
「何か運がね」
 これがというのだ。
「凄かったのよね」
「東郷さんってね」
「軍人として優秀なだけじゃなくて」
「運もよくて」
「それで勝ったり無事だったり」
「そんな要素もあったのよね」
「東郷さんって」
 このことは歴史にもある、攻撃を受けて周りが大惨事となっているのに自分だけ無事だったという話もあった。
「それで連合艦隊司令長官に選ばれたって」
「運がいいから」
「そう言われて」
「それでね」
「実際に勝ったのよね」
「運も実力のうちって言うけれど」
 理虹は言った。 
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