やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか
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パラディ島編 第5話 開拓地での生活
シガンシナ区から馬に乗ってトロスト区に向かった俺たちは避難民として受け入れられ、避難民の一部が寝泊りしている倉庫に向かった。
―――
――
―
「!」
するとそこには先に避難させたエレンとミカサがいた。
しかし、
(カルラさんが居ない…?)
エレンたちの母親であり、俺達を受け入れてくれた『イェーガー家』の1人、カルラさんの姿が何処にも見当たらないのだ。
(…こいつらももう寝ているし、そのことについては明日聞こう)
「ヒョウ、寝るぞ…」
「」スヤァ~…
「た、立ったまま寝てやがる…」
―――次の日―――
次の朝、俺が起きたのは日が昇りきったあとの頃だった。
「ハチマン、起きて」
「…あさか…」
「うん、そう」
「…なあ、ミカサ。カルラさんは?」
「!…死んだ…」
「…そうか。悪いが…何で死んだか、教えてくれないか?」
ミカサから聞いた話によるとあの後、足が潰れたカルラさんを背負い壁内へ向かって逃げていると俺とヒョウで脚を止めた巨人が追いついてカルラさんを喰ったらしい。
本当ならばエレンが喰われる寸前だったらしいが、カルラさんが庇ったそうだ。
「…」
俺が巨人を殺せていればカルラさんは生き残れたのだろうか…。
いや、がむしゃらにガスターブラスターを撃ったとしてもこちらが先に疲弊して結局喰われるだけだったし…たらればだな…。
ミカサ「エレンも。起きて。」
エレン「・・・?みかさ・・・?」
ミカサ「・・・?どうしたの?エレン。」
エレン「なんか・・・。父さんと会ってたような・・・。」
ハチマン「グリシャさんと・・・?」
エレン「ああ。・・・って、ハチマン!?居たのか!?」
ハチマン「エレン・・・。さすがにそれは傷つくぞ・・・。」
エレン「!す、すまん!ぜんぜん気づかなかった・・・。」
ハチマン「グハァッ!」
エレン、ミカサ「ハチマーーーーン!」
ヒョウ「・・・。」スヤァ・・・
---
ミカサ「ハチマン。大丈夫?もう血を吐いたりしない?」ゴゴゴッ・・・
ハチマン「ああ。もう大丈夫だ。」ガタガタ・・・
ミカサ「そう。なら、食糧の配給があるから、行こう。」
倉庫から出るとたくさんの人が配給のため並んでいた。
皆、食べ物が少なくてムカムカしているのかあたりは殺伐とした空気だった。
アルミン「みんな!」タッタッタッ
エレン「アルミン?」
アルミン「ほら、間に合ったよ。」ハァ・・・ハァ・・・
アルミンが持ってきたのは、パンだった。
アルミン「おじいちゃんが子供たちの分だからって、
僕達の分を貰っといてくれたんだ!」
兵士1「ふん、どうして外から来た奴らに俺らの食糧を分けなきゃならんのだ。」
兵士2「どうせなら、もっと喰われてくれりゃ良かったのによ・・・。」
エレンは、兵士1に詰め寄ろうとする。
ハチマン(何処にでも、ああいう屑は居るもんだな・・・。」
兵士1「ああ!?なんだと!?」
兵士1は、ハチマンに詰めかかる。
ハチマン(やっべ。声出てた!?)
しかし、
ハチマン「?何でしょうか?」
ハチマンは、自分の言った事に気づかないふりをする。
兵士1「おいお前!さっきなんて言った!」
ハチマン「・・・?俺ですか?」
兵士1「そうだ!」
ハチマン「・・・?何も言ってませんけど?」
兵士1「嘘をつくな!」
ハチマン「?嘘なんていってませんけど?
変な言いがかりは、やめてくれませんか?
迷惑ですよ?」
兵士1「ああ!?」
ハチマン「それとも、まだ
「子供に詰め寄る碌でもない兵士」
って言うのを続けますか?」
兵士1「!」
周りの大人は、兵士1のことを冷ややかな目で見ている。
兵士1「・・・チッ。」
そして、そのまま立ち去っていった。
ハチマン「ふぅ。あぶねぇあぶねぇ。」
ミカサ「ハチマン。」
ハチマン「はい!?」
ミカサ「もう、同じようなことはしないでね・・・?」ゴゴゴッ・・・
ハチマン「はいっ!」ガタガタブルブル・・・
エレン「ハチマン。さっきはありがとな。」
ハチマン「?何のことだ?」
エレン「ふっ。ごまかすのがうまいなぁ・・・。」
ハチマン(えっ!?マジで何のこと!?)
エレン「さて、パン食おうぜ。」
エレン「死んだ母さんのためにも、
絶対ウォール・マリアを奪還して、巨人を駆逐する・・・。」
ハチマン「!」
ハチマン(やっぱり・・・。すごい憎悪、殺意・・・。)
ハチマン(いつか壊れないか心配だな・・・。)
---
その日の夜、俺は、
ミカサ「ぅんぅ・・・。」スリスリ
ハチマン「・・・。」ナデナデ
何故か、ミカサに寝るまでなでろとおどsゲフンゲフンお願いされ、
なでていた。
ハチマン(いや、なんで!?
エレンになでてもらえよ・・・。)
ヒョウ(とかおもってるんだろうなぁ~・・・。)
てか、ミカサさん!?肩に顔をこすり付けないで!?
めちゃやわらかい頬が当たってる!
ミカサ(ハチマンのなでなで・・・、きもちいい。)
---
次の日、俺たちは、別々の開拓地に送られることになった。
ミカサ「・・・。」ギュッ・・・
ハチマン「・・・。」ナデナデ・・・
ミカサ「じゃあ、ハチマン。また、訓練兵団で。」
ハチマン「ああ。」
俺とヒョウ、ミカサは、再来年の訓練兵団に入団することにした。
それまで、ミカサたちと離れ離れになるわけで・・・。
少し・・・、寂しく感じた。
ハチマン「よし、行くぞ。」
ヒョウ「うん。」
---
開拓地に向かう途中
「beat it beat it. No one wants to be defeated!」
(何の曲を歌ってんだ?)
開拓地として向かったのは、荒れた野原だった。
近くには川もあり、森もあった。
俺たちは、そこの開拓をするようだ。
兵士「全員!道具を持ち、開拓を始めろ!」
そういい、兵士は、どこかに行った。
ハチマン(具体的な指示はねぇのかよ・・・。)
ヒョウ「とりあえず、くわで土を耕そう。」
ハチマン「ああ。」
---
そんな作業を一日中して、これを毎日やるのか・・・。と思いつつ、
あまり意味のないような・・・。と考えてしまう。
日が昇り切った頃に起き、一日中荒地を耕し、
兵士から食べ物の支給を受け取り、それを食い、寝る。
そんな日々だった。
とある日、たまたま早く起きると、どこかから、音がした。
俺は、それが何の音か確かめるため、横でぐっすり寝癖をつけて寝ているヒョウを
起こさないように、外に出た。
音のするほうへ隠れながら行ってみると、金髪の少女が蹴りの練習をしていた。
ハチマン(なるほど、さっきからしていたのは、この音か・・・。)
俺は、たまにヒョウが呼び出したAU sans、Delta!Sansに受身やカウンターを
教えてもらっているからか、彼女の格闘技術の高さが多少分かった。
ハチマン(・・・関わらない様にしよう。)
そう思い、寝床に戻ろうとしたとき、
『ガサッ』
茂みに隠れていたため、葉が擦れ、音が出てしまった。
ハチマン(やべ!)
??「誰だ!」
敵だと思っているのか、思いっきりこちらに蹴りをしてくる少女。
俺は、とっさに彼女の蹴ってきた足を左手で受け止め、右肘で彼女の腹を
肘打ちした。・・・してしまった。
どう考えても、人に、ましてや少女にする事ではなかった。
そう考えたからなのだろうか。体を無意識のうちに動かして、
左手を離し、右腕を彼女の背中に回して、押し出し、後ろに倒れないようにした。
そうするとこちら側に倒れてくるわけで・・・。
??「わぷっ!」
彼女が倒れてきたため俺も倒れ、頭が地面に勢い良くダイブした。
ハチマン「いってて・・・。」
??「・・・。」スンスン
ハチマン「あの、怪我ありませんか・・・?」
??「!」
声をかけると、そこまで怪我を負っていなかったのか、
何の抵抗もなく、立ち上がった。
??「あんた・・・。何者?」
ハチマン「・・・すいませんでしたー!!」ドゲザorz
??「!?」
ハチマン「隠れて盗み見てた上に、反撃してしまって
すいませんでしたー!!!」
??「・・・。いや、別にいいけど・・・。」
ハチマン「何でもしますので!
すいませんでしt??「べつにいいって!」
??「・・・はぁ。とりあえずさっさと質問に答えて。
あんた何者?」
ハチマン「ひゃい!シガンシナ区出身、ハチマン・ヒキガヤです!」
??「!シガンシナ・・・。」
彼女が急に黙り込んでしまったため、声をかけてみる。
ハチマン「あの・・・。」
??「!あんた、なんで、私の技で反撃できたの?」
ハチマン「いや、知り合いに受身とカウンターに
ついて教えてもらったからですけど・・・。」
??「ふぅん。ねぇ、あんた。さっきなんでもするって言ったよね。」
ハチマン「は、はい。」
??「ならさ、その受身とかうんたー?ってやつについて教えてよ。」
ハチマン「へ?」
??「だから、その受身とかうんたー?ってやつについて
教えてって言ってるの。」
ハチマン「い、いいけど・・・。」
??「なら、許してあげる。あ、あと敬語も使わなくていいから。」
ハチマン「わ、分かった。え、ええっと・・・。」
アニ「自己紹介がまだだったね。私は、
アニ・レオンハート。よろしく。」
ハチマン「よろしく。アニ。」
これが、格闘少女、アニとの出会いだった。
---
あれから、数週間。
俺とアニは、日が昇る少し前から、日が昇りきるまで、格闘術の
鍛錬をしていた。
アニの格闘術は、父親に教わり、格闘技がアニにとって
父親とのかかわりを繋げるためのものだったらしい。
それほど父親に固執しているわけでも、執着しているわけでもないようだが、
アニにとって唯一自分の存在意義を示すことができるものが、
格闘技だと思っていたようだ。
俺は、アニの格闘術を異常者オカシナモノと協力して、見て学び、
アニほどではないが、多少は上達し、強くなれた。
元々の生活に、朝の訓練が追加されたような感じの日々を送っていた。
そんな日々で荒地に開拓しつつ、体を鍛えたりすると、
やはり、パンひとつでは、足りなくなる。
そんなわけで、ヒョウと近くの森に食料調達をしに行った。
---
ハチマン「ヒョウ!」
ヒョウ「OK!」
ザシュッ!
キュゥ・・・
ヒョウ「よし!仕留めた!」
ハチマン「これで2匹だな・・・。」
狩りを始めて、数十分、ウサギを二匹仕留めた。
他にも、食べられそうな野草があり、それと一緒に食べることで、
栄養面でも、マシになりそうだ。
ヒョウ「なら、後1匹仕留めようか!」
ハチマン「?もう終わりじゃないのか・・・?」
ヒョウ「何言ってるの?あと1人、食べさせたい人がいるでしょ?」
ハチマン「!?」
ヒョウ「もしかして、ばれて無いとでも思った?
ちゃんと知ってるよ!
君が朝早くから他の人と一緒に鍛えているのは。
その人にも、おすそ分けしないとね!」
ハチマン「ああ・・・。」フッ
ヒョウ「・・・。」ニコニコ
---
アニを探すため、建物の周りを探していると、
ドンッ
・・・?
ドンッ
何かの音がした。
音のするほうへ行ってみると、
兵士1「何なんだよお前!」
2人の兵士がアニを殴っていた。
ハチマン(は?)
兵士2「おい、なんか言ったらどうだ。」
ハチマン(こいつら・・・!)
ハチマン「あんたら・・・、何してんだ?」
兵士1,2「「!」」
兵士1「ああ?」
兵士2「何でここに居る?」
ハチマン「人を探しにきたんっすけどねぇ・・・。
ちょうどその相手が、何故かは分からないが、暴力を振るわれている。
だから声を掛けさせた貰った。
ただそれだけですよ。」
兵士1「はぁ?こいつに用があるねぇ・・・。
悪いが、俺もこいつに用がある。
さっさとうせろ。」
兵士2「それとも、実力行使のほうがいいか?」
ハチマン「ぷっっくくく。」
兵士1,2「「は?」」
ハチマン「実力行使ねぇ・・・。
本当に実力があるのなら、調査兵団か、
憲兵団に入ってんじゃないっすかねぇ。」
兵士1,2「「 。」」ブチッ
兵士1「おい、餓鬼一人が何ほざいてやがる。」
ハチマン「でも事実でしょ?本当に実力があるなら、憲兵団に入ってるし、
調査兵団でも生き残っていけるはずだ。
でも、あんたらは、駐屯兵団、さらには弱い者いじめを楽しむ
連中だ。そんなやつが、たいして実力持ってるわけねぇだろ?」
兵士2「てめぇ!言わせておけば!」
怒り狂った兵士2が俺に殴りかかってくる。
しかし、
ハチマン「・・・。」テヲニギリシメル
兵士2「は・・・?」
俺が自分の手を握り締めると、兵士2は、動かなくなった。
兵士2「う、動けない・・・?」
ハチマン「・・・。」テヲシタニフル
兵士2「ぐはぁっ!」
その手を下に叩き落すように振ると、兵士2は、地面に叩き付けられ、気絶した。
兵士1「!てめぇ!何した!」
ハチマン「・・・。」テヲニギリシメル
兵士1「なっ!」
俺がもう一度自分の手を握り締めると、兵士1は、動けなくなった。
兵士1「何だこれ・・・。」
混乱している兵士1に俺は声を掛ける。
ハチマン「なぁ、兵士さんよぉ。」
兵士1「ひぃ!」
ハチマン「はぁ、俺はもう手荒な真似したくないんだ。
放してやるからもう一人の兵士さん連れて、
どっか行ってくれねぇか?」
兵士1「わ、分かった。分かったから!」
俺は兵士1を放すと、兵士1は兵士2を連れて、どこかへ行った。
ハチマン「アニ、だいじょうぶか?」
アニ「あんた・・・、何で助けたの?」
ハチマン「自分のためだよ。」
アニ「は?」
ハチマン「俺は、元々は同じ目に遭わされる側だったんだ。
その時、見てみぬふりをするやつらが嫌いだった。
俺は、そんなやつらと一緒になりたくないだけだ。」
アニ「そう・・・。ばっかじゃないの?」
ハチマン「お前みたいなかわいいやつを助けられるなら、
馬鹿でいいんだよ。」
アニ「っ!」
---
《確認しました。条件を達成しました。
ユニークスキル『正義ユルサヌココロ』を獲得・・・成功しました》
---
ハチマン(!?なんだ?さっきのは・・・。声・・・か?
てか、俺はアニを呼びにきたんだった!)
ハチマン「それはそうと、アニ、ちょっと付いて来てほしいんだが・・・。」
アニ「?いいけど・・・。」
俺は、アニを主に焚き火をあげたり、寝泊りしている建物の
裏のほうに連れて行った。
ヒョウ「その人が、ハチマンといつも一緒に鍛えている人?
僕、ヒョウ・ギルデット!よろしくね!」
アニ「!・・・どうも。」
ヒョウ「?・・・。」
ハチマン「アニ、お前に渡したいものがあってな・・・。」
アニ「なに?」
ハチマン「これだ。」
そういって俺は、ちょうどいい感じに焼きあがったウサギ肉を手渡した。
アニ「これって!・・・いいのかい?」
ハチマン「ああ。お前には格闘術とか教えてもらってるし、
その・・・ちゃんと飯食って生きてもらいたいし。」
アニ「・・・そうかい。なら、ありがたく貰っとくよ。」
ハチマン「ああ。しっかり、味わって食えよ。」
アニ「ああ。そうさせてもらうよ。
・・・ねぇ。」
ハチマン「?どうした?」
アニ「この肉、狩りで手に入れたよね。」
ハチマン「ああ。そうだが?」
アニ「私も、一緒に狩りに行かせてくれない?」
ハチマン「!・・・どうする?」
ヒョウ「別にいいんじゃない?
人手が増えるのはありがたいことだし。
ハチマンの鍛錬に付き合ってもらってるし。」
ハチマン「という事らしい。」
アニ「・・・どういうこと?」
ヒョウ「一緒に行こうってことだよ!
まったく~、ハチマンは捻デレなんだから~。」
ハチマン「おい。なんでその造語を知ってる。」
ハチマン(あの愚妹を思い出すだろうが・・・。)
アニ「あんたら・・・、仲良いね。」
ヒョウ「まあね!」フフン!
ハチマン「はぁ~。とりあえず明日の夜、狩りに行くぞ。」
アニ、ヒョウ「「うん。(ああ。)」」
俺たちは今、近くの森に来ている。
ハチマン「よし、武器は持ったか?」
ヒョウ「うん!」
アニ「持ったけど・・・。ねぇ、ほんとに貰っていいの?
このナイフ。」
そういうアニの手には俺が、骨で作れる限界ぎりぎりの硬度と
鋭さを持たせたナイフがあった。
ハチマン「ああ。別にいいぞ。また作ればいいし。」
そう限界ぎりぎりと言ったが、別に1つしか作れないという
わけでもなく、ただ時間がかかるというだけである。
ので、すでに10個ほど同じものを作っている。
これだけあれば、異常者オカシナモノの統合分離で、剣にしたり、
槍にしたりもできるだろう。
アニ「そう・・・。なら、ありがたく貰っとくよ。」
ハチマン「ああ。そうしてくれ。」
ちなみに今、全員の装備している武器は、
・ハチマン ナイフ×10、弓×1、矢×100、片手剣×1、槍×1
・ヒョウ ナイフ×2、片手剣×1、大剣×1、盾×1
・アニ ナイフ×1、足の防具×2
となっている。
ハチマン(これで、非常時の戦う装備は大丈夫だろうが・・・。)
ハチマン(なんだか嫌な予感がするんだよなぁ。)
そんなことを考えつつ、俺たちは、森の中に入った。
---
あれから体感20分ほど、やっとウサギ1匹を仕留めた。
ハチマン「なんかすごい時間かかったな・・・。」
ヒョウ「うん。今まで何回か来てるけど、こんなに時間は
かからなかったのに・・・。」
野生動物を増やすためにも、狩りをしない時期と日数を設けているのだが、
今日は、やけに狩りにくい。
ハチマン(森に入る前の嫌な予感と関係しているのか・・・?)
そう思い、今日はこのウサギ肉と森の木の実を集めて帰ろうと考え、
ハチマン「悪いが、今日はあまり狩れなさそうだし、野草を採って
帰ろうと思うんだが・・・。」
ヒョウ「うん。その方がいい。一日に3匹見かけたウサギが、
急に、ほとんど見えなくなるなんておかしい。
今日は、早めに切り上げた方がいいと思う。」
ヒョウはそう言い、俺の案に賛成してくれた。
アニ「正直言って、私には分からない。だから、あんたたちに任せるよ。」
2人の了承を得たところで、森を出ようとしたところ、
グゥッ
ウォーン
熊と狼の群れが、こちらに近づいてきた。
ハチマン(!ウサギ等の野生動物が減ったのは、こいつらが来たからか!)
アニ「まずいよ。数で負けてる上に、相手は野生動物。
完全に狩られる側になってる。」
ヒョウ「!ハチマン!私が狼どもを一掃する!その間に熊を仕留めて!」
ハチマン「!ああ!」
アニ「!?あんたら、正気!?」
ハチマン「正気も何も、生き残るには、こうするしかねぇだろ!
アニも熊殺し、手伝ってくれ!」
アニ「・・・はぁ。分かったよ。」
ハチマン「俺が熊を引き付ける。隙ができたら、お前が持ってるナイフを
やつの頭にぶっさせ。
そうすれば、やつは死ぬ。」
アニ「?・・・分かった。」
熊「グオォォッ!」
熊は、俺目掛けて、突進し、右前足を振るってきた。
ハチマン「・・・。」ニヤ
シュッ
だが、俺は、それを空間移動で避ける。
そして、持っていたナイフで、熊の左前足を切る。
熊「グォォォ!」
熊は苦し紛れに、残った右前足で攻撃してくる。
だが、
シュッ
俺は、もう一度空間移動で避け、やつの残っていた右前足を切った。
ハチマン「アニ!」
アニ「フッ!」ザシュ!
その後、アニが熊に止めを刺した。
その時、
熊2「グオォォォ!」
もう1匹、熊がおり、アニに向かって突進して行った。
ハチマン(もう1匹熊がいたのか!)
ハチマン「アニ!」
アニ「!?」
熊2がアニに攻撃する直前に、アニのもとに空間移動して、
アニを、熊の攻撃があたらない方に突き飛ばした。
アニ「!」
俺は、熊2の攻撃を食らうと思い、目をつぶったが、
痛みや衝撃は来なかった。
変わりに良く分からない音が、耳に届いた。
恐る恐る目を開けると、俺の腹辺りに何かバグのようなものがあった。
しかし、それはすぐに消えてしまった。
アニ「そりゃっ!」ザシュッ
混乱していると、熊2も訳が分からなかったのか、放心状態だった。
そこに、アニが熊2の首筋を切り裂き、絶命させた。
アニ「はあ、はあ、ふうっ。ハチマン、大丈夫?」
ハチマン「あ、ああ。大丈夫・・・だと思う。」
ハチマン(何だったんだ?あの謎の音とあのバグみたいなものは・・・。)
異常者オカシナモノ『ハチマン。』
ハチマン(!異常者オカシナモノか。どうした。)
異常者オカシナモノ『先ほどのバグのようなものについてだが・・・、
あれは、私の能力の一部、『異常生成』と『異常操作』によるものだ。』
ハチマン(あれが・・・。『異常生成』と『異常操作』・・・。)
異常者オカシナモノ『ああ。私が君に能力を教えた時に、
どんなものか言ってなかったからな。分からないのも当然だ。』
ハチマン(なるほどな・・・。異常者オカシナモノ、助けてもらったな。
ありがとう。)
異常者オカシナモノ『フッ、別にいい。君が死ねば、スキルとしての私も死んでしまう。
私にとって、それが都合の悪いだけだ。』
ハチマン(そうか・・・。)
ハチマン(『異常者オカシナモノ』は、『スキルとしての』と言った。
つまり、スキルじゃない『異常者オカシナモノ』の本体がいるのか・・・?)
アニ「ねぇ。ほんとに大丈夫?」
ハチマン「!あ、ああ。大丈夫だ。少し考え事をしてた。」
アニ「そう・・・。さっきは、助けてくれて、・・・その・・・ありがとう。」
ハチマン「別にいい。お前が攻撃されて、死んでしまったら、
鍛錬の相手がいなくなるから、それが困るだけだ。」
アニ「あんたも、さっき死にかけたけどね。」
ハチマン「・・・まぁな。」
アニ「・・・約束してほしいことがある。」
ハチマン「・・・何をだ?」
アニ「・・・もし、たとえ死にそうになったとしても、絶対に諦めないで。」
ハチマン「は・・・?」
アニ「私が、助けるから、必ず生き延びて。」
ハチマン「・・・できるだけ、善処する。」
アニ「はぁ~、絶対って約束して。」
ハチマン「ッ!・・・分かった。」
アニ「フフッ、ありがと。」
ハチマン「かわいいな・・・。」
アニ「っ!」
アニ(い、今、わ、私のことかわいいって、たしかにハチマンは、
かっこいいし、やさしいし、良い匂いするし、ってまてまて、
私何考えてるの!?)ハチマン「アニ。」
アニ「っ!な、なに?」
ハチマン「とりあえず、この熊どうする?」
アニ「へ?」
ハチマン「いや、だから、この熊食うか、食わねぇか、決めようぜ。」
アニ「う、うん。」
ハチマン「う~ん。この熊食えるところと食えないところで切り分けて・・・
食える部分は燻製にでもして、食えないところはってどうした。
人の顔じっと見つめて。」
アニ「へぇっ!?べ、別にあんたの顔を見てたわけじゃないんだから!」
ハチマン「ツンデレかよ・・・。」
ヒョウ「おーい!ハチマン、アニ!」
ハチマン、アニ「「!」」
ヒョウが戻ってきたようだ・・・、全身血まみれで片手剣を肩に乗せながら。
アニ「ひっ!」
アニは、悲鳴を上げると、俺に抱きついてきた。
ハチマン「アニさん!?なにやってるんですか!?」
ハチマン(やばいやばい。まだ子供だから、反応はしてないけど、
抱き付かれるのはヤヴァイ!)
アニ「!ご、ごめん!ちょっとびっくりして・・・。」
ヒョウ「?」
ハチマン「いや、俺もびっくりしたし、その気持ちは分かる。
あれは怖い。」
ハチマン(持ってるのが、俺の作った片手剣だから余計怖い。
あれ、木に対して素振りしただけで切れるもん。)
ヒョウ「!ああ!ごめんごめん。」
ハチマン「気をつけてくれ。マジで危ないから。それ。」
ヒョウ「あはは。気をつけるよ。」
ヒョウ「あ、そうそう。狼の群れは全員殺したから。
これでしばらく狩りに行かなくて済みそうだね!」
ハチマン「ああ。こっちも、熊2匹を仕留めたから、大分食料は集まった。」
ヒョウ「?あれ?熊は1匹じゃ・・・?」
ハチマン「いや、2匹いてな。食える部分と食えない部分を
分けようと思うんだが。」
ヒョウ「なら、さっさと済ませようか!」
---
あの後、俺たちは熊2匹と狼6匹を解体し、森を出て、食える部分を燻製にした。
そして、3人で狼の燻製焼きを分け、熊の肉は、川の水に浸し、
腐りにくいようにして、保存しておいた。
そして、静かに寝泊りしている建物に戻った。
ハチマン「おやすみ。」
アニ、ヒョウ「「おやすみ。」
ススス
ハチマン「ん?」
寒いはずの布団の中に少し暖かいものが、入ってきたような気がして、
布団の中を見てみると、
ハチマン「おい。」
アニ「・・・?」
ハチマン「何で布団の中に入ってきてる。」
アニ「は?」
ハチマン「何当たり前のことを聞いてんの?って顔すんな。
おかしいだろ。何で入ってきてんだよ。」
アニ「そんなの、寒いからだよ。」
ハチマン「なら、もっと寄ってくれ、反対側に。」
アニ「やだ。」
ハチマン「なんで。」
アニ「寒いから。」
ハチマン「・・・。」
ハチマン「・・・おやすみ。」
アニ「おやすみ。」
ヒョウ「ほにゃ~。」スヤァ~
ハチマン、アニ(猫?)
---
超大型巨人襲来から2年がたった。
王政は、1年前にウォールマリア奪還を名目に大量の避難民を作戦に投入した。
その数25万人で、人口の2割に相当したが、生存者はわずか百数十名。
まさに口減らしである。
その1年後である今年、俺たち3人は、訓練兵団に志願した。
俺たちが居た開拓地からは、他に志願者はおらず、3人だけだった。
今、俺たちは、訓練兵団基地に向かう馬車に乗っていた。
今の時間は、夜。ヒョウは馬車の奥の方で毛布に包まって、猫のように寝ている。
ヒョウ「にゃ~。」スヤスヤ
・・・マジで猫みたい。
ハチマン「アニ。早く寝たほうがいいぞ。」
アニ「ハチマンは?」
ハチマン「俺は、もう少ししたら寝る。」
アニ「そう言って、ずっと起きてるんじゃないの?」
ハチマン「さすがにそれはねぇよ。」
アニ「はぁ~。」
アニは、ため息をつく。
アニ「ねぇ、頭なでてくれない?」
ハチマン「!・・・そういってくるのは、久しぶりだなぁ。」
アニ「いいじゃないか。たまには。」
ハチマン「まあ、たまにはいいか。」
ハチマン「・・・。」ナデナデ
アニ「・・・♪」
ハチマン「にしても、アニの髪はやっぱりなでやすいな。
朝の寝癖はあんなにひどいのに。」
アニ「あんたもその髪の毛はずっと立ってるじゃないか。」
ハチマン「ばっか、これは俺の唯一、いい意味でのチャームポイントだ。
これが無かったら、ただの猫背の目の腐った男になるだろ。」
アニ「いや、あんたの目は腐ってないだろ。」
ハチマン「いや、腐ってるだろ。」
ハチマン(いやいや、目が腐っていないわけがないだろ。
中学高校でさんざん目が腐っていると言われ続けたんだ。
前の世界では今の年齢にはもう目が腐りかけていたし、
今も目が腐っているに違いない。)
ハチマン「気休めはいい。」
アニ「気休めじゃないって。・・・はぁ。」
ハチマン「・・・もうそろそろ寝るか。」
アニ「なら私も。」
ハチマン「おう、そうか。おやすみ。」
アニ「ああ。おやすみ。」ガサゴソ
ハチマン「・・・アニ。なんで毛布の中に入ってくるんだ?」
アニ「訓練兵団じゃ別々の寮で寝るから…最後に一緒に寝ようと思って」
ハチマン「はぁ、分かった。一緒に寝るか。」
そう言い、俺はアニと一緒に同じ毛布で寝た。
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