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イベリス

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第九十三話 お弁当を食べてからその五

「いいのよ」
「そこはそれぞれ違うわね」
「吉野家が好きでもね」
「そうね、しかしね」
「しかし?」
「いや、牛丼も馬鹿に出来ないわよね」 
 咲はこの料理自体についても思った。
「本当に早い安い美味いで」
「いいでしょ」
「時々無性にね」
「食べたくもなるわね」
「そうだしね」
 そうした食べものでもあってというのだ。
「いいわよね」
「そうよね」
「じゃあ今度ね」
「牛丼食べるのね」
「お姉ちゃんを誘って」
 夢、彼女をというのだ。
「そうするわ」
「それはいいわね、行って悪いお店じゃないしね」
「そうよね」
「昔は女の子が入るとね」
 吉野家はというのだ。
「あまりいい顔されなかったみたいだけれど」
「誰でも行くでしょ」
「それが昔はよ」
「違ったのね」
「そう、男の人が行くお店で」
 そうした印象があってというのだ。
「それでね」
「女の人はなのね」
「女の子は特にね」 
 そう呼ばれる年代はというのだ。
「そうだったのよ」
「あまり、なのね」
「入らなかったのよ」
「そうなのね」
「けれどね」
「今は違うわね」
「誰が入ってもよ」
 その女の子がというのだ。
「別にね」
「おかしくないわね」
「結局誰がどのお店に入ってもよ」
「いいのね」
「そうでしょ、変なお店でないと」
 さもないと、というのだ。
「別にね」
「誰がどのお店に入って」
「何を食べてもね」
「いいのね」
「それでね」
「それでね?」
「あんたと愛ちゃんがね」
 二人でというのだ。
「牛丼一緒に食べてもね」
「いいのね」
「何が悪いのか」
 それこそというのだ。
「そう聞かれるとね」
「悪くないわよね」
「全くね」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「行ってきたらいいわ」
「そうしてくるわね」
「今度愛ちゃんと遊びに行ったらね」
 二人でというのだ。 
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