FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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ドラゴンクライ・終焉
前書き
ドラゴンクライの時のシャルルとルーシィの変身シーン何よりも力入ってるように思った。
そして明らかに盛られている女性陣の胸(*_*)ウェンディ…
タッタッタッタッ
人気が多い街の中を進むのは得策じゃないと考えた俺たちは昨日山の中へと逃げる際に使った古い道を進んでいる。今のところ敵の気配も姿もないが、街の方が妙に騒がしいのが気になる。
「向こうの方が騒がしいな」
「様子を見てくる」
「お願いします」
「気を付けてください」
何か起きているのかとグレイさんがルートを変えて見てきてくれる。俺たちはその間にも北西にある神殿へと向かって進んでいく。
「早速お出迎えみてぇだな!!」
前方からこちらに向かってくる兵士たち。その人数が少ないことに疑問を持ったけど、この時実は街の方でたまたま来ていたガジルさんたちを俺たちの増援だと勘違いした兵士たちが戦いになっていたらしく、こちらに割ける人員が減っていたことが理由だったらしい。
そんなことなど知るよしもない俺たちはそのまま突っ込もうとしたところ、後ろを走っていたエルザさんが俺たちの間を縫って前に出て兵士たちを一掃する。
「ここは任せろ!!神殿に向かえ!!」
「わかった!!」
「行くぞ!!」
「あいさー!!」
彼女の横を通りすぎていか俺たち。しかし誰も突っ込まないんだけど、俺は目の前を飛んでいるハッピーが気になって仕方がない。
「ハッピーなんだその色!?」
ここにきてようやく気付いたナツさんが思わず大きな声を出す。本来青いはずのハッピーの身体が真っ赤になっており、一瞬彼なのかわからないほどになっているのだ。
「うわ!?昨日食べた木の実のせいかな!?」
どうやら本人も気が付いていなかったらしく自身の手を見て驚いている。まぁあの木の実が毒じゃなかっただけよかったのかな?いや、食べないに越したことはないんだけどさ。
そのまま神殿へと向かって進んでいくものの、とにかく距離があるのかなかなかたどり着けない。気が付くと辺りは日が暮れ始めており、夕日が沈み始めている。
「!!皆さん!!後ろ!!」
「「「「「え?」」」」」
神殿までもう少しかと思われたところで後ろから何かが迫ってくる音がする。その正体は先日俺たちを襲撃してきた乗り物使い。
「うおっ!?」
俺の声で気が付いた皆さんはギリギリでそれを回避する。丸い乗り物に乗っている男は動きを止めると、例のごとく笑みを浮かべながら振り向いた。
「おっそ」
「お前がな」
「!?」
得意気な表情で腕を組みながらバカにした態度を取る男だったが、その余裕が仇となる。奴がこちらから視線を切っていたうちにジャンプした俺は振り向いた男の背後を取ると、そのまま肘撃ちで地面へと叩き落とす。
「くっ」
不意打ちの仕返しをしたかったが彼はバランスをすぐに取り地面に落ちる前で急上昇、距離を取られてしまった。
「ウェンディ、手伝って」
「うん!!シャルル!!セシリー!!」
「わかったわ」
「任せて~」
地面に着地し敵を見上げる。相手は空中戦が得意なようだしセシリーたちの翼は必須。今回は不意を突いたけどここからは向こうも対策してくるだろうし、ウェンディにも協力してもらうことにした。
「ナツさん、ルーシィさん、行ってください」
「ここは俺たちが引き受けます」
「任せたぞ、シリル、ウェンディ」
神殿へと向かって走り出すナツさんたち。本来ならあの乗り物使いは彼らを引き留めることが役割なんだろうけど、一撃を食らったことで冷静な判断ができなくなっているのか、そちらに意識が向いていない。
「ナメんなよ!!」
相当先ほどの攻撃で苛立っているようで男は俺目掛けて突進してくる。
「!?速ッ!!」
動き出しはわかったから回避できると思った。しかし俺の予想よりも早く彼は目の前へと来ており、回避するまもなく体当たりを受けてしまう。
「シリル!!」
「余所見かよ」
「!?」
俺を心配して意識が向いた隙を突かれて攻撃を受けるウェンディ。それを俺たちが目で捉えられないほどの速度で蹴りを放っていたようで、彼女は後方へと飛ばされていた。
「ウェンディ!!」
「大丈夫!!ありがとう」
それをシャルルが人の姿になって受け止めてくれたおかげで最小限のダメージで済むことができた。相手はいつの間にか丸型からサーフボードのように変化している乗り物に立っている男はこちらを見下ろしていた。
「ナイスシュート」
自身の攻撃に酔いしれている様子の男は上空でそんな余裕綽々っぷりを見せてくる。その姿は腹立だしいけど、真っ向から戦うとあのスピードには付いていけない。
「シリル~、僕たちも飛ぶよ~」
「サンキュー、セシリー」
人の姿になったセシリーに持ってもらい上空へと飛び上がる。ウェンディも同様の状態で俺たちの横へと並ぶ。
「行こう、ウェンディ」
「うん!!速度倍化!!付加!!」
ウェンディの付加魔法によりスピードアップを図る。セシリーとシャルルにもそれを付加しているため、二人の速度を借りて突進する。
「「はああああ!!」」
「よっと」
今出せるこちらの最高速度。それにも関わらず男は迷わずこちらに向かってくると、二人がかりにも関わらず押し負けてしまった。
「「「キャアアアア!!」」」
「くそっ!!」
パワーはこっちの方があるかと思ったけどスピードかあるせいで勢いで負けてしまう。その様子を顔色一つ変えずに見ている相手を見て気持ちが焦る。
「ね~、シリル~」
「何?セシリー」
こっちはこれ以上のスピードは出せないが相手はまだ余力がある感じ。どうすればいいかと考えていると、俺の背中にいる少女が耳打ちしてくる。
「え?そうかな?」
「そんな感じしない~?」
「いや・・・まぁ・・・」
彼女の気付きを信じたくはないけど、でもその可能性は相当高い気がする。ただ問題はどうやってそれをあぶり出すかになってくるんだけど・・・
「天竜の咆哮!!」
俺が頭を悩ませている間にウェンディが攻撃を試みる。しかし男は彼女のブレスに突進していくと、まるでサーフィンをするかのように風に乗りウェンディに向かっていく。
「危ない!!」
「キャッ!!」
シャルルがギリギリで上空へと飛び上がりそのまま逃げる。それを追いかける相手だけどスピードがある分距離が縮まっている。
「ひとまず試してみるか」
「そうしよう~」
彼女の救出のためにセシリーに最高速度で追いかけてもらう。しかしさすがにスピードを売りにしているであろう男との距離は縮まらない。
「どうしよう~、追い付かないよ~」
「ならここから狙う!!」
両手を合わせて魔力を高めていく。速度はあるけど狙えないほどじゃない。しかも相手はウェンディたちだけに意識が向いていてこちらを見ようともしていない。
「雲竜水!!」
久しぶりの魔法で狙い打つ。相手が進むであろう距離と速度を予測して放ったそれは相手を捉えようとした。
「危ねっ」
「「!?」」
しかし捉えたと思った瞬間相手は乗っている乗り物を器用に傾けこれを回避する。
「うわ~!!交わされた~!!」
「いや・・・でも・・・」
悔しそうにしているセシリーだが、彼女に俺は視線を向けると、何が言いたいのかわかったようでそれに頷いて返した。
「ウェンディ!!」
「シャルル~!!」
「「!!」」
作戦が決まった俺たちはウェンディとシャルルに声をかける。彼女たちはこちらを不思議な目で見ていたが、幼い頃からずっと行動を共にしてきた俺たちはアイコンタクトで意志が伝えられる。
うまく二人も何が言いたいのかわかったようで頷くと、彼女たちは俺たちの方へと向かってくる。
「逃がすかよぉ」
俺たちの方へと向かってくる敵を見て俺とセシリーもウェンディたちと合流しつつ逃げるように速度を上げる。
「シリル、どうしたの?」
「あれ?伝わってなかった感じ?」
てっきり俺の言いたいことがわかったからこちらへ来てくれたのかと思ったけど違ったらしい。長い付き合いでもアイコンタクトだけではダメなのか、ちょっとショック。
「あいつの弱点がわかったかも」
「え?ウソ」
「見つけたの僕だけどね~」
セシリーが真っ先に気付いた相手の弱点。最初は半信半疑だったけど、相手の行動から見てもおよそ間違いないだろう。
「何?弱点って」
「たぶんだけど、あいつが速いんじゃなくてあの乗り物が速いだけなんだよ」
「え?ホント?」
あいつは自分のスピードに自身を持っているようだけど、あの乗り物から降りて攻撃を仕掛けてくることがない。さっきの攻撃ももし彼自身のスピードがあるのなら乗り物を捨ててでもウェンディたちを追いかけた方がいいはずなのに、それをしなかったということはほぼ間違いないだろう。
「じゃああの人とあの乗り物を引き離せれば・・・」
「あっちは何もできないはずだよ」
やることは決まった。ただ、いかにしてそれをやるかが難しい。なぜなら相手はこちらよりも遥かに速いせいで攻撃がまともに当たらないのだから。
「だったらいい考えがあるわ」
「「「え?」」」
どうやってあいつをあれから引きずり下ろすか、考えが纏まらない俺たちだったけど、シャルルが何か閃いたらしい。
「ほらほら、見えてきたぜ」
その間にも相手は猛スピードでこちらへと迫ってきている。追い付かれるまで秒読みってところか?
「何?シャルル」
「どうすればいいの~」
「簡単よ。あいつがあの乗り物頼りなら、私たちはそれを利用するだけよ」
「「「??」」」
何が言いたいのかわからなかった俺たちだったけど、少し考えると自然とやるべきことがわかってきた。そうなると少しでも相手には速度を出してもらった方がいいはず。
「セシリー、もう少し出せる?」
「シャルルも。お願い」
「任せて~!!」
「もちろんよ」
二人にさらに速度を上げてもらうと、相手もそれに追い付くためにさらに速度を上げてくる。その表情はあくまで自分が狩る側だという精神的な余裕を感じさせるものだった。
「人生のアウトがよぉ!!」
完全にこちらを落とせると踏んでいるであろう彼はそんなことを言いながらさらに距離を詰めてくる。それを受けて俺とウェンディは横に並ぶように飛行する。
「シャルル~、追い付かれちゃうよ~」
「息を合わせて、ウェンディ、シャルル」
「うん」
「オッケー」
射程圏内に捉えたからだろうかなおも速度を上げてこちらへと迫ってくる。俺たちはそれに気が付いていないフリをしつつ、呼吸を合わせる。
「1、2、3」
シャルルの合図で二人が手を離し、俺とウェンディは身体を横回転させる。相手はそれに驚いた顔をしていたが、もう遅い。
「「えい!!」」
男の顔面目掛けて二人で蹴りを放つ。スピードに乗っていた彼はそれを回避する術もなく地面へと叩き付けられた。
「どっ!!」
乗り物から完全に引き離された男。しかもそれをシャルルが器用にキャッチしており、俺たちは彼が落ちた元へとすぐさま向かう。
ドスッ
彼の真横に乗り物を突き刺したシャルルとセシリー。俺とウェンディは彼を見下ろすと、攻撃の手段を失った彼は焦ったように額から汗が吹き出していた。
「あ・・・ちょっとたんま・・・」
顔を覗き込みながら微笑んでみせた俺たちを見せそんなことを言う彼だったが、当然俺たちはそれを聞き入れることはない。
「「せーの!!」」
そのままタイミングを合わせて二人で顔面へと拳を突き立てる。元々道具頼りの彼は耐久力もなかったようでその攻撃で完全に意識を失っていた。
「やったぁ!!」
「勝ったぁ!!」
勝利したことでハイタッチする俺たち。後で反撃されないようにと彼が乗っていた乗り物を破壊して彼も近くの柱へと縛り付けておく。そのまま俺たちは騒ぎが大きくなっている街の方へと向かうことにした。
タッタッタッタッ
当たりも暗くなり始めた頃、神殿の方から大きな音が聞こえてくる。とてつもない魔力を感じている俺たちだけど、そちらへ向かう前に辿り着いた街の中である人たちを見つけていた。
「何だったんだ、こいつら」
「俺たちに何か用だったみたいだが」
ステラ王国の兵士たちと思われる人たちを踏みつけているのはガジルさんとリリー。その後ろにはレビィさんもおり、なおも倒れている兵士たちを踏みつけているガジルさんを引き剥がそうとしていた。
「ガジルさん!!」
「レビィさん!!」
「リリー!!」
「どうしてここにいるの~?」
なぜ彼らがここにいるのかわからない俺たちは駆け寄りながらそんな質問をぶつける。その声でこちらへと気付いた彼らも驚いた顔で俺たちを迎え入れた。
「なんでお前らこんな島に・・・」
「王様からの依頼で・・・」
「今は隠居してるけどね」
話を聞くとガジルさんたちも依頼でこの島へ来ていたらしい。ただ、依頼も一段落して観光していたところ、突然兵士たちに襲われて戦っていたんだとか。
「すみません、私たちのせいで」
「大丈夫だよ、そっちも大変だったみたいだし」
頭を下げるウェンディとそれを止めるレビィさん。彼女の横にいるガジルさんたちは暴れたりないのか何か言っていたけど、俺たちは不思議な魔力を感じ取り周囲を見渡す。
「なんだ?こいつら」
「兵隊ですか?」
「すごい数・・・」
これまで戦った兵隊たちとは姿が違う黒い鎧を着けた存在。その数は街を埋め尽くすほどの人数で、その敵意は明らかに俺たちへと向けられていた。
そのうちの一人がこちらへと向かってくる。その狙いは藍色の髪の少女。
「ウェンディ!!」
「!!」
俺の声でそれに気が付いた彼女はその攻撃を両腕でガードする。しかし敵の一打はかなりの一撃だったらしく、ウェンディとその後ろにいたシャルルも巻き込んで弾き飛ばされていた。
「ウェンディ!!シャルル!!」
「大丈夫~!?」
「大丈夫よ」
「なんて力なの」
ダメージはそこまで大きくないが攻撃力は桁外れ。しかもそれがこの人数と考えるとなかなか骨の折れる状況だ。
「もしかしてこれがクァルトゥム兵?」
「あん?」
「なんですか?それ」
レビィさんが言った言葉にガジルさんと共に反応する。本を多く読む彼女ならもしかしたらこの兵隊たちのことも知っているのかも?
「滅竜の魔水晶によって作られた人造兵士、別名第四世代の滅竜魔導士」
「「「「「第四世代!?」」」」」
ウェンディは第一世代、ラクサスさんが第二世代、そして俺が第三世代。てっきりそこまでだと思っていたのに、まさかその先があったなんて・・・
「ギヒッ、面白れぇじゃねぇか」
レビィさんの話を聞いた途端に笑みを浮かべるガジルさん。その表情は元の彼の不気味さをより際立たせるほどに嫌な感じを覚えさせる。
「おいガキ、オメェ失礼なこと考えなかったか?」
「いや、たぶんそんなことないですよ?」
そしてこういう時に限って勘が鋭いんだよねこの人。でも失礼なことなんて考えてないよ、だって事実だもん。
「でも、ちょっと面白そうですよね」
遅れてだが彼の意見に同意する。敵の数は無数、しかも俺たちよりも先を行くとされる滅竜魔導士。
「どっちが本物の滅竜魔導士か、わからせてやる」
「とっとと片付けてナツさんたちの援護に行きましょう」
肩をグルグルと回すガジルさんと指をポキポキと鳴らす俺。それに連れてウェンディたちも気合いが入っている様子。
「背中は任せるよ、ウェンディ」
「うん!!そっちはお願いね」
四方を囲まれている状況だが俺たちは複数人数いる。なら目の前の敵の攻撃を後ろに通させなければいい。
「うおおおおおお!!」
「はああああああ!!」
「やああああああ!!」
同族とされた敵を一気になぎ払っていく。数は多いけど能力は全然大したことない。これなら余裕で・・・
「シリル~!!」
「!!」
そう思っていた矢先いきなり肩を貫かれる。その正体は倒したと思った敵が何事もなく立ち上がっているのだ。
「まさかこいつら・・・」
「ダメージを受けていないのか?」
人造兵士であるからか俺たちの攻撃を受けてもすぐに立ち上がるクァルトゥム兵。ただこの間戦った天使たちに比べればその攻撃も大したことない。多少受けても対応できる。
「まぁ・・・どこまで体力が持つかだけどね」
ここ最近の疲労が蓄積してるからか魔力が下がってきている感じが否めない。それでもここで負けるようじゃ、成長なんてできるはずない!!
「おりゃあ!!」
とにかく今はやれることをやる。それに相手は痛みを感じはしないものの破損した部位は治せない様子。これならぶっ壊せばなんとかなる。そう思っていたところ、今度は空に謎の魔法陣が浮かび上がってくる。それも一つだけではなく大量に。
「何!?あれ」
「なんかヤバくない!?」
ウェンディと背中合わせになりながらその異様な光景を見上げる。それに付随するようにナツさんたちが向かった神殿の方から強力な魔力が発せられている。
「まさかこれが・・・」
「ドラゴンクライの力~?」
ドラゴンクライが使われてしまったのかと感じつつもこの人数相手ではまともに動けない。そして上空の魔法陣が黄色から赤色に変化したかと思うと、そこから大量の隕石と雷が降ってくる。
「きゃっ!!」
「レビィ!!」
敵の攻撃と並ぶように降ってくるそれを受け、体勢が崩れたレビィさんを庇うガジルさん。その彼の身体にも隕石が直撃した。
「「ガジル!!」」
「「ガジルさん!!」」
「ガジルくん~!?」
「だ・・・大丈夫だ・・・」
そうは言うものの彼が受けたダメージは見た目にもかなりヤバイ。治癒の魔法をしたいけどこの状況ではそれも厳しい。
「いや・・・これなら・・・」
そこで思い付いた案が一つ。この場には俺とウェンディがいる。俺たちが揃っていれば、あれが使える。
「ウェンディ!!手を!!」
「うん!!シリル!!」
彼女の手を取り魔力を高めていく。指を絡ませて握ったその手から、彼女の温もりと魔力と想いが全部伝わってくるようだ。
「何?これ」
「なんかすごいよ~!?」
俺たちの高まっていく魔力を見て驚いているシャルルとセシリー。これにはレビィさんたちも気付いており、目を見開いてこちらを見ている。
「「滅竜奥義!!」」
俺とウェンディの魔力が完全に合わさったところで互いに握り合わせた手に魔力を集中させ、一気に打ち出す。
「水中海嵐舞!!」
「照波!!天空穿!!」
俺の水とウェンディの風、二つが融合したそれは周りにいたクァルトゥム兵の大半を一気に粉砕した。
「やった~!!」
「すごいわウェンディ!!シリル!!」
俺たちのそれを見て歓喜するセシリーとシャルル。しかしまだ敵はいるため俺たちは再び攻撃を繰り出そうとしたところ、空を覆っていた魔法陣が消え去り、まだ生き残っていたクァルトゥム兵がその場に倒れていく。
「あれ?」
「もしかして・・・」
完全に機能が停止していると思われるクァルトゥム兵を見て俺とウェンディは顔を見合わせると、笑顔になり互いに抱き合う。
「やったわ!!」
「終わった~!!」
シャルルとセシリーは猫の姿になり抱き合っており、リリーも小さくなると笑みを浮かべながら彼女たちに近づく。
「シリル!!」
「ウェンディ!!」
喜びを分かち合っていると遠くからグレイさんとジュビアさんが駆けてくるのが見える。結局ソーニャさんの言っていたステラニウムが暴走するという話は彼女の中にいたドラゴン・アニムスがドラゴンクライを手に入れるためのウソ話だったらしく、何も問題なくこれからも同じように特産物として扱えるらしい。
ただ、これから王としてこの国を仕切っていたアニムスがいなくなったことによりしばらくは再建に時間がかかるとのことだったけど、ソーニャさんや先ほど戦っていたスリースターズが中心となって活動をしているようでステラ王国もより一層発展しようとしているとのことだった。
第三者side
「ありがと、ガジル」
自身を守って負傷した鉄の竜を抱き締めながら涙を流している少女。そんな彼女を引き寄せた竜は奥歯を噛み締めていた。
「俺はまた・・・置いていかれてるのか・・・」
目の前にいる少年少女。二人の見せた合体魔法を見て、彼は震えていた。
同じ滅竜魔導士でありながら常に先を行かれ、追い付いたと思えば引き離される日々。幾度となく続くそれに彼は怒り、悔しさを露にしていた。
「ガジル・・・」
誰の目から見てもわかる彼の様子に怖じけずきそうになる少女。しかしそんな彼女の手を、彼は強く握りしめ、抱き寄せる。
「大丈夫だ。俺はもっと強くなる。お前を・・・お前ら全員を守れるくらいにな」
「・・・うん」
視線を少女のある部位へと落とし、彼女もそこを愛しげに撫で笑顔を見せる。
「ガジルさん!!治療します!!」
「レビィさんも大丈夫ですか?」
そんな二人の元へと駆け寄ってくる小さな竜。その姿を見た二人は立ち上がると、彼らを迎え入れるのだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
これにてドラゴンクライ終了です。無事に完結できました(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
最後の部分は個人的にガジレビが好きなんで書きたくなりました。てかガジルはもう少し活躍してもいいと思う。いや、人のこと言えないんだけどさ・・・
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