神々の塔
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第十一話 魔王と呼ばれる者達その十三
「難しいんが凄いんやない」
「その中身がどうかやな」
「授業がわかりにくい先生はあかん」
こうした教師もいる、中には何十年教鞭を取っていてもその内容が全くわからない教師すらいる。教える才能がなく能力を向上させる努力もしない本物の無能が日本の教師に多いことも事実であるのだ。
「それと同じや」
「わかりやすくないとな」
「その内容がな」
「それでやな」
「吉本の本はな」
「読む価値ないか」
「ほんま読むだけ無駄や」
そうした代物だというのだ。
「そんな奴の本読むより」
「わかりやすいおもろい本読むべきやな」
「ほんまな、私も織田作さんを読んだが」
この作家の作品をというのだ。
「おもろくわかりやすく忍術もな」
「妖術か仙術か」
「そんなもんやった」
そう思われるものだったというのだ。
「私が読んでもな」
「そうなんか」
「面白い娯楽作品でな」
純文学の中でというのだ。
「それでや」
「忍者はか」
「妖術使いでな」
それでというのだ。
「仙人にもや」
「見えたか」
「というか仙人に術習ってるから」
猿飛佐助ではというのだ。
「もうな」
「仙人と言うてもやな」
「殆どな」
「遜色ないか」
「そうちゃうかって思った」
こうシェリルに話した。
「読んでな、後な」
「後?」
「猿飛佐助は続く様やったが」
その結末からというのだ。
「それはないんやな」
「あの人若くして亡くなってるさかい」
綾乃が残念そうに答えた。
「昭和二十二年やったか」
「終戦直後か」
「結核やったから」
「当時不治の病やったな」
「それになってたさかい」
学生時代に罹って以来のことであった、それから終生彼を苛み続け遂にはその命さえ奪ってしまったのだ。
「三十四歳の若さで」
「世を去ってか」
「続きがあったとしても」
「そうはならんかったんやな」
「そやねん、ただこの世界の仙人さんは」
「仙術やな」
「それを使う人で」
それでというのだ。
「妖術使いの人は妖術で」
「忍者は忍術やな」
「昔の日本と違って」
その頃の日本の漫画やアニメそして小説とは、というのだ。
「そうなってるね」
「そやな、まあ昔の日本のそうした作品も」
「おもろいんやね」
「今読むとな」
こう綾乃に話した。
「そう思うわ」
「そうした術の区分が曖昧でも」
「それはそれでな」
「そやねんね」
「何でもありでな」
そうした感じでというのだ。
「それはそれでな」
「そやねんね」
「ほんまそう思うわ」
こうした話もしながらだった。
一行は先に進んでいった、自然環境も今はものともしなかった。
第十一話 完
2023・1・23
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