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やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか

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パラディ島編 第3話 シガンシナ区進行①



 グリシャさんの家にお世話になって、もうすぐ一年がたつ。

 シガンシナ区に初めて来た時は、・・・うん。

 あっちの世界って、すごかったんだなぁと思った。

 いや、だって普通はありえないくらいのでかい壁の中に

 昔のヨーロッパみたいな感じの家が立ち並んでたのだから。

 約二年くらい前だけどはっきり覚えてるあの町並みに比べたらねぇ・・・

 現代人には、キツイものもあるかもしれないけど・・・

 うん。あと、夜が異常なほど暗い。

 電灯が無いからだと思うけど・・・

 ・・・まさか夜出歩くには、ランタンが必要なくらい暗いとは・・・

 ・・・うん。改めて、もとのせかいのぎじゅつは、すごいとおもいました。まる。

 ・・・まぁ、いいところはあるんだけどね?

 たとえば、煙くさくないとか。地球に優しいとか。

 まあ、まずここが地球なのかどうかすら怪しいけど。

 他にあったことは、エレンの友達であるアルミン・アルレルトと出会ったこと。

 ---

  アルミンとあった日

 「おいエレン!どこに行くんだ?」

 「お前らを、俺の友達に紹介しようとおもってな!」

 「へぇ~。エレン、友達いたの?」

 「おい、ヒョウ!ひでぇな・・・。
  俺にだって、友達くらいいるさ。」

 「いや、初対面ですごい口が悪かった人に
  普通、友達がいるとは思わないでしょ。」

 「うっ。まあ、たしかにそうなんだが・・・。」

 「まあ、いいや。その友達な会わせてくれるってこと?」

 「ああ!そいつは、頭がめちゃくちゃ良いんだ!」

 「へぇ~。どんな人かなぁ。」

 「まぁ、エレンが友達って言うやつだ。
  悪いやつじゃないだろ。」

 「まぁ、たしかにね。」

 「お、おい。そんな風に言われると、
  なんか照れるんだが・・・。」

 「「気持ち悪い・・・」

 「ひでぇな、おい!」

 「っていうのが、俺が昔住んでた所での俺の対するあたりの強さの例だな。」

 「そうなの・・・?何処のどいつ?そいつは。
  今すぐ捻り潰してくるから・・・。」

 「いや、もう大丈夫だから。やめてくれ・・・。」

 「へぇ~。・・・結構ひどい扱い、受けてたんだね。」アタマナデナデ

 「なでるな!」

 「別に良いでしょ?」ヨシヨシ

 「いや、やめろよ・・・。」

 「!ヒョウ。ずるい。私にもなでさせて。」

 「ミカサもやめてくれ・・・。」

 「・・・ああ、もう!話がすすまねぇ!
  早く行くぞ!」
 
 「「「うん。(ああ。)」」」

 ---

 「あ!エレーン!」

 「アルミン!よう!」

 「うん!・・・?
  後ろの3人は・・・?」

 「紹介するよ。
  マフラ-を巻いてるやつがミカサ。
  なんか目が濁ってる?感じのやつがハチマン。
  なんか、女っぽい見た目してるやつがヒョウだ。
  俺の新しい友達だ。仲良くしてやってくれ。」

 「うん!僕、アルミン・アルレルト!
  よろしく!」

 「お、おう。よろしく。」

 (や、やっぱり子供だから、純粋で元気だなぁ・・・)

 「うん。よろしく。」

 「よろしくね!」

 「そういえば、エレンが、君を頭がいいって言ってたけど・・・。
  どれくらい言いの?」
  
 「あ、頭がいいってわけじゃないけど・・・。
  たぶん、よく本を読んでるからじゃないかな・・・?」

 「なるほど・・・。
  ねぇ、もしお勧めの本があったら、貸してくれない?」

 「うん!いいよ!」

 「ありがとう!」

 「なんか、あいつらもう仲良くなってんな・・・。」

 「そうだな・・・。」

 (はえぇな・・・。もしかしたら、ヒョウって、
  陽キャなのか・・・?
  ちっ、リア充爆発しろ・・・」

 「?ハチマン、何言ってるの?」

 「!あれ、声出てたか?」

 「うん、リア充爆発しろって所から。」

 (マジですか・・・)

 「・・・キニスンナ。」

 「・・・でも、気にn「キニスンナ。」・・・うん。」

 「ねぇ、ハチマンだよね?」

 「・・・?ああ。」

 「ハチマンってさ、何でそんなに他の人と
  雰囲気・・・かな?がなんで違うの?」

 「!・・・悪いが、それは答えられない。
  それに、聞かない方がいいことだってあるぞ。」

 「!ご、ごめん・・・。」

 「いや別にいい。
  今の年齢は、まだ、善悪が判別しにくいだろうからな・・・。」

 「?はんべつって?」

 「おっと、分かりにくいって意味だよ。」

 「へぇ~。ハチマンって物知りなんだ。」

 「いや、アルミンと同じ。
  本を読み漁ってただけだ。」

 「へぇ~!どんな本があるの?」

 「う~ん。たとえば、なぜ雨が降るのかとか・・・
  あとは、ミステリー小説とかだな。」

 「みすてりーしょうせつ?って言うのは、よく分からないけど・・・
  雨がなぜ降るのか?何で降るの?」

 「それはな、この壁の外にある、海っていう大きい湖の水や
  この壁の中にある川や池の水が、蒸発っていう事を起こして、
  雲を作るからだ。
  そして、その雲に溜まった水が雨や雪になって、降ってくるんだよ。」

 「へぇ~!そうなんだ~!
  って、ちょっとまって!その本は、外の世界について書かれてるの!?」

 「あ、ああ。少し触れてるが・・・。」

 「そうなんだ~!その本、今持ってるの!?」

 「いや、失くしちまってな・・・。
  今は、持ってないんだ。」
 
 「そ、そうなんだ・・・。」

 「アルミンは、外の世界に興味があるの?」

 「うん!外の世界には、僕たちが見たこと無いものが、
  たくさんあるんだ!
  炎の水や氷の大地、砂の雪原。いっぱいあるんだ!
  僕はいつか、それらを見に行きたいって思ってるんだ。」

 「ふっ。そうか。なら、もっと知らないとな。」

 「うん!そうだね!」

 ---

 『ハチマン。私に任せてくれれば、その本くらい複製できるぞ?』

 「まじで!?すげぇな・・・、異常者オカシナモノ・・・。」

 ---

 「もう日が暮れてきた。」

 「さて、帰るか。」

 「じゃあな!アルミン!」

 「うん!またね!みんな!」

 「また明日~。」バイバイ

 ---

 「「「「ただいま(~)。」」」」

 「おかえりなさい。みんな。
  もう、ご飯できてるわよ。」

 「うん。」

 「「「「「「いただきます。」」」」」」

 ---

 そんな日々を過ごしてた。

 だが、そんな日々は、もう、長くは続かなかった。

 ---

 俺はエレン達と焚き木を拾いに行っていた。

 木の根本で昼寝(エレン、ヒョウ、ミカサが。ハチマンは、
 ミカサに寝ながらずっと抱きつかれ、一切寝れなかった。)をしてた3人組が
 やっと起きた。

 ミカサはぐっすり、ヒョウは驚愕と苦い顔をしている、
 エレンは何故か泣くという、起きた後に結構違いがあったが。

 こいつら、情緒不安定か?

 いや、エレンはともかく、ヒョウはありえないと思うが・・・

 「なーに泣いてんだ、エレン。」

 「ハンネスさん・・・。」

 「ミカサかハチマン、もしくはヒョウに怒られたのか?」

 「はあっ・・・!?なんで俺が泣くんだよ!
  って、酒臭っ・・・!」

 奥を見ると樽をテーブルに酒を飲んでる駐屯兵団の兵士が見えた。
 皆酒で酔っているのか、頬がほのかに赤かった。

 ・・・この兵団、職務放棄が多すぎるだろ・・・

 (はぁ~)

 「お前らも、どうだ?」

 「未成年に酒を勧めないでくださいよ・・・。」

 「仕事は・・・?」

 「今日は門兵だ、1日中いると喉も渇くし腹も減る。
  飲み物の中にたまたま酒が混じっていたことは些細なことよ。」

 「そんなんでいざって時に戦えんの?」

 「いざって時って、なんだ?」

 「決まってんだろ!奴らが壁を壊して街に入ってきた時だよ!」

 「元気がいいな、医者のせがれ。
  奴らが壁を壊すことがあったらそりゃしっかりやるさ。
  でもな、そんなこと100年間で1度もないんだぜ。」

 「でもそうやって油断してる時が1番危ないって、
  父さんやハチマンが言ってたんだ!」

 「まあ、確かにな。
  ・・・兵士になればな、壁の補強とかで外の奴らを見る時があるんだ。
  でもな、奴らにこの50メートルの壁をどうこうできるとは思えねえんだ。」

 「じゃあそもそも、奴らと戦う気なんてないってことか?」

 「ああ、そうだな。でもな、エレン。
  兵士が活躍するってことは、それこそ最悪の事態の時だ。
  俺たちが役立たずのタダ飯食らいって
  馬鹿にされてるぐらいの方が皆、平和に暮らせるんだぞ?」

 「一生壁の中から出られなくても飯食って寝てりゃ、生きていけるよっ!
  でもそれじゃまるで、まるで家畜じゃないか・・・」

 「アハハハ、子供が勇ましいね、なにも出来ないくせして・・・。」

 「そう、俺達はなにもできない・・・。
  でも、それはあなた方も似たようなものだ。
  もし奴らが壁の中に入ってきたとしたら、
  あなた達をタダ飯喰らいと罵っていた奴らは
  間違いなくあなた達を頼りますよ。」

 「あなた達は、その時、その人達を守れますか?」

 「家族を・・・、恋人を・・・、友人を・・・、
  大事な人を、恐怖に打ち勝って、守れますか・・・?」

 「わたし、いや私たちには、あなた方がそれをできるとは、
  今のこの状況をみるに、できないと思いますが・・・。」

 「・・・。」

 「・・・。行くぞ、お前ら。」

 「お、おう。」

 「うん・・・。」

 「・・・エレンのやつ・・・調査兵団に入る気じゃないだろうな・・・。」

 「それに、ハチマンのやつ・・・。」

 ---

 「エレン、悪いことは言わない、調査兵団はやめといた方がいい。」

 「私もそう思う。」

 「・・・。」ウンウン

 「な、なんだよ、お前らも調査兵団を馬鹿にすんのか!?」

 「そういう問題じゃn・・・」

カラーンコローンカラーンコローン

 「この鐘の音は・・・。」

 「おそらく、調査兵団が帰ってきたんだろ。」

 「英雄の凱旋だ!
  行くぞ!ヒョウ、ハチマン、ミカサ!」

 「おいおい、ちょっと待てって・・・。ハァ・・・。
  ミカサ、行くぞ。」ギュッ

 「う、うん・・・。」/////

 (なんでこいつ赤くなってんだ?手を握ったから怒ってんのか?
  そうでないと願いたいな・・・。)

 「・・・。」(鈍感・・・。)ハァ~・・・

 ---

 通りに着くと凄い数の人だかりがあった。

 「くそっ、人が多くてよく見えないぞ・・・。あっ・・・!」

 傍に置いてあった木箱を見つけそれに乗る。

 エレンに続きハチマン、ミカサ、ヒョウものる。

 「っ・・・!?」

 そこには身体中が傷だらけの調査兵団の姿があった。

 「「「「・・・。」」」」

 一人の兵士が、モーゼスと言う名の兵士の母親と話している。

 「うっ・・・うわああああああああああああああ・・・!!!」

 「それだけしか取り返すことができませんでした・・・。」

 「でも・・・、息子は役に立ったんですよねっ・・・?」

 「っ・・・!?」

 「なにか直接的な手柄はなくとも息子の死は、
  人類の反撃の糧になったんですよね・・・!?」

 「もちろん・・・!
  いや・・・、今回の調査で我々は・・・、
  いや・・・今回の調査も我々は、
  なんの成果も得られませんでしたぁぁぁぁ・・・!!!!!
  私が無能なばかりに・・・、ただイタズラに兵を死なせ・・・、
  奴らの正体を突き止めることができませんでしたぁぁぁぁ・・・!!!」

 おそらく、いま話していた兵士が、調査兵団の団長なのだろう。

 その声を聞き、ハチマンとヒョウは、通りに出て、

 「「いえ、そんなことないと思います。」」

 「!」

 ハチマンside

 「あなたは、団長ですか?」

 「っ!あ、ああ・・・。」

 「ならばっ!今あなたが言った言葉はっ!
  一番言ってはいけない言葉でしょうがっ!」

 「!?」

 「あなたはっ!今まで死んでいった部下、同僚、兵士っ!
  彼らの命を背負わなければならないっ!
  死んでいったっ!散っていったっ!命をっ!人生をっ!
  無駄にしないためにっ!彼らをっ!犬死させないためにっ!
  戦うことができるのはっ!思うことができるのはっ!
  あなただっ!」

 「っ!」

 「あなたはっ!ここで彼らの命をっ!人生をっ!
  全て無駄にする気か!
  それだけは、絶対にしてはならない!
  あなたにできることはっ!
  彼らを犬死させないためにっ!
  どれだけ怒号を浴びせられようとっ!
  どれだけ非難されようとっ!
  進み続けることだけだっ!」

 「・・・。」

 「あなたは、それを、忘れてはならない。」

 ヒョウside

 「おばさん。
  あなたの息子さんの死は無駄じゃない。」

 「ぇ・・・?」

 「調査兵団がいる限り、あなたの息子さんが死んだことが、
  無駄だった、なんて言わせない。必ず、報われる。
  だから、あなたは、自分の息子の死が犬死だったなんて思わないで。
  彼らは、今まで死んでいった命が無駄だった、犬死だった、
  なんて言わせないために戦っているから。
  あなたの息子さんはそれを成し遂げようとした、勇敢な兵士だったから。」

 「ぅぅっ・・・。」

 「いいたいことは、それだけです。」

 「・・・。」

 「「いくぞ。(いくよ。)」

 「「・・・。」」

 ---

 ハチマンside

 「エレン。」

 「!」

 「俺らの話を聞いて、調査兵団に入りたいって気持ちは、
  ・・・変わったか?」

 「いいや・・・。かわってねぇ・・・。」
  
 「・・・そうか。」

 ---

 「ただいま。」

 「おかえりなさい。あらエレン、今日は頑張ったのね。」

 「ああ・・・。」

 「嘘、耳が赤い。ハチマンかミカサに手伝ってもらったのね。」

 「・・・。」

 「あれ、お父さん出かけるんですか?」

 「ああ、内地に診療だ。」

 「「へー。」」

 「・・・エレンが、調査兵団に入りたいって。」

 「っ・・・!?」

 「ミカサ!言うなって・・・!?」

 「エレン!?なにを考えてるの!?
  壁の外に出た人類がどれだけ死んだか分かってるの!?」
 
 「わかってるよ!」

 「だったらっ・・・!」

 「エレン、どうして外に出たいんだ・・・?」

 「外の世界がどうなっているか、知りたいんだ・・・。
  それに、今まで死んでいった人達の命を、思いを
  無駄にしたくないんだ・・・。」

 「・・・そうか、そろそろ船の時間だ私は行くよ。」

 「ちょっとあなた、エレンを説得して・・・!」

 「カルラ、人間の探求心とは誰かに言われて抑えられるものではないよ・・・。」

 「エレン、ハチマン、ヒョウ。」

 「「「!」」」

 「帰ったらずっと秘密にしていた、地下室を見せてやろう・・・。」

 「「いや別n「ホントにっ・・・!?」・・・。」」

 そう言うと、グリシャは出ていった。

 「行ってらっしゃい!」

 「ダメだからね、調査兵団なんてバカな真似。」

 「バカだって!?俺には家畜のように居られる人間の方が、
  よっぽどマヌケに見えるね!」

 「エレン!」

 「「はぁ・・・」」ヤレヤレ

 「ハチマン、ミカサ、ヒョウ。
  あの子は危なっかしいところがあるから、
  困ったことがあったら、4人で助け合うんだよ?」

 「わかってます。」

 「うん・・・。」

 「・・・。」ウン

 (はぁ~、さてと。追いかけるか。)

 「行くぞ。ミカサ、ヒョウ。」

 「「うん。」」

 ---

 走っていったエレンを追いかけていくと、
 アルミンが数人の子供に殴られている所が目に入る。

 「「・・・。」」イラッ

 「おい!やめろ!」

 「い、いや待て!ハチマンとミカサもいるぞ!」

 「まさか・・・。!!!ヒ、ヒ、ヒョウもいるぞ!
  に、逃げろ!!」

 「あいつら、俺を見て逃げやがったぞ!」

 「違う、ヒョウを見て逃げたんだ。」

 「チィッ!あの糞蛾鬼ども・・・。逃げたか・・・。」

 「ほら。」

 「・・・。そうだな・・・。」

 (こえぇぇ~)

 「アルミン。大丈夫か?」

 「う、うん・・・。」

 「なんで、あんなことになってたんだ?」

 「人類はいずれ壁の外に出るべきだって言ったら、
  異端だって言われて殴られた・・・。」

 「外に出たいってだけで、なんで殴られるんだ・・・。」

 「それはな、恐らくだが王政が外の世界に興味を持つこと自体を
  タブーとしたからだ。真意はよくわからんがな・・・。」
 
 「自分の命をかけてるんだから別にいいじゃねえか・・・。」

 「人の命は、そう簡単に、投げ打って良いモンじゃねぇよ。」

 「・・・。」ウンウン

 「そ、そうだろうけど・・・。て、てかミカサ!よくも母さん達にバラしたな!」

 「そもそも言わないなんて約束してない。」

 「うっ。」

 「それで、どうだった?」

 「そりゃ、喜ばれはしなかったよ・・・。」

 「そうだよね・・。」

 「まあでも確かに、壁の中が未来永劫平和だと思ってる奴らは、
  俺もどうかと思うがな・・・。」

 (この世に、未来永劫とか、無いに等しいのに・・・。)

 その時、壁の外にオレンジ色の雷が落ちた。

 「!」

ゴゴォ……

 凄い轟音と共に街中に地鳴りが響いた。
 
 「な、なんだ!?」

 「爆発か・・・?」

 「なんか、嫌な予感がするな・・・。」

 「・・・。」ウンウン

 「てか、お前。さっきからそれしか言わねぇな・・・。」

 「だって、他にいう事ないし。」

 「えぇ~。」

 「あっちだ・・・。」

 「おい、行くぞ。」

 「「「「うん(ああ)。」」」」

 


 皆が固まって壁の上を見ている。

 (なんだ・・・?・・・!?)

 それに倣ってその場所を見てみると、
 筋肉部分が露出した、恐らく60メートルはあろう
 超大型巨人が壁を掴みこちらを見ていた。

 「奴だ・・・。巨人だ・・・!」

 「そ、そんな!あの壁は50メートルだぞ!?」

 超大型巨人の蹴りが物凄い轟音と共に壁を貫く。

 (壁に穴を開けられた!)

 「僕らも逃げないと・・・!」

 「あっちには・・・、母さんが・・・。」フラフラ・・・

 「エレン・・・!」

 「アルミン!お前は先に逃げてろ!エレンは俺らに任せろ!」

 「で、でも!」

 「いいから、早く!」
 
 「行くぞ!ミカサ、ヒョウ!」

 「っ!ああ!」

 「うん・・・!」

 街はまさに地獄絵図だった。

 岩に潰され死んでしまっている男性、
 それを泣きながら見つめる女性。

 そんなものを見ながら、4人は家を目指した。

―――
――


 家を見つけた時、4人は一瞬なにも言えなかった。

「母さん!」

「エレン…」

 イェーガー家は大きな岩が落ちていて跡形もなくなっており、カルラは崩壊に巻き込まれたのか、家の柱の下敷きになっていたからだ。

「ハチマン!ミカサ!ヒョウ!柱をどかすぞ!」

「「「ああ!(うん!)」」」

ドシン…ドシン…

 子供たち4人が柱を退かそうと奮闘していると、巨人の歩く音がすぐそばまで聞こえてくる。

「きょ…巨人が…入ってきたんだろ?
 エレン!ハチマン!ヒョウ!ミカサを連れて逃げなさい!」

 まるで自分の生を捨てたかの言い方にエレンは驚く。
 その間にも、カルラは言葉を続けた。

「早く!」

「に…逃げたいよオレも!早く出てくれよ!
 早く!一緒に逃げよう!」

「母さんの足は瓦礫に潰されてここから出られたとしても走れない…分かるだろ?」

「オレが担いで走るよ!」

「どうしていつも母さんの言うことを聞かないの!
 最期くらいいう事を聞いてよ!!」

 そこには、ただ自らの子供を心配する母親の姿があった。
 だが、その姿は肝心の子供に届かない。

「ミカサ!」

「や、やだっ…!」

 ならばと思い、頼りになる養子の子供に声をかけるも瞳から涙を零してそれを拒否する。
 それに目を見開き、もはや何もいえなくなるカルラ。
 そんな中でも子供たちの愚行は続く。

(…くっ…お、重いッ!
ほ、『骨支配』を使うべきか…?)

「チッ!このくそったれが!さっさと退かんかいッ!」

 危機的状況ゆえか口が悪くなりつつも、ヒョウは腕に力を込める。
 だが、柱はびくともしない。
 そんな中、ヒョウは何かを思いついた。

「ハッ!梃子の原理!」

 そう言って柱から手を放し、カルラさんの近くまで寄るヒョウ。

「おい、ヒョウ!」

 エレンがそう声をかけたとき、ヒョウの手には当の本人と同じぐらいの大きさの筆が握られていた。
 ヒョウはそれを斜面になるように置き、思いっきり押す。
 すると、

「!動いた!」

「よしっ!」

 柱が上に少し動き、カルラ救出の希望が見えた。
 しかし…

ドゴォドゴォ

「ッ!…巨人だ!」

 世の中というものは非情で、もう既に巨人が目に見えるほど近づいている。
 それに気付いたエレンがそう言ったとき、幸運なのか立体起動装置の音がしてカルラの親戚である駐屯兵ハンネスが来た。

「!ハンネスさん!
 待って!戦っては駄目!」

「…!?」

「子供達を連れて…逃げて!」

「見くびってもらっちゃ困るぜ、カルラ!
 オレはこの巨人をぶっ殺して、きっちり3人とも助ける!
 恩人の家族を救ってようやく恩返しを―――」

「ハンネスさん!
 お願い!」

 ハンネスの言葉を遮るように放たれた、涙ながらの言葉はその決心を鈍らせた。
 そして…

「…」ニタァ

 巨人の笑みは、ハンネスの心を決めるのに十分だった。
 だが…間に合ったのだ。

「!早く!母さん!」

「ぇ…まさか…持ち上がるなんて…」

 『梃子の原理』を応用したヒョウの筆と見えない位置からのハチマンの『骨操作』によるカルラの脚を潰している瓦礫と柱の持ち上げでどうにかカルラを救出する事に成功する。
 しかし、当の本人が言っていたように脚は瓦礫で潰され、もはや歩く事すらままならない。

「カルラ!」

「ハンネスさん!このまま逃げても…私は歩けない…。
 だから、子供達を…!」

 エレンにおぶられながらもそう言うカルラ。
 確かにカルラの言う通りである。
 巨人の恐怖に屈したハンネスが巨人に立ち向かおうにも結局は全員が共倒れになってしまうし、このまま皆で逃げたとしても巨人の餌として生涯を終えることになるだろう。
 だからこそのカルラの言葉だが、人の感情はそう合理的に判断できない。

「「…」」

 エレンの代わりにカルラを負ぶったハンネスを先頭に走り出す。
 だが、最後尾で来るはずのヒョウとハチマンは脚を止めている。

「!おい、ハチマン、ヒョウ!」

「…ハンネスさん、エレン達を連れて早く逃げてください」

「ッ!ハチマン、馬鹿言ってんじゃ「大丈夫ですよ」!ヒョウまで…」

 そういうハチマンとヒョウは既に巨人と向き合っており、其処から動く気はなさそうだった。
 それを見たカルラが叫ぶ。

「ハチマン、ヒョウ!」

「「大丈夫、俺(私)は早々死ぬ気は無い」」

「だから…早く」

「先に行ってください」

「…というか早く行ってくれないと俺たちが死んじまいますッ!」

「早く行って!Hurry hurry hurry!」

 最後の方で焦りと本性が出た。
 割と本人らも切羽詰っているらしい。
 だが、それでもハンネスを先へと急がせるには十分だった。

「グッ…お前ら…すまんッ!」

「!ハンネスさん!?ヒョウとハチマンが…!」

「エレン」

 2人を心配して歩みを止めているエレンに心配している本人達の片割れから声をかけられる。

「ヒョウ!早く逃げ―――」

「…大丈夫だ、私はまだ死ねん。
 だから、早く行け」

「でも―――」

「―――次に会う時は…お前に、もう少し格闘術と外の世界について話してやるよ」

 エレンにとって、それは遺言のようにも聞こえた。
 だが、それでもエレンはその言葉を信じる。
 友であり、家族であり、師匠である存在の1人の言葉を。

「…分かった」

 エレンはそう言って、同じく脚を止めてハチマンを見ていたミカサの手を引っ張る。

「!エレン、離して!」

「早く行くぞ!そうじゃねぇと、あの2人がここに止まる理由がなくなるだろっ!」

「でも…!」

「俺たちがここを離れれば、2人は生き残れるんだ!だから、早く…!」

 それは一種の自己暗示にも思える。
 そう信じる事で、この場を離れる理由を作っているかのように。
 『言葉』というものは不思議なものだ。

「―――ッ!ハチマンッ!」

 その叫びに返す声は無い。
 だが…

「…」

 名を呼ばれた当の本人は右手を挙げる。
 それに一体どんな意味があったのだろうか。
 普段では考えられない強い力でエレンに引っ張られるミカサには、分からなかった。

ドシン…ドシン…

 巨人がニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら2人の元へ歩いてくる。
 対してそれを迎え撃つ2人は手ぶら…のはずだった。
 実際には違う。
 その手にはそれぞれ武器が握られていた。
 ヒョウの手には長剣と盾が。
 ハチマンの手には弓と矢が。
 それぞれ白濁色で同じ素材で作られている事が分かる。
 それもそうだろう。
 これらはハチマンの『骨支配』によって創り出された武具なのだから。
 その高密度のカルシウムで出来た武具は鉄よりも頑丈だ。
 故に巨人相手でも武具本体の性能だけで見れば引けをとらないだろう。
 問題はそれを扱う2人である。
 多少鍛えているとはいえ今だ子供である彼らに、コレを十全に扱うだけの力は無い。
 ヒョウに関しては剣を振るえるものの振り回されており、ハチマンは構えて弓を撃つことは出来てもそこまでの速度は出ない。
 そんな2人だけで巨人と戦おうなど、無謀に等しかった。
 …だが、

(『異常者オカシナモノ』)

《…何かね?》

(俺のスキルを最適に扱う事はできるか?)

《!…ふふ、ああ。出来るとも》

(なら、任せる)

《つまり、”自動戦闘状態オートバトルモード”という事か?
 それともスキルだけを管理下においてサポートに徹するという事かね?》

(後者だな。どう戦うかは俺が判断する。
そのほうが経験になるからな)

《…そうか。分かった、ならば私はサポートに徹するとしよう》

 彼らは…

「ヒョウ、任せたぞ」

「うん、それじゃあ…やろうか」

 たった2人ではない。

「『AU召喚!』」

―――
――


 崩壊したシガンシナ区の街。
 その街の道にハチマン、ヒョウを合わせての6つの人影があった。
 紫のジャケットを着た人影。
 背中に大きい短剣を2本背負う人影。
 サーコートを着て弓を構える人影。
 背中から触手を出している人影。
 …否、それは人影ではなかった。
 確かに2つは間違いなく人影である。
 しかし、他の4つは違った。
 彼らは『想像力とAUの守護者インク!サンズ』によってこの世界に呼び出された。
 彼らはスケルトン。
 『サンズ』という名のスケルトンの数多くの世界線での姿である。

「みんな、行くよ」

「「「「ああ(うん!)」」」」

 ヒョウの言葉に頷く彼らの周囲には骨があり、

シュウゥゥゥゥ

 竜頭部の骨のようなナニカが光を溜めながら浮いていた。



 to be continued







 
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