イベリス
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第九十二話 合宿を終えてその九
「してきた生徒が少ないと感情的になり」
「暴力を振るうなんて」
「私はこうした先生が顧問の部活はです」
「薦められませんか」
「絶対に行かない様に言います」
「そうされますか」
「占い師として」
その立場でというのだ。
「それ以上に人間として」
「そうされますか」
「はい」
まさにというのだ。
「この様な輩から教わることはです」
「ないですか」
「全く」
咲に言い切って答えた。
「何一つとして」
「そうなんですね」
「人にもの教える以前の問題ですから」
「その人は」
「人間としてすらです」
それこそというのだ。
「失格です、生徒全員に丸坊主を言うなら」
「自分もですね」
「するものです、教えた自分にも責任があるので」
「それでしてきた人が少ないと暴力を振るったら」
「それこそヤクザ屋さんにもです」
「なれないですか」
「その程度と呼ぶにも値しない」
それこそというのだ。
「この世に存在してはいけない」
「そこまで、ですか」
「人や世間に害毒を撒き散らすだけなので」
「そこまで酷いと」
「そうです、そんな輩のところにはです」
「行かない様にですか」
「いいことは何一つとしてないので」
それ故にというのだ。
「ですから」
「どんな活動をしていても」
「顧問、責任者がこうでは」
「行ったら駄目とですか」
「言います、例え素晴らしい教義の宗教団体でもです」
「代表の人がおかしいと」
「それでおかしくなるものです」
こう言うのだった。
「ですから」
「ですか、しかし暴力って色々わかるんですね」
「人のマイナス面がですね」
「はい、今日のお話で思いました」
話した速水本人に述べた。
「本当に。暴力は逃げるものですね」
「決して経験していいものではないのです」
「避けるべきものですね」
「ですが受けてしまったら」
そして経験を受けたらというのだ。
「それはそれで、です」
「経験だからですね」
「人生の糧にすることです、暴力の痛みや恐ろしさ残虐さを知り」
そうしてというのだ。
「自分はです」
「決して振るわないことですね」
「自分もされていたからしていいとはです」
「絶対になってはいけないですね」
「暴力を糾弾されてです」
これは世の常である、だが速水がここから言うこともまた世の常であった。
「自分も殴られていたからです」
「振るっていいとかはならないですね」
「振るった人を庇うことも」
これもまたというのだ。
「決してです」
「あってはならないことですね」
「それは理由にはなっていません」
「暴力自体が間違っていますね」
「それを理解しない先生では」
「まともな教育もですね」
「出来る筈がありません」
速水は言い切った。
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