| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十二話 合宿を終えてその六

「独裁者やカルト教団の教祖でなければ」
「中二病の子達位しかですね」
「思いません」
 まさにというのだ。
「最早」
「そうですね」
「それがです」
 最早というのだ。
「人生経験を積めば」
「普通にですね」
「そんなことはない、人間はちっぽけなものとです」
「わかりますね」
「そうです、所詮人間は人間であり」
「小さなものですね」
「この世で一番偉いものはです」
 そう言っていい存在はというと。
「神仏であります、自分より凄い人なぞです」
「幾らでもいますね」
「それぞれの分野で」
「それでそうした人達はですね」
「そうなる経験をです」
 それをというのだ。
「積んできて磨かれ」
「そうなったんですね」
「宝石は最初から宝石ではありません」
 速水はこの言葉も出した。
「磨いてこそ宝石になります」
「人間は経験によって磨かれますか」
「だから経験はです、トラウマになる様な経験はお勧めしませんが」
「それでもですね」
「そうした経験も来ますから」
「だから買うこともないですか」
「はい、自分からDV男のところに行くものか」
 それはというのだ。
「行けともです」
「言うものじゃないですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「全く」
「そうですね」
「そんなことはです」 
 速水は強い言葉で言った。
「間違ってもです」
「言ってはいけないですね」
「これは部活等でも同じで」
「暴力教師が顧問の部活とかにですね」
「その状況を知って行けとです」
「それで苦労して来いとはですね」
「まともな人は言いません」
 絶対にと言うのだった。
「常識で考えればです」
「わかることですね」
「苦労という経験は必要でも」
 人間の成長にはというのだ。
「ですが暴力は只の災厄です」
「受ける方にとっては」
「例えば台風が起こっている場所に行けと言ったら」
「おかしいですね」
「それと同じですね、如何に素晴らしい活動をしている部活でも」
「そんな顧問の先生のところにはですね」
「行くものではありません」
 決してというのだ。
「殴られて蹴られに行くなぞ」
「駄目ですね」
「ましてそこに行けと言ってです」 
 そして行かせてというのだ。
「怪我でもすれば」
「元も子もないですよね」
「そうです、まさにです」
 それこそというのだ。
「これ以上愚かなことはないです」
「それは家庭でもですね」
「よくここで昔はどうだったとか」
「昔の部活や家庭ですね」
「殴られることが常だっただの」
 その様にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧