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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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気付き

 
前書き
定期的にシリルにラッキースケベをやってもらってるけどルーシィとエルザでやった記憶が全然ないので近々やりたいと考えてます。
ちなみにシリルが大きくならない理由の一つにラッキースケベの時に彼が粛清を受けないようにするというものがあったりします。まぁウェンディにはされるんですが・・・ 

 
第三者side

太陽の光が差し込む部屋で書類の山とにらめっこしているカミューニとそれを手伝う素振りもなく横になっている黒装束の男。しばらくすると部屋の扉を叩く音がしたためか、男はベッドの下に隠れカミューニはそれを確認してから扉を開ける。

「来たか?」
「はい。皆さんが乗った船がまもなく到着します」

その報告を受けてカミューニは上着を羽織ると呼びに来た兵士の後ろについていく。扉が閉まると隠れていた男はベッドの下から転がり出てくる。そんな彼が取ったのは一枚の依頼書。

「ほう・・・なかなかあいつも考えているようだな」

そう言った男はそれを元の場所に戻すと再び横になり、今度は目を閉じる。そのまま男は寝息を立てると気を失うように眠りについた。
















シリルside

「うぅ・・・まだ着かないの・・・?」

あまりの吐き気にもう何日もベッドから起きることができていない俺とウェンディ。いつになったらフィオーレに着くのだろうかと考えていると、長かった船の揺れがようやく収まった。

「お!!」
「止まった!!」

揺れが収まったことで元気を取り戻した俺とウェンディは飛び起きると、すぐに部屋の扉へと向かう。そのままドアノブを取り部屋を開けようとしたところ・・・

ガチャッ

その手がノブを握るよりも早く、扉が開いた。

「ドワァッ!!」
「キャッ!!」

勢いがついていたところで扉が開いたことによりそのまま前のめりになってしまう。しかし、何か柔らかいものにぶつかって無事に止まった俺は事なきを得た。

「大丈夫?シリル」

顔に柔らかいものを感じていると聞き覚えのある声がする。顔をあげるとその正体はドアを開けたと思われるシェリアだった。

「うん、大丈---」

そこまで言いかけて気が付いた。シェリアはニコニコ笑顔だけど、明らかにどす黒い何かを放っている者が・・・しかも二人いることに。

「シリル?いつまでそうしてるの?」

俺の背後から聞こえる低い声。振り返ることすら躊躇われるほどの圧を感じ、冷や汗が止まらない。

「お前、ティオスにしてやろうか?」

もう一人はシェリアの後ろにいる金髪の青年。背が伸びたことにより見下ろしている彼のオーラが禍々しい。てかなんだ今のセリフ・・・俺を体内にでも取り込むつもりなのか?

「ご!!ごめんシェリア!!」
「ううん、全然大丈夫だよ」

慌てて彼女から離れると、彼女は気にしていないようで笑顔のままだった。しかしウェンディとレオンはいまだにお怒りの様子。身体中から冷や汗が止まらない。

「レオン、シェリア。早く二人を起こしてくれ」

もしかして殺されるのかとすら恐怖していると助け船を出してくれる女性の声。しかも他にも足音がするということは、ローグさんたちも目を覚ましたということか。

「よしみんな!!早く降りよう!!急いで降りよう!!」
「あ!!待てシリル!!」

その声で二人の気が緩んだのを見計らいシェリアの脇をすり抜ける。それに気付いたレオンが追いかけようとしてきたけど、俺は先にいたローグさんの後ろに回り込み事なきを得た。

「なんだ?どうしたシリル」
「いいから!!早く行きましょう!!」

ローグさんを盾にしてレオンから身を守る。そんな彼はシェリアに宥められているようで渋々ながら納得しているようだった。

「何?また何かやらかしたのか?」

その様子を見て俺の顔を覗き込んできたのは意識を失っていたはずのグラシアンさん。いつの間にか目を覚ましていた彼に驚きを隠せない。

「グラシアンさん!!いつ起きたんですか?」
「ついさっきな」
「お主の場合、乗り物酔いで起きれなかったのもあるじゃろ」
「お嬢、それは言わないでくれよ」

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)特有の乗り物酔いにより意識を失った状態にさらに追い打ちをかけられていたらしい彼はミネルバさんの言葉にひきつった顔を見せる。それをローグさんと笑いながら船を降りると、そこには多くの王国兵たちがいた。

「おかえり、待ってたぞ」

以前の通信の時に衛生兵(ヒーラー)を港に用意させておくと言っていたカミューニさんが直々に俺たちを迎え入れてくれる。彼は俺たちが降りてくると駆け足でこちらへと駆け寄ってきた。

「なんだ、やっぱり褒めてくれるんじゃん」
「ツンデレだからね」

いつの間にか隣に来ていたレオンとそんなことを話していると彼は俺とレオン・・・には目もくれず、グラシアンさんの首に腕を回す。

「はぁ?何?」
「おめぇに話がある。他の奴らは治療受けててくれ」

珍しい組み合わせに連れ去られるグラシアンさんも困惑しながら二人はどこかへ行ってしまう。残された俺たちは顔を見合わせ首をかしげた後、ほとんど回復しているものの他に異常がないかを確認してもらうために衛生兵(ヒーラー)の皆さんについていった。その時に俺たちはナツさんたちが意識を取り戻したことを聞き、ウェンディたちと手を取り合って大喜びしたのだった。











 





第三者side

「おい、あいつのこと誰にも言ってねぇだろうな」
「あいつ?」
「惚けんな、もう俺ぁわかってんだよ」

場所を移したカミューニとグラシアン。彼らは人気のない森の中でそんな話をしている。その表情はまるで真逆のものだった。

焦りを隠そうともしないカミューニと面白がって茶化しているグラシアン。それに赤髪の青年は苛立ち始めていたが、グラシアンは不意に真面目な表情になる。

「さすがに言えねぇよ、あいつもいたしな」

急に真面目になった彼に面食らったカミューニだったが、その表情から彼の本気度も伝わったためこれ以上の追求は行わなかった。

「誰にも言うんじゃねぇぞ」
「いくらで?」
「殺すぞ」
「冗談だよ、冗談」

殺意に満ちている彼の目にいつものようにふざけながら乗り切る幻影の竜。彼らは話し合いが終わったからなのか、シリルたちがいるであろう街の方へ歩き出す。

「事情ぐらい教えてほしいもんだけどな、何が起きてるのか」
「それはまだ言えねぇ」
「なんで?」
「まだその時じゃねぇからだ」

何かを決意しているような彼の顔に茶々を入れることはさすがの彼でもできなかった。こうなっては彼から言えることは一つだけ。

「あんまり一人で抱え込まないことだな」
「余計なお世話だ」

目元にクマが浮かんでいる彼を心配しつつもそれ以上は何も話さない。それを思いやりと受け取ったカミューニもまた、何も話そうとはしなかった。

















シリルside

評議院から頼まれた依頼から数日後、俺たちのケガの治療も終わり、ナツさんたちも少しずつ身体が本来の動きに近付いてきたところでカミューニさんからまた新たな依頼を受けた。

「はぁ・・・やっと具合が戻ってきた・・・」

その依頼を正式に受けに行く道中、俺とウェンディは乗り物酔いによっての気持ち悪さをリセットするために森の中で深呼吸している。

「まさか車輪が壊れちゃうなんてね」
「道も悪いしね」
「ナツくんのせいだと思うけどね~」

フィオーレの首都クロッカスに向かっている最中、乗っていた馬車の車輪が壊れてしまいしばらく休憩となったことでひとまず一時生還することができた。ただ、またあの馬車に乗ると思うと気が進まないなぁ。

「そろそろ行こっか」
「そうだね」
「しっかりしなさいよ、シリル」
「そうそう~」

ウェンディはシャルルを、俺はセシリーを抱えて元の道へと戻る。その時ちょうど休憩から戻ってきたと思われるナツさんとルーシィさんの姿を見つけたので声をかける。

「ナツさん!!」
「ルーシィさ---」

二人に声をかけようと手を振ろうとしたところ、俺たちはあることに気が付いた。二人の顔がかなり近いのだ。それはもうキスしようとしているのではないかというほどに。

「ご!!ごめんなさい!!」
「お邪魔だったでしょうか!?」
「ち!!違うのよ!!シリル!!ウェンディ!!」

顔を赤くしてすぐさま目を背ける俺とウェンディ。それに気付いたルーシィさんも顔を真っ赤にしていたが、もしかして二人はそんな関係にまでなっていたのかな?

「聞いてよシャルル、さっき怖い犬がね」
「あっそ」
「聞いてあげなよ~」

二人のすぐ近くにいたハッピーがシャルルに話しかけるが軽くあしらわれている。俺たちは二人の邪魔にならないように馬車の方へと戻ると、グレイさんが造形魔法で車輪を直し終えたところだった。

「王都か。久しぶりだな」
「あぁ」

エルザさんたちは大魔闘演武依頼に王都へと向かうらしく相当懐かしんでいる。俺たちは蛇姫の鱗(ラミアスケイル)で一度行ったことがあったけど、あの時も大変だったもんなぁ。

「しかもまた国王直々の依頼か」
「今はヒスイ女王だから、国王様じゃないけどね」
「でも国からの依頼ってことでしょ?」
「また何か大変な奴なのかな~」

アルバレス帝国との戦争の後、ヒスイ姫が女王として即位したため国王は退位している。でもその人からの依頼となるとただ事ではないことは容易に想像できたため、俺たちは不安半分、皆さんと一緒に仕事ができることへの期待半分といった感じで王都へと向かったのだった。
















「竜の墓・・・大魔闘演武の際に見たものもいると思うが、闘技場の地下に古の竜骨が眠る地がある。その昔、黒竜アクノロギアと戦い、破れていったドラゴンたちの終焉の地・・・ワシの祖先たちが幾度も調査を行い、鎮魂のため闘技場が作られた」

王都へ着いた俺たちはすぐさま華灯宮メルクリアスへと案内され、そこで国王から退いたトーマさんから依頼についての話を聞いている。

「100年ほど前、その竜の墓で一振りの杖が見つかった」
「杖?」
「おじいちゃんのドラゴンが使ってたのかな?」
「それめっちゃ大きいじゃん~」

ドラゴンの墓場というとあのジルコニスと会った場所のことだよね?そこで見つかった杖って一体どんなのなんだろう。

「いや、人間のものだろう。その杖はドラゴンたちの怒りと悲しみを吸収し、蓄積した力で本来の形が歪むほどのものだった。その杖の名は《ドラゴンクライ》」
「ドラゴンの・・・涙?」

アクノロギアに倒されたドラゴンたちの悲しみからそう名付けられたのだろうか?それにしても本来の形が歪んでしまうって相当の怨念が込められているんだろう。

「国をも滅ぼすほどの力を持つ杖じゃ。数日前、その杖がフィオーレ王国元国務次官ザッシュ・ケインに奪われた。ザッシュには黒魔術信仰があってな、密かに王家を乗っ取ろうとしたが失敗・・・軍に拘束される前に部下の助けで国外へ逃亡した」
「しかし、ステラ王国への亡命が認められると、ステラへの手土産にその部下を・・・全て惨殺したのです」
「「「「「!?」」」」」
「仲間を・・・殺したのか」

自分を助けてくれた部下たちへ恩を仇で返したザッシュ。それに俺たちは驚愕したが、その中でもナツさんは相当ご立腹らしく腕組みしながら眉間にシワを寄せている。

「亡命後はその強引な手腕と情報力でステラの国務大臣にまで登り詰めた」
「とんでもない男ね」

話を聞いただけで虫酸が走るとはこのことか。恩のあるフィオーレだけでなくステラでも傍若無人ぷりを発揮していると考えると、怒りを感じずにはいられない。それはトーマさんも同じようで深いため息をついてから再び話を始める。

「そんな危険な男の元に危険な杖が渡ってしまった。悪用される前に取り戻してほしい」
「必ず」

今回の依頼の内容を聞いてエルザさんが返事をする。てかリハビリがてらにちょうどいいとか言われたけど、こんな危険な依頼を病み上がりのナツさんたちにやらせるあの人のメンタルすげぇな。

「ねぇ、ステラ王国ってどこなの?」
「確か・・・イシュガルの南東。断崖絶壁に囲まれてて、外界から完全に孤立した島で---」
「し・・・島!?」
「船で行くってことですか!?」

ルーシィさんの言葉にナツさんに俺、ウェンディは冷や汗が止まらない。なんで船で帰ってきてまたすぐに船に乗らなきゃならないんだ・・・

















それから数日後、俺たちは乗り物に酔いながら無事にステラ王国へとたどり着いた。そこは自然豊かな島で至るところに木々があり、なんだか空気が澄んでいるような気がする。

「ステラを支えているのは、ダイヤモンドより固い鉱物《ステラニウム》。星々の光を吸収して、輝きが増すと言われている」
「へぇ」
「そんなに綺麗なんですか?」
「みたいだね~」
「ロマンチックねぇ」

ダイヤモンドより固いと言われるとピンと来ないけど、星の光を吸収してより輝くと言われると少し興味が湧いてくる。どんなものなのか、あとで調べてみようかな。

「ステラは大陸で一番星空が綺麗らしいわよ」
「海もとても綺麗らしいです」
「美味しいお魚、いっぱいいるかなぁ」

星空が綺麗でその上特産品が星によりさらに良くなるものと言われると観光地の売り文句にも使えそう。そう思っていたところ、街の中はその予想通り人通りが多く、賑わっているように感じた。

「よし。早速作戦開始だ」
「ねぇ・・・本当にやるの?」

ステラ王国についたのは夕暮れ前。事前に船の上で作戦を練っていたらしいのだが、案の定俺たちはそれを聞けていないためエルザさんたちは確認がてら話してくれている。しかし、ルーシィさんがなんだかやりたくなさそうで表情がひきつっているのがわかる。

「この作戦はルーシィにしか任せることができないからな」
「エルザじゃダメなの」
「ルーシィが気付かれずに鍵を奪えるのか?」
「それは・・・」

今回の作戦はこう。ザッシュは様々な盗品を城の塔の中に保管しているとのことなのだが、その保管庫の鍵が彼の持っている指輪らしい。その指輪を奪うことは簡単だが今の彼は国の大臣を任せられている。そんな人相手に武力を働いてしまっては国際問題になってしまうとのことで、ルーシィさんを囮にして気付かれずに指輪を奪う作戦に出るらしい。

ザッシュがよく通っているバーにはステージがあり、そこでルーシィさんが踊り子として彼の注意を引く。その隙にエルザさんが指輪を奪ってそれをグレイさんが魔法でコピーし、先に城で待機している俺たちが杖を奪うとのことらしい。

「わかった、シリルも一緒につけよう」
「あ、俺たちもう行きますね!!」

何やら不穏な会話が聞こえたため俺は逃げるように城の方へと駆けていく。後ろから呼び止められている声が聞こえてくるけど、俺には聞こえない。なんか今日は耳の調子が悪いなぁ。

「じゃあウェンディに・・・」
「シリルゥ!!待ってぇ!!」

巻き込まれそうになったウェンディも慌てて俺の後を追いかけてくる。その後ろからナツさんも来たけど、彼は元々俺たちと同じく城での待機班だったから引き留めに来たわけではないだろうと思い走る速度を緩めながら、三人でバレないように城へと向かった。

















「あれがステラニウムですか?」
「大きいね、シリル」

城の回りにキラキラと輝く大量の宝石。あれが先ほど話に出ていたステラニウムだと気付くのにはそう時間はかからない。パッと見た感じ星の当たる位置によっても光り方が変わってくるのか、どれも微妙に違う輝きを放っているように見えた。

「・・・どうしたんですか?ナツさん」
「何かありました?」

俺たちの隣にいたナツさんは真剣な眼差しで何かを見ているかと思ったけど、彼の視線の先には何も見えない。しばらくすると彼はニヤリと笑みを浮かべ、こちらへと向き直った。

「なぁ、せっかくだからハッピーたちを驚かせねぇか?」
「え?どうやってですか?」
「そりゃあもちろん忍法で」

カラコール島の時に忍び込むことに失敗したことを根に持っていたのかあの時のリベンジをしたいと言い出したナツさん。彼はどこから取り出したのか、竹の棒を取り出し地面を掘り始める。

「そんなことしてもすぐバレると思いますよ」
「そんなことねぇ。ほら、二人も早く隠れろ」

ただしただ隠れるのではなく忍者のように擬態しろとのことなので、ウェンディは壁に近い布を見つけてきてそれに隠れ、俺は近くの木に擬態するために頭や手に木の枝を付ける。

「絶対バレると思う」
「というか、隠れる必要なんかないんじゃ・・・」

人の気配も匂いもしない。それにセシリーたちが俺たちを見つけられなかったら元も子もないと思う。まぁこんなありものの擬態ではすぐにバレると思うけど。

「あ、来た」

しばらく待っているとグレイさんから鍵を預かってきたと思われるセシリーたちが飛んでくる。上空からこちらを見ていた彼女たちは何の躊躇いもなく俺たちがいるところへと降りてきた。

「ナツ、何してるの」
「なぜわかったでござる!?」
「ウェンディもバレバレよ」
「シリルもだよ~」
「「えへへ」」

地面に隠れ竹の棒を呼吸用へと地上に刺していたナツさんはハッピーの指摘に驚きながら飛び出してきて、俺とウェンディは照れながら擬態を解く。

「だから言ったじゃないですか、ナツさん」
「絶対バレますよって」
「うぐ・・・」

俺たちの予想通りの展開に納得が行かない様子のナツさん。悔しそうな表情を彼はしていたが、時間がないのですぐに次の行動へと移る。

「塔まで一気に行くわよ!!」
「見つからないようにね!!」
「急げ急げ~!!」

シャルルたちに持ってもらい保管庫がある塔の最上階へと向かっていく。監視役がいると思い一度上空まで飛び上がって様子を見ようとしたけど、普段何も問題が起きないからなのか監視役の二人は眠そうにアクビをしておりこちらには気が付いていない。

「見張りがいるわ」
「でも気付いてないよ~」
「任せとけ」

ハッピーが一気に加速してナツさんが見張り二人を地面へと叩き伏せる。不意の攻撃だったこともあり彼らは一瞬で気を失っていた。

「よし!!行こう!!」
「急いで!!」
「ごめんなさい」

気絶した彼らの脇をすり抜け先ほど預かった氷の指輪を扉へと差し込む。すると扉は自動的に開き、中には大量の金貨が保管されていた。

「開いた!!」
「急いで探せ!!」
「はい!!」
「了解です!!」

金貨の他にも宝箱やらがたくさんありこの中から杖を探すのは時間がかかりそう。そう思いながらも作業していると、ナツさんが何かに気が付き奥の方へと走り出す。

「ナツさん?」
「どうしました?」
「こっちの方からすげぇ魔力を感じる」

そう言い残しそのまま奥へと走ってしまうナツさん。取り残された俺とウェンディは視線を交わし首をかしげた後、彼の後を付いていってみることにする。

「魔力がするって・・・」
「まさか敵がいるんじゃ・・・」

進んでいくと俺たちにもわかるほどに魔力が大きくなっていくのがわかる。それと同時に本当に奥に進んでいいのか、一抹の不安が拭いきれない。

彼が開けたと思われる扉の中にそのまま入っていくと、明るかったはずの前方の輝きが突然消える。そこにいるのは杖を握り締め膝をついているナツさん。

「もしかしてあれが・・・」
「ドラゴンクラ・・・い!?」

彼の持っている歪な形の杖。それが今回の依頼の対象なのかと思い近付くと、振り返った彼にギョッとした。なぜなら彼の目から涙が流れ続けているのだから。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
次の章でやりたいことがあるのですが病み上がりのナツたちでそれは厳しいかと思い強くなる話をやりたいと考えていたところ、ドラゴンクライがちょうど良いのではないかと思いました。
敵キャラの三人も及第点だしナツがドラゴンを倒した実績もほしいですし。アクノロギアはティオスが一撃で仕留めちゃったからねw 
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