急に大きな雹が
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第二章
「そんな滅多にないというかあんなの頭に当たったらな」
「下手したら死ぬやろ」
「そうなる代物だがな」
それでもというのだ。
「現実にあるんだ」
「そやねんな」
「ああ、しかしその雹にな」
巨大なそれにというのだ。
「誰も当たらなくてな」
「よかったな」
「ああ、しかし雹と言ってもな」
園川は難波にこうも話した。
「あんなのがあるとなるとな」
「何でもないと思わんことやな」
「ああ、下手するとな」
それこそというのだ。
「死ぬ」
「あんなん頭に当たったらな」
「ヘルメット無しでデッドボールを受ける様なものだ」
「しかも大谷さんのボールかいな」
「そうかもな」
園川も否定しなかった。
「一六五キロだな」
「空から降って来るさかいな」
「まあ滅多にない」
園川はこうも言った。
「実際に記録にあって今もな」
「降ったのは珍しいな」
「だから俺も驚いている」
「皆そうなってるな」
難波は周りを見た、するとクラスメイト達もだった。
その雹を見て唖然となっている、巨大な雹は一個だけであったがそれを見ただけで十分であったのだ。
その彼等も見てだ、難波は園川に言った。
「ほんま誰にも当たらんでよかった」
「そうだな、あんなものが降ってもな」
「普通の人間やとな」
「冗談抜きに死んでいたかも知れない」
「世の中こんなこともあるってな」
その様にとだ、難波は言うのだった。
「覚えておくわ」
「流石に滅多にないがな」
「少なくとも雹は馬鹿にせんわ」
「そうしないとな」
「ああ、ほなクラスに入って」
「先生の授業受けような」
こうした話もしてだった。
二人は他のクラスメイト達と共に教室に入ってそこで先生の授業を受けた、授業が終わった時にはもう雹は降りやみ純粋な青空に戻っていた。だが。
クラスでの話題はあの巨大な雹で持ち切りだった、そして難波もずっとあの雹のことを忘れなかった。そのうえで世の中気候のことも含めて何があるかわからないと思う様になった。
急に大きな雹が 完
2023・3・26
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