恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十六話 戦士達、陣を破るのことその五
「于吉や司馬尉に同じ策を二度してもだ」
「まあその辺りはわらわも知らん」
「だがそれでもですか」
「そうじゃ。二人で何かする様じゃな」
「張角は武器も使えるが」
鋸や鉈である。他には刀も使う。
「だからだろうか」
「だからわらわもその辺りは知らん」
「それでもですか」
「うむ、御主は三姉妹の他の二人とわらわと共におれ」
「わかりました。それでは」
「さて、では決戦じゃ」
何進はその手に串を何本も出して言った。
「わらわも戦うとするか」
「将軍は武器は」
「これじゃ。この串じゃ」
「それは肉屋で使う串では?」
「これが中々使えるのじゃ」
そうだとだ。何進はその串をそれぞれの指の間に挟んで構えていた。
その構えを取りながらだ。彼女は言うのだった。
「手裏剣としてのう」
「ううむ、将軍も武芸ができたのですか」
「そうでなくて大将軍が務まるか?」
「それはその通りですが」
「そう言う御主は何を使うのじゃ」
今度は何進が公孫賛に問う。
「見たところそれなりの武芸が出来る様じゃが」
「剣を使います」
「ふむ。それか」
「はい、この剣を」
腰の左のところにあるその剣を見つつだ。公孫賛は述べた。
「使いますので」
「見たところ並の剣じゃな」
何進はその剣がどういったものかすぐにわかった。
「銘もないか」
「それはその通りですが」
「ううむ、何処までも地味な奴じゃ」
何進は眉を顰めさせつつ公孫賛に述べる。
「そこそこは出来る様じゃが全てそこそこじゃな」
「ですからそれは言わないでくれますか?」
「何なら包丁を持ってみたらどうじゃ」
「将軍もそう仰るのですか」
「どうもそう言いたくなるのじゃ」
公孫賛を見ているとだというのだ。
「不思議にのう」
「そのこともいつも言われています」
「そうじゃろうな。しかし戦力にはなるのう」
あくまでそこそこであってもだ。
「後は歌もある。わらわ達もやるぞ」
「はい、わかりました」
こうしてだった。彼女達もだ。
組んでそのうえで戦いに備える。最後の決戦に。
十絶陣の中の攻防は続いていた。その中でだ。
ストラウドも戦っていた。その彼にだ。
共にいる李がだ。こう言って来たのだった。
「徐々にですが」
「うむ、それでもだ」
「押してきていますね」
それぞれの力を両手で前に出してだ。陣の前から来るその衝撃に対してだ。李は言うのだった。
「本当に徐々にですが」
「確かに。しかしだ」
「はい、勝てますね」
李の言葉がここで変わった。
「このままいけば」
「どうやら陣の術の力は今が限度だ」
だが、だ。それに対してだった。
「しかし俺達はだ」
「もう一ついけますね」
「そうだ、いける」
こう言うのだった。それでだ。
彼等はさらにだ。その全身に力を込めた。その力をだ。
前に出す。思いきりだ。するとだ。
陣の力が押された。それを見てだった。
李はだ。またストラウドに言った。
「今です!」
「うむ!」
こうしてだ。彼等はだ。
その渾身の力を出した。それでだ。
陣の術の力をだ。思い切り押し出した。そしてそれは。
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