恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十五話 十三、知恵を出すのことその八
「御前もう二十だろ」
「二十一だったのではないのか?」
大門も話に加わる。
「とにかくだ。わし等はその頃には既にだ」
「卒業してたからな」
「確かに留年もあるがだ」
「高校で二回留年ってのはないだろ」
二階堂は馬鹿にしてはいなかった。真剣だった。
その真剣な顔でだ。草薙に言ったのである。
「除籍されないだけでも凄いな」
「だからだ。そろそろだ」
「高校は卒業しろよ」
「わかっちゃいるんだよ」
草薙は極めてバツの悪い顔になって仲間達にも返した。
「けれどそれでもな」
「卒業はか」
「まだ先のことか」
「俺だって卒業したいんだよ」
つまり何時までも留年したくはないというのだ。草薙にとってもだ。
だがそれでもだとだ。さらに述べる彼だった。
「けれどそれでもな」
「ここまで高校を卒業できない奴がいるなんてな」
「ある意味恐ろしいことだ」
二階堂も大門も呆れていた。だが何はともあれだった。
戦士達はそれぞれの陣にだ。相応しい者たちを送ることにした。その人選はだ。
全員でじっくりと話し合い決めた。まずはだ。
落魂陣に入ったのはだ。あかりと命だった。
三人は陣に入ってからだ。それからだ。
あかりはその陣の中央の祭壇を見て。それで命に言った。
「ほな、やるで」
「はい、それでは」
「うちはこれを使うわ」
あかりは札を出してきた。そしてだ。
命もだ。その全身に気を出してだ。そのうえでだった。
術を使いだした。二人同時にだ。
その彼女達にだ。すぐにだった。
何かが、姿の見えないそれが襲い掛かって来た。その何かに対してだ。
あかりはだ。札を投げだ。命はその力を放ってだ。
そのうえで何かと戦う。そしてその中でだった。
あかりは命にまた言った。
「ここが正念場や」
「そうですね。勝たないとなりません」
「うち等が勝てればや」
その時はどうだというのだ。あかりが言うのはこのことだった。
「この陣の力をうち等のもんにできる」
「そしてその力で」
「敵と戦うことができる」
「そや。ほなそうするで」
「前向きですね」
あかりのその言葉にだ。命はそれを見てだ。
そしてそのうえでだ。彼女に言ったのである。
「あかりさんはいつも」
「後ろ向きに考えるのは嫌いや」
「そうですね。あかりさんは」
「後ろ向きになっても何にもならんさかいな」
「そうですか。後ろ向きになってもですか」
「そや、前を向いて上を向いて生きるんや」
こんなことを話してだった。そのうえでだ。
彼女達はだ。札を次々と投げ力を放ちだ。何かと戦っていく。そしてだ。
他の陣でもだった。戦士達は戦っていた。
天絶陣には二階堂と陳がだ。雷を出してそこにいた。
地烈陣にはガルフォードと半蔵がそれぞれの術で雷と炎を出している。
風吼陣では丈とアクセル、マイケルに覇王丸が竜巻を出している。
寒氷陣ではリムルルと蒼月、翁だった。
金光陣はナコルル、それに神楽とミナがいる。
化血陣は大門と示現だ。娘もいる。
紅水陣には楓、月、守矢の兄妹達がいた。
烈焔陣には草薙と八神、ズィーガー達だ。
紅砂陣にはストラウド、タクマ、ハイデルン、柴舟といった精神力の強い面々がいた。
彼等はそれぞれの陣の中で力と戦っている。それを見てだ。
司馬尉は眉を顰めさせてだ。忌々しげに呟いたのである。
「まずいわね」
「陣が危ないのですか?」
「正直に言うわね」
ゲーニッツに返す言葉も忌々しげである。その口調でだった。
「そうよ。危ういわ」
「やはり」
「こう来るとはね」
予想外という言葉だった。
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