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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十五話 十三、知恵を出すのことその一

                           第百三十五話  十三、知恵を出すのこと
 十絶陣に対して。連合軍はそれぞれ精巧に作った人形を差し向けてだ。
 人形達を陣の中に送り込む。それを見てだ。
 許緒はだ。こんなことを言った。
「あのね」
「あのねって?」
 典韋がその許緒の言葉に尋ねた。二人もその人形達を見ているのだ。
「何かあるの?」
「お人形さん達ってどうして動くのかな」
 このことをだ。許緒は不思議に思って言ったのである。
「これまで動くお人形さんなんてなかったけれど」
「ああ、そのことなの」
「うん、どうしてなのそれは」
「ぜんまいを使ってるんだって」
 典韋は許緒にこう話した。
「それで動いてるんだて」
「ぜんまいって?」
「ほら、お人形さん達の背中にあるじゃない」
 典韋は人形達の中の一つ、ナコルルのそれを指し示しながら許緒に話す。見ればその人形は確かにナコルルそのものだ。実に精巧に作られている。
 だがその背中はだ。どうかというとだ。
 ぜんまいがあった。そのぜんまいを見てだ。典韋は言うのだった。
「ほらね、あそこにね」
「確かに。あるわね」
「そう、あれを回して動いてるのよ」
「ううん、そうだったの」
「これまでのお人形さんは動かなかったけれどね」
 夏侯惇が作った曹操の人形等にしてもだ。そうだった。 
 そして典韋は実際にだ。この人形の話を出した。
「ほら、真桜さんが作った董卓さんのお人形さんだって」
「そういえばあれも」
「自分で動かなかったわよね」
「それでもぜんまいを使えば」
「そう、お人形さんの中に一杯色々入っててね」
「一杯って?」
「そう、それで動いてるの」
 そうだというのだ。
「ぜんまいだけじゃなくてお人形さんの中にある全部のものを使ってね」
「ううん、何か凄いね」
「からくりっていうらしいわ」
 そしてその仕組みが何なのかも話す典韋だった。
「それで動いてるんだって」
「からくりなの」
「真桜さんやハイデルンさんはそう言ってたわ」
「あっ、そういえばハイデルンさんって」
 許緒はハイデルンのことも述べた。
「あの人ってよくお人形さん作ってるわね」
「そうでしょ。だから昨日のお人形さん作りにもね」
「手伝ってくれたのね」
「その時に他の人達も。色々と知恵を出してくれて」
「それでぜんまいを使ったんだ」
「そうみたいよ」
「ううん、本当にあっちの世界の人達がいてくれて」
 どうかとだ。考える顔で述べる許緒だった。
「本当に違ってきたわね」
「そうよね。色々なお料理だって勉強させてもらったし」
「うん、僕もたっぷり御馳走してもらってるよ」
 食べものの話になるとだ。許緒は満面の笑みで述べた。
「お料理上手な人も多いしね」
「うん、私もお料理のレパートリーが凄く増えたよ」
「いいことばかりよね」
「本当にね」
 こんなことを話していた二人だった。そしてだ。
 人形達を見ているのは彼女達だけではなかった。楓達もだ。
 考える顔で陣に入る人形達を見ながらだ。楓は雪に尋ねた。
「姉さんはどう思うのかな」
「敵陣のこと?」
「うん、どういったものかな」
 彼が見ているのは敵陣だった。その十絶陣だ。
 見れば相変わらず静かだ。しかしだったのだ。
 
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