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閉ざした心もぬいぐるみと一緒に

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第二章

「深く傷ついて」
「心を閉ざしてですね」
「ぬいぐるみだけを頼って」
「小さくなっているんですね」
「はい、ですが」
「ええ、確かな仮里親の人に紹介しますので」
「宜しくお願いします」
 スタッフの人はジムに切実な声で頼んだ、そして。
 ベラは仮里親に預けられてが暫くはぬいぐるみと一緒に部屋の片隅にいるばかりだった、だが仮里親の優しい心に触れて。
 徐々に心を開いていき本当の里親のところにだ。
 ぬいぐるみと一緒に迎えられ優しい家族と今も一緒にいるぬいぐるみとだ。
 幸せな第二の人生を送る様になった、ジムはその話をだった。
 今はノースカロライナ州で聞いていた、見れば今の彼の前には。
 片耳の黒い雄のピットブルがいる、その横には片耳のぬいぐるみがあり。
 犬と一緒にいる短い黒髪の若い白人の男性が彼に言っていた。
「気付いたらなんですよ」
「ぬいぐるみをですか」
「はい、ブルーノは」
 片耳の彼を見つつジムに話した。
「施設からずっと一緒なんですが」
「そのぬいぐるみの耳をですね」
「食い千切って」
 そうしてというのだ。
「片耳にしました」
「多分です」
 ジムは飼い主に少し考えてから話した。
「この子は飼育放棄を受けて」
「前の飼い主にですね」
「ずっと鎖でつながれていて」
「そこを他の犬に襲われたんですよね」
「それで片耳を失いました」
「その自分とですね」
「友達のぬいぐるみは」 
 今度はぬいぐるみを見つつ話した。
「自分と同じになってもらおうと」
「そうしたんですね」
「そうだと思います」
「そうですか、じゃあこれからも」
「はい、ブルーノだけでなく」 
 彼に加えてというのだ。
「ぬいぐるみもです」
「はい、大事にしていきます」
「宜しくお願いします」
「約束します、ブルーノそれでいいな」
「ワン」
 ブルーノは飼い主の言葉に一声鳴いて応えた、見れば座っている彼は今もぬいぐるみと寄り添っている。その彼等と会ってだ。
 ジムはテキサスに帰るとベラのことも彼のことも妹に話した、すると彼女は夫と共に笑顔になった。そして自分達も家の愛犬の為にぬいぐるみを買ったのだった。


閉ざした心もぬいぐるみと一緒に   完


                 2023・3・17 
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