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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその四十九

「敵陣深くまで迫る」
「そして攻撃を行う」
「それでも発見されない」
「そうした兵器があるのか」
「想像出来ないです」
「オムダーマン軍はどういった兵器を使ったか」
 そのことがというのだ。
「全くわからないですね」
「今も尚」
「魚雷は確認出来ますが」
「その他のことはです」
「全くわかっていません」
「まことに謎です」
「オムダーマン軍が先の国境の戦いで使った兵器は何か」
 まさにというのだ。
「わかっていません」
「マウリア軍もその様ですし」
「おそらく連合軍もでしょう」
「中央政府軍も各国軍も」
 連合の彼等もというのだ、普通連合軍というと中央政府軍のことだがここでは各国政府軍も含まれている。
「わかっていないでしょうね」
「まあ彼等がわかる筈もないですが」
「連合の者達では」
 連合への晶かな侮蔑も見せて話した。
「所詮衆愚ですし」
「高貴な大学のキャンバスでバーベキューを焼いてビールを飲むなぞ」
「士官も下士官も兵士も一緒になり」
「提督すらその中にいます」
「そのうえ馬鹿騒ぎをする連中ですからね」
「所詮たかが知れています」
「その彼等なら」
 侮蔑しきって言うのだった。
「わかる筈もないですね」
「知能指数は我々よりも上とのことですが」
 これは統計にも出ている、連合のどの国の平均知能指数はエウロパ各国のそれよりもさらに高いものなのだ。
「しかしです」
「知能指数なぞあてになりません」
「現に彼等の下品なこと」
「喋り方の知性のないこと」
「それを見ますと」
「知能指数はあてになりません」
「全く以て」
 こう言って知能指数は否定する、そしてだった。
 彼等はワインを飲み共にワインの友として置かれているチーズやクラッカーをつまみつつさらに話した。
「その彼等がわかるか」
「オムダーマン軍のことが」
「我等がわからないことが彼等にわかるか」
「植民地で我々にはいつくばっていた者達が」
 帝国主義時代のことも話された。
「わかる筈もないです」
「わかるのは我々かマウリアか」
「どちらかだけですね」
「その我々が見ても」
 どうにもというのだ。
「オムダーマン軍の攻撃はわからないです」
「それも一切」
「彼等はどういう攻撃を行ったのか」
「どうして魚雷を放ったか」
「全ては謎ですね」
「まことに」
「しかし」
 ここでだ、ある士官がチーズを食べつつ言った、そのチーズはウォッシュチーズで独特の匂いと味があった。
「通常艦艇の攻撃だけを見ても」
「先の国境のことですね」
「アッディーン大統領のあの攻勢ですね」
「一日のうちにティムール軍の戦線を破壊した」
「そして一気に突破した」
「あの攻勢ですね」
「そうです、あの攻勢は」 
 まさにというのだ。 
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