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イベリス

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第八十九話 遊ぶことその一

                第八十九話  遊ぶこと
 合宿の間咲達は遊ぶこともしていた、それは三日目も同じで部活と勉強の合間にそちらも楽しんでいた、この時もそうで。
 咲達はプールで遊んでいた、当然水着だったが軽音楽部の二年の先輩がプールの中で遊ぶ咲に言ってきた。
「準備体操したわよね」
「はい、私も」
 咲は自分の傍にいた先輩に顔を向けて答えた。
「そうしました」
「やっぱりお水の中に入るならね」
「準備体操は必要ですよね」
「それをしないとね」
 さもないと、というのだ。
「危ないわよ」
「プールとか海に入る前はですね」
「というか身体を動かすならね」
 そうしたことを行うならというのだ。
「まずはね」
「準備体操ですか」
「それで身体をほぐして温めたら」
 そうしたならというのだ。
「怪我しないし泳いでも心臓麻痺とかにね」
「ならないですね」
「だからよ」
「準備体操はすることですね」
「お相撲の高見山さんもね」
 ジェシーという名前の彼もというのだ、ハワイひいては海外から来た力士のはしりとも言える人物である。
「土俵に上がる前は絶対によ」
「準備体操をされてたんですか」
「だからね」
 その為にというのだ。
「あの人も怪我をしなかったのよ」
「そうなんですね」
「遊ぶ為にもよ」
「身体を動かすならですか」
「準備体操を忘れないことね」 
 こう言うのだった。
「絶対に」
「そうしないと怪我をしたりしますね」
「遊ぶにしても」
 それでもというのだ。
「準備はね」
「必要ですね」
「演奏だって」 
 先輩は自分達の部活の話もした、茶色にした髪の毛を長く伸ばしセットしてメイクも決めていて派手な感じだが表情も言葉の色も真面目なものだった。
「事前の準備がね」
「必要ですね」
「それが遊びでする時でも」
「やっぱり準備はですか」
「必要で」
 そしてというのだ。
「忘れたらいけないわ」
「そう言われたら漫画も」
「でしょ?準備をしっかりしないと」
「描けないですし」
「本当によ、何でも最低限でもね」
 そう言っていいレベルでもというのだ。
「準備はよ」
「必要で」
「しないといけないのよ、それとね」
「それと?」
「その準備をちゃんとしていたら」
 先輩は咲と一緒にプールの中でボール遊びをはじめた、咲が持っていた水球用のそれを受け取って軽くキャッチボールの様にしてそうしている。
「気構えもね」
「出来ます?」
「ええ、それで溺れることもね」
「溺れる、ですか」
「なくなるみたいよ」
「溺れるですか」
「泳ぎでも溺れるけれど」
 それでもとだ、ボールを軽く咲に投げつつ話した、咲もそれを受け取る。ボールは彼女の横に落ちたのでそれを取ってそうした。 
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