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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその三十六

「それすらもわからずだ」
「犠牲になった人達や家族のことを一切考えない」
「そうした輩だった」
「まさに生きる価値のない愚か者ですね」
「愚か者の中でもな」
「そしてその店員を雇っている店は」
「潰れた」
 アッディーンの返事は一言だった。
「何故潰れたかはだ」
「言うまでもないですね」
「その様な愚か者を店員にする店だ」
 権力が何か、法律が何か、そして何よりも人の命の重さや悲しみや苦しみのことを全く理解せず理解しようともしない様な輩を用いる店だというのだ。
「人を見る目がないな」
「全く、ですね」
「そしてその様な店の経営はな」
 人を見る目がそこまでなければというのだ。
「わかるな」
「まともな経営もですね」
「出来る筈がなくな」
 それでというのだ。
「閉店となった」
「そうですか」
「貴官はその様な愚か者を採用しないな」
「する筈がありません」
 一切とだ、ニアメはアッディーンに即座に答えた。
「その様な愚か者はどの場所でもです」
「用いられないな」
「愚かにも程があります」
「これ以上はないまでにだな」
「親がその様な輩を子に持てば」
 その時はというと。
「まともな親なら泣きます」
「自分の子供がそこまで愚かなのかとな」
「その様な愚か者を育てたのかと」
「心から泣くな」
「はい、まことにです」
「生きる価値すらない」
「そこまでの愚か者です」
「この話は極端な例だ」 
 人選の話でというのだ。
「あくまでな、だがな」
「自分と相手の力量をですね」
「見極められないならだ」
「一軍の将として失格ですね」
「私はそうした者を用いることはしない」
 決してと言うのだった。
「人を見る目はあるつもりだからな」
「それ故にですね」
「その時は自分を恥じていた」
 そうなっていたというのだ。
「まさにな」
「左様でしたね」
「だが諸君等は違う」
「今のことで、ですね」
「確信した、ならばだ」
 それならと言うのだった。
「諸君達はだ」
「シャイターン主席を確認すれば」
「撤退か守る」
「そして戦わず」
「やり過ごすのですね」
「そうしろ、何があってもだ」
 それこそというのだ。
「彼とは戦わないことだ」
「わかりました」
「その様にします」
「そしてですね」
「他のティムール軍の提督の軍とはですね」
「戦っていいですね」
「他の者はな、無論ティムール軍の提督達も無能ではない」
 シャイターンもまた人を見る目を備えている、それで優れた将帥達を用いているというのだ。人の上に立つには人を見る目も重要なのだ。 
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