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イベリス

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第八十八話 合宿を過ごしてその一

                第八十八話  合宿を過ごして
 同人誌とサイトを終わらせた咲達漫画研究会の面々は自由時間が多くなった、それで二日目から自由時間を過ごしていたが。
 次期部長を任命されている二年生の男子が部室で咲達に言った。
「次週で勉強するのはいいけれど」
「はい、後は遊ぶ」
「それですね」
「それでも自分達がしたいならね」
 即ち自主参加でというのだ。
「同人誌やサイトやっていこうか」
「完成させて更新しても」
「さらにですか」
「このまま何もしないのもね」
 合宿の間というのだ。
「ちょっとあれだよね」
「それはそうですね」
「言われてみますと」
 咲を含めた部員達もそれはと頷いた。
「やることやりましたけど」
「それが終わって後は遊ぶだけって」
「どうにもですよね」
「締まらないですよね」
「何かしている方がね」
 次期部長はこうも言った。
「時間が過ぎるのも速いしね」
「それはそうですね」
「もうその方がいいですね」
「何かしている方が」
「その方が時間が過ぎます」
「このままだと退屈かも知れないし」
 ただ時間を過ごすだけではというのだ。
「次週や遊びをしたい人はそのままでいいけれど」
「活動したいならですか」
「部の活動を」
「それならですか」
「うん、やっていったらどうかな」
 こう部員達に話した。
「ここは」
「そうですね」
「じゃあやりますか」
「次の同人誌の作成とサイトの更新」
「その活動を」
「そうようね、あとね」
 次期部長はさらに話した。
「僕サイトにお勧め漫画の紹介もしたいしね」
「そういうのいいですね」
「そういうのあっても面白いですね」
「それじゃあですね」
「先輩はそっちも書かれますね」
「そうするよ、昔の漫画だけどね」
 こう前置きして話した。
「くりくり投手って漫画をね」
「それどんな漫画ですか?」
 咲はその作品名をついて首を傾げさせた。
「一体」
「昭和三十年代位の漫画かな」
「それって大昔ですよね」
「僕達から見ればね」
「大体お祖父ちゃんかお祖母ちゃんが子供の頃の」
「実際にその頃の漫画でね」
 次期部長は咲に話した。
「貝塚ひろしって人が描いていたんだ」
「そうなんですか」
「実は親戚のお爺さんのお家で見付けて」
 そうしてというのだ。
「読んだんだ、魔球漫画だよ」
「魔球ですか」
「そう、野球漫画でね」
「野球で魔球ですか」
「あれだよ、大リーグボールみたいな」
 全人類にとって永遠かつ絶対の敵である巨人こと読売ジャイアンツを舞台にしているおぞましい設定の漫画で出て来るものである。 
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