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超地球救済戦記!断罪王Ω〈オメガ〉~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下の無職童貞ニートの俺が全員滅亡させる‼~

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第二百三十八話 山下テツヤ その2

第二百三十八話 山下テツヤ その2

断罪王現象。それは、ある日突然、普通の社会人が社会不適合者になってしまう現象である。
この現象により社会不適合者になってしまった人々を国は『断罪者』と名付けた。

キリカが去った後のリンクマスター協会の屋上で、山下テツヤは一人で笑い始める。
そう、協会のスタッフが、まさか自分たちと敵対している組織の一員が屋上で一人でくつろいでいるとは想像もしないだろう、と。
そして、その敵が協会の中で暗躍し、内部から浸食していることにも...。
山下テツヤは協会の間抜けっぷりに突如吹き出した笑いを止めることができない。
そして、テツヤはふいに自分の人生で一番輝いていた過去の日々を思い出す。
そう、今から語られる物語は山下テツヤの過去の日々。
山下テツヤ自身が人生で一番輝いていたと自負する過去の日々...。
         *
数年前。
高校2年生の山下テツヤは校舎裏にある空き家のドアを開ける。
その空き家は本来、校内清掃の掃除用具などを収納するための場所であった。
しかし、ある日突然、その空き家は『超能力研究部』の部室になってしまったのだ。
空き家の中では、テツヤの先輩である女子高生・西村アサリがパイプ椅子に座って漫画を呼んでいた。
ドアが開かれた音に、アサリはテツヤのほうに顔を向ける。
「おや、来たね後輩」
「先輩、今日は何するんですか?」
「とりあえず、将棋でもやっとく?」
「わ、わかりました...」
この後、何が起こるか、ある程度、予想がついたテツヤは恐る恐るアサリの提案に同意する。
ちなみに、現在、校舎内では3時間目の授業が行われている。
『超能力研究部』の活動内容は、なにも超能力の研究だけでない。
適当に遊んで、適当にだべって、適当に授業をサボる。
まさに、怠惰の極み。
テツヤがこの部活動が超能力と全く関係がないと事に気付いたのは、この部に入って一週間後のことだった。
ちなみに、『超能力研究部』は学校側から正式な部活動であることを認められていない。
将棋の対局中、自身の敗北を確信したアサリが奇声をあげながら将棋盤をひっくり返す。
「後輩、片付けお願いね」
「は、はい...」
通常であれば、殴り合いの一つでも起こってもおかしくはないのだが、残念なことにテツヤはアサリに惚れているので、ほぼ言いなり状態である。
テツヤがこの支離滅裂摩訶不思議な部活動に入部しているのも、ぶっちゃけアサリのことが好きだからである。
アサリは幸運なことに、性格は最悪だが、見た目がいい。
「ところで、後輩さァ、私、クラスの連中に最近、新しいあだ名つけられたんだよね」
テツヤは部室の床に散らばった、将棋の駒を拾いながら、とりあえず返事をする。
「どんな、あだ名ですか?」
「味噌汁」
「へ?」
「だから、あさりの味噌汁ってことよ」
「あっ、そうすか...」
リアクションに困ったテツヤは将棋のコマ拾いを黙々と続ける。
テツヤは内心、なんでこんなことしてるんだろうと追想し始める。
それは、高校2年生になったばかりのこと。
テツヤの高校は部活動が全生徒に強制されていた。
美術部に入っていたテツヤは、お世辞にも美人とは言えない醜悪な女子部員達の腐女子トークについていけず、美術部を退部した。
テツヤは怒っていた、なぜ女子たちは自分たちが性的に搾取されることに怒りを唱えながら、平気で性的少数者同士の恋愛を必要以上に尊きものとして美化するのか。
まさに、矛盾の極みであった。
「先輩はどうなんですか、そこんとこ」
早めに帰宅して、部活をサボったことを母親に叱責されることを予測したテツヤは、図書室で部活動が終わる時間帯まで時間をつぶすことにした。
そして、その際に自分をスカウトしてきた、ほぼ初対面のアサリに、つい、そう尋ねてしまったのだった。
「なによ、いきなり」
「だから、女子をエロい目で見たりすると、男子が非難されるのに、なんで女子どもは平気でBLを最高‼とか言えるんですか?これってどう見ても矛盾してますよね?」
「とりあえず、うちに入部しなさい」
アサリはテツヤの質問を無視して、一方的に入部を打診してきた。
テツヤはとりあえず、アサリが美人だったので、『超能力研究部』に入部することにした。
部室に入った瞬間、アサリは先程のテツヤの質問について語り始めた。
「女はねぇ、そーゆう生き物なのよ」
「そーゆう生き物って、どーゆう生き物なんですか?」
「だから、女は結局そーゆう生き物。みんな矛盾してんのよ、女なんて。だってよく考えてごらんなさい、普段はエロいことは不潔だ最低だと言いながら、結局イケメンに口説かれたついでに押し倒されたら、そのままベットイン。でも女がちょろくて矛盾ばかりの生き物だから、そーやって地球人口が増え続ける。女がなんでもかんでも頭だけで考える利己的な生き物だったら人類なんてとっくに滅んでるわ、そうなんです、絶対そーなんです」
「でも、やっぱりケツに入れるのは不衛生ですよぉ‼」
テツヤの怒りに、アサリは机を両手でバンバン叩きながら答える。
「いいのよォ!フィクションならァ!」
その瞬間、テツヤはアサリも所詮、美術部の腐女子どもと大して変わらない事に気付いてしまった。
「でも、先輩は美術部のやつらと違って美人だもんな...」
入部初日の出来事の追想を終えたテツヤはアサリが将棋盤をひっくり返して床にばらまいた将棋の駒を全て拾って専用のケースに戻す。
先輩は授業中にコンビニで買ってきたと思われるポテチをバリボリ食いながら、紙になにかのイラストを書いている。
よく見ると、先輩の右手には包帯が巻かれていた。
テツヤはとりあえず、それを見なかったことにして、先輩が書き上げたイラスト↓を目を通す。
『鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤鬤
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テレビやネット上で見覚えのあるイラストを見て、テツヤは戦慄した。
「後輩さぁ、この前、私が家でこのイラスト書いてたらさぁ、彼氏に別れようって言われた」
「でしょうね」
アサリのその言葉は、テツヤにとって二重の意味でショックだった。

次回予告 山下テツヤ その3 
 

 
後書き
次回もお楽しみに 
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