クラシックドーナツ

　　　　　　　　　　　　　　　　クラシックドーナツ
　小岩井麻利絵は高校に通いながら学校の最寄り駅の傍にあるショッピングモールの中にあるドーナツ店でアルバイトをしている。薄茶色のボブヘアに大きな丸い目と小さな唇を持っている。背は一五九位で胸が目立っている。
　いつもドーナツを焼きカウンターで接客をしている、その中で。
　彼女は店長の高田智和丸い鼻に切れ長の目に面長の顔と引き締まった唇と短くした黒い髪の毛と一七五位のすらりとした身体の彼にこんなことを言った、制服の上から着た店のエプロンが実によく似合っている。
「あの、最近です」
「どうしたのかな」
「はい、オールドファッション売れてますね」
　この種類のドーナツがというのだ。
「前以上に」
「オールドファッションは前からだよ」
　高田は麻利絵にこう返した。
「そのドーナツは」
「そうですか」
「一番安定して売れるのが」
　その種類のドーナツはというのだ。
「何といってもだよ」
「オールドファッションですか」
「それでね」
「最近売れてるというよりも」
「安定してだよ」
　それでというのだ。
「売れてるよ」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
「そして？」
「オールドファッションは基本だから」
　こうも言うのだった。
「何といっても」
「ドーナツの基本ですか」
「これなくしてだよ」
　まさにというのだ。
「ドーナツはないよ」
「そこまでのものですか」
「うん、オールドファッションは売れてね」
「基本としてですね」
「そこからだよ」
　まさにというのだ。
「色々なドーナツが出ているんだよ」
「そうなんですね」
「だからオールドファッションは有り難いね」
「そうしたドーナツなんですね」
「売れるし基本だからね」
　高田は麻利絵に笑顔で話した、そしてだった。
　麻利絵もそれならと頷いた、だが。　
　家に帰ると弟の慎吾十歳年下で七歳の彼にこう言われた。