妖々夢
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第二章
「何でそんな夢見るか」
「それね」
「さっきの乱歩さんの言葉は兎も角」
愛生はそれは置いて話した。
「夢って現実と関係あるわね」
「それはね」
美菜子も否定しなかった。
「さっきの言葉にしてもね」
「関係あるからなのね」
「出た言葉でしょうし」
江戸川乱歩からというのだ。
「夢は起きてる時にあったことがよ」
「出るわね」
「ええ、しかしね」
「ファンタジーのことなんて」
「ないわね」
「ある筈ないでしょ」
「この世界ではね」
美菜子はこう返した。
「ないわ」
「そうでしょ、だから私もね」
「不思議に思ってるのね」
「どうしてかってね」
そうした夢ばかり見るのかとだ、愛生は述べた。
そして牛乳をストローで飲んでまた言った。
「考えてるのよ」
「ちょっといいかしら」
美菜子はここまで聞いて愛生に言った。
「絶対に原因があるから」
「夢にも」
「あんた最近何かしてない?」
「ファンタジーなこと?」
「してない?」
「お姫様や魔法使いになること?」
「してない?」
愛生の顔を見て問うた。
「そうじゃないの?」
「してる筈ないじゃない」
愛生はむっとした顔になって答えた。
「幾ら何でも」
「そうよね」
美菜子もその通りと返した。
「そんなこと異世界に行かないとね」
「そうよ、異世界もの好きでも」
それでもというのだ。
「行ったことはないから」
「当然ね」
「だから尚更よ」
「そう言うのね」
「ええ、どうしてそんな夢ばかり見るのかってね」
「不思議なのね」
「それで今美菜子にお話してるのよ」
こう話した。
「実際にね」
「そうなのね、それじゃあね」
美菜子は愛生の話をここまで聞いて言った。
「私今日あんたのお家行っていい?」
「そうしてなの」
「丁度帰り道一緒でしょ」
「そうね、美奈子のお家って学校から見てね」
愛生は美菜子の提案を受けて考える顔になって答えた。
「私のお家の最寄り駅の一つ向こうよね」
「だから途中下車したら」
それでというのだ。
「いいだけだしね」
「私のお家に行くには」
「それなら行くの問題ないでしょ」
「そうね」
「それじゃあね」
それならと言うのだった。
「今日ね」
「私のお家に来て」
「原因があるかどうかね」
「見てくれるのね」
「そうするわ、じゃあね」
「ええ、今日来てね」
家にとだ、愛生も応えてだった。
そうして一緒にだ、愛生の家に向かい。
彼女の部屋に入った、それまで美菜子はこれといって何も言わなかったが愛生の部屋の中を見てすぐにだった。
ジト目になってだ、隣にいる愛生に行った。
「謎は全て解けたわ」
「お祖父ちゃんの名にかけて?」
「いや、お祖父ちゃん定年までは刑務所の看守さんでね」
それが仕事でというのだ。
「今は自転車置き場の管理人さんだから」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「そうは言わないから」
「そうなのね」
「その漫画の話は置いておいて」
そしてというのだ。
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