星河の覇皇
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第八十三部第三章 今だ目覚めずその十一
「本当に違うな」
「今それを実感しますね」
「アスランはオムダーマンって地域の中心だよ」
「今後の立場はそうですね」
「嫌でもな」
それを受け入れたくなくとも、というのだ。124
「そうなるさ」
「そうですよね」
「というかまだな」
「首都でなくなっても」
「その地域の中心だからな」
それでというのだ。
「ましだろ」
「妥協ってやつですね」
「そうさ、そんなに首都がいいならな」
「バグダートにですか」
「行くしかないだろ」
「市役所の職員でも」
「その仕事辞めてな」
そのうえでというのだ。
「そうするしかないだろ」
「シビアですね」
「それが現実だよ」
先輩の言葉は達観したものだった。
「結局は」
「首都がいいのなら」
「どうしてもっていうのなら」
「もうな」
それこそというのだ。
「バグダートに行くべきだよ」
「行くことは自由ですね」
「実際にあそこには今人が集まってるしな」
それも急にだ、バグダート星系の人口はアッディーンが首都に定めてから急激に増大していっているのだ。
「賑わってもいるさ」
「もうサハラで一番人口が多い星系ですね」
「そうもなってるさ」
「本当にあっという間にですね」
「賑やかになってるさ」
「そうなんですね」
「そのバグダートがいいならな」
それならとだ、先輩はさらに話した。
「本当にだよ」
「そっちに行くべきですね」
「そうしなよ、けれどお前ここ好きだろ」
先輩は新入りの目を見て彼に問うた。
「そうだろ」
「ここで生まれて、ですからね」
「育ってきたんだったな」
「学校は大学までこっちでした」
「バグダートだな」
「ずっと」
まさにというのだ。
「そうでしたし」
「それでだな」
「はい、今も」
まさにという言葉だった。
「ここ好きですから」
「離れるつもりはないな」
「はい」
実際にという返事だった。
「俺も」
「そうだよな、だったらな」
「もう、ですね」
「ここでな」
「暮らしていくべきですね」
「好きな場所に住めたら幸せだよ」
先輩は今度は達観した様に話した。
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