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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその十

「その頃のオムダーマンの首都星系がここでな」
「ずっとそうでしたけれど」
「サハラを統一したらな」
「今まさにですね」
「そんなことになったらな」
「もうこのアスラン星系では」
「サハラの端だからな」
 西それも八方公で言うと南西のだ。
「そこに首都があるとな」
「色々不便ですね」
「やっぱり首都ってのはな」
 先輩は新入りにさらに話した、今は仕事が暇なのでそれぞれの席に座って適当にペンを弄りながら話しているのだ。
「中央集権国家だとな」
「それなら余計にですね」
「位置が大事でな」
「こんな端っこの星系だとですね」
「幾らオムダーマン建国以来の首都でもだよ」
「首都としてあるには無理がありますね」
「実際首都移転するまでな」
 その時までというのだ。
「無理が出て来ただろ」
「そうでしたね」
「ああ、だからな」
「それで、ですね」
「首都機能の移転もな」
「当然ですね」
「名残惜しくてもな」
 国としてはとだ、先輩公務員は国家に意志があると認識したかの様に話した。
「それでもな」
「仕方ないことですね」
「ああ、ここはサハラ全体の首都にあるには無理があるんだよ」
「端っこの方にあるので」
「中欧集権国家ならな」
 こうした形式の国家ならというのだ。
「もう国の端から端まで目が届かないと駄目だろ」
「そして行き来しやすい」
「そうじゃないと駄目だからな」
「首都もですね」
「バグダートになったんだよ」
 そこに移ったというのだ。
「あそこにな」
「それで移ったんですね」
「そうだよ、本当にな」
「変わったんですね」
「ああ、そういうことだよ」
「それはわかってますけれどね」
「寂れたからか」
「俺ここで生まれ育ってますから」 
 それでとだ、新入りは先輩に話した。
「余計にです」
「気持ちはわかるさ、俺もこっちだからな」
「アスラン生まれですよね、先輩も」
「この星で生まれてな」
 そしてとだ、先輩も話した。
「育ってきたさ」
「そうですよね」
「けれどな」
「それが、ですね」
「ああ、この前までの賑わいがな」
「落ちて」
「まだ地方の中心でもな」
 オムダーマンというのそれのだ。
「そうだけれどな」
「それでもですよね」
「やっぱり寂しいさ」
 その気持ちは否定出来なかった、先輩にしても。
「本当にな」
「どうしてもですね」
「首都と地域の中心だとな」
 一国のそれと、というのだ。 
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