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神々の塔

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第六話 宿屋と道具屋その六

「犯罪やからな、覗きは」
「逮捕されるな」
「それもつくな」
「ええもんやないな」
「全くな」
「そやから体臭対策でもやで」
 綾乃はあらためて話した。
「お風呂はあったらな」
「入らんとあかんな」
「体臭も垢も汗も汚れもお年て」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「やってくことやな」
「そやで」
 まさにとだ、綾乃は今度は芥川に話した。
「宿屋にお風呂があったら」
「入浴は絶対やな」
「ほんまに」
「お風呂は入らんとな」
 芥川も真顔で言った。
「清潔さは病気対策にもなるし」
「それも大きいな」
「しかも疲れも取れる」
 入浴によってというのだ。
「肩や腰、関節のそういったところがな」
「取れるな」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「お風呂は入られたらな」
「入るべきやな」
「ああ、サウナもええしな」
 こちらもというのだ。
「じっくり汗かいてな」
「それでも疲れ取れるか」
「身体の中の悪いもんも出るし」
 汗をかいてというのだ。
「溜まってる毒素とか老廃物とかな」
「そうしたもんがやな」
「出るからな」
 だからだというのだ。
「汗をかくのもな」
「ええんやな」
「ああ、兎に角あったまってな」
 風呂でというのだ。
「肩とかの疲れを取って」
「そしてか」
「悪いもんもな」
「出すんやな」
「そうするんや、兎に角お風呂はな」
「入るべきやな」
「最低でもシャワーや水浴び位はするんや」
 芥川はこちらもと話した。
「身体を奇麗にするだけでもちゃうしな」
「兎に角清潔にか」
「そういうことや、ほな宿屋に風呂があったら」
「入るんやな」
「絶対にそうせんとな」
 こうした話もしつつだった。
 十人は十階を進んでいき十一階への階段とそのすぐ傍にある宿屋と道具屋の前に来た、宿屋と道具屋はセットで並んでそこにあり。
 宿屋の店員は悪魔だった、綾乃は悪魔の老人の店員に尋ねた。
「魔界から来てるん?」
「はい、我が主ベール様のご命令で」
「ベールってあの魔神の」
「左様です、魔界の君主のお一柱であられます」
 老人は綾乃に畏まって答えた。
「そしてこの塔にもです」
「出て来るんやね」
「この世界を司る神霊の一柱として」
「そやったね」
「私はベール様のご領地でホテルを経営していたのですが」
 老人は自分のことも話した。
「息子夫婦に任せ引退していたのですが」
「声かけられたんやね」
「妻と共に」
「それでなんやね」
「今はこの塔で、です」
 綾乃に微笑んで話した。 
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