X ーthe another storyー
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第七話 沖縄その三
「こんばんは」
「言った通り来たか」
「はい」
神威に丁重な声で答えた。
「お邪魔でしょうか」
「いや」
神威は言葉でそうではないと答えた。
「来ると思っていたからな」
「だからですか」
「待っていた、邪魔とはだ」
「思われていませんでしたか」
「そうだ、それでだが」
「わらわが来た理由ですね」
「大体察しはつくが」
「貴方に決断をお願いしたくです」
「来たか」
「左様です」
まさにというのだ。
「この度は」
「そうか、天の龍のか」
「その運命を選ぶことがです」
まさにというのだ。
「貴方が為すべきことです」
「俺が天の龍を選べばだな」
「人間は救われます」
そうなるというのだ。
「必ず」
「そうなるのか」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「どうかです」
「俺は天の龍になってか」
「人間を救って下さい」
是非にというのだった。
「どうか」
「そして俺が天の龍になれば」
神威は丁に顔を暗くさせて問うた。
「小鳥は」
「そのことは」
「俺は小鳥が殺される時を見るのか」
丁に問うた。
「そうなるのか」
「それは」
「どうなんだ」
「そうよ」
ここでだった、誰かの声がした。
神威がその声がした方を見ると庚がいた、だが彼は彼女のことを知らず目を鋭くさせて彼女に問うた。
「誰だお前は」
「庚。その人の妹よ」
「姫様のか」
「ええ、そして地の龍を率いる者よ」
「姫様と同じ立場か」
「私は地の龍でなくて夢見も出来ないけれど」
それでもというのだ。
「夢の中に入ることは出来るの」
「それでここに来たのか」
「ええ、貴方を迎えに来たのよ」
「俺をか」
「姉さんは自分の都合のいいことしか言ってないわ」
こう話すのだった。
「そのことを言っておくわ」
「どういうことだ」
「言ったままよ、貴方が天の龍を選べばね」
「人間は救われるな」
「けれど地球は滅ぶわ」
そうなるというのだ。
「人間が地球を穢しているのだから」
「だからか」
「今の地球のことは知っているわね」
「環境破壊のことか」
神威は庚にこのことを話に出して応えた。
「それか」
「そうよ、環境破壊でね」
まさにそれによってというのだ。
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