ピンクのドレスを着ても
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第二章
「ピンクのドレスを着てな」
「色がわからないのに」
「ああ、何が嬉しいんだ」
こう言うのだった。
「色がわからないとな」
「ピンクでもね」
「可愛いとか思わないのにな」
「お洒落をしてもね」
「どうしてなんだ」
「それはあれよ」
百合子は洋介にすぐに答えた。
「ふわりは自分がお洒落をしたのを見て喜んでる私達を見るのがね」
「好きなのか」
「それでよ」
だからだというのだ。
「ふわりはいつもね」
「服を着せてもらうと嬉しいのか」
「ふわりはいい娘だから」
その性格がというのだ。
「私達家族が笑顔ならね」
「嬉しくてか」
「そしてそんな私達が見られるなら」
「服を着たいんだな」
「そうよ、勿論お洒落出来て嬉しいけれど」
「女の子らしくか」
「それ以上にね」
そのふわりを抱きつつ話した。
「私達が笑顔になって」
「それを見るのがか」
「好きなのよ」
「そういうことか」
「家族の笑顔を見ることが好きな娘だからね」
「そう思うと本当にいい娘だな、ふわりは」
洋介は母の話をここまで聞いてあらためて言った。
「じゃあ俺達もな」
「そんないい娘だからね」
「生きものは大事にすることは絶対でもな」
「ふわりは家族でそんないい娘だから」
「より一層大事にしないとな」
「そうね、それじゃあね」
「ああ、これからも大事にして」
そうしてというのだった。
「可愛がっていこうな」
「家族としてね」
百合子はそう言いつつ今もふわりを抱いていた、ふわりはその手の中で今も尻尾を振っていた。ぬくもりを感じてであるが二人の笑顔も見てだった。そんな彼女を見て一家はまた笑顔になったのだった。
ピンクのドレスを着ても 完
2023・2・21
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