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酒飲みだから余計に注意

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第一章

                酒飲みだから余計に注意
 サラリーマンとして日々働いている岩城昭は酒それも日本酒が大好きである、それで家でもよく飲むが。
「今日はおつまみないんだな」
「ええ、日本酒に合いそうなのはね」
 妻の祥子は夫に答えた、黒髪をショートにしていて丸めの顔で大きなアーモンド形の目に波だった感じの唇が印象的だ。背は一五六位で普通のスタイルだ。
「ないわよ」
「お塩あるかな」
 夫はそう言った妻にこう返した、四角い眼鏡で長方形の顔で黒く短い髪の毛で鼻は低めで歯並びがいい。背は一七一位で痩せている。
「それかお味噌」
「それでおつまみにするの」
「おつまみないなら」
 それならというのだ。
「そういうので充分だよ」
「どっちもあるけれど」
 それでもとだ、妻はどうかという顔で返した。
「お塩やお味噌そのままだと」
「あるならいいじゃないか」
「塩分高過ぎない?」
「そんなに口にしないよ」
「いや、それでもよ」
 どうにもという口調でだ、妻は夫に言った。
「やっぱりね」
「塩分多いか」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「どうもね」
「そうかな」
「白ワインとチーズとクラッカーあるから」
 妻は夫にそういったものをテーブルの上に出して言った。
「こっちにして」
「今日はか」
「ええ、お塩とかお味噌そのままはね」
 流石にというのだ。
「塩分高過ぎるわ」
「それでなんだ」
「あなたワインも飲むでしょ」
「日本酒が一番好きだけれどね」
「けれど塩分には気をつけないとね」
 だからだというのだ。
「そうしてね」
「それじゃあ」
 昭は特に反抗的な性格ではない、むしろ素直で大人しい方だ。だから妻の言うことに基本頷き今もそうであり。
 それならとなってだ、この日は白ワインを飲み。
 チーズとクラッカーを肴にした、実は祥子は。
 夫の塩気好きについてだ、彼の母自分から見て義母にあたる日美子に聞いていたのだ。
「あの子昔からね」
「塩気の強いもの好きなんですか」
「子供の頃からね」 
 白髪頭の皺だらけの穏やかな顔で言うのだった。
「塩辛とか塩ジャケとか」
「それで他のお料理もですか」
「塩気が強いものが好きなのよ」
「しかもあの人お酒好きですよね」
「ええ、大人になってからはね」
「それも日本酒が」
「お酒好きだと」
 それならとだ、日美子は祥子に話した。 
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