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展覧会の絵

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第十七話 死の島その十一

 そのうえで彼に条件を出した。その条件はというと。
「君は何が欲しいのだ」
「何かといいますと」
「そうだ。何が欲しいのだ」
 首だけは動いた。それでだ。
 顔を上げて彼に必死の顔で言うのだった。
「それでだ。金か、それとも何だ」
「欲いものはあります」
 十字は動きを止めなかった。そのうえでの言葉だ。
「僕にも」
「そうか。それではだ」
 由人は十字の今の言葉に希望を見た。それでだ。
 必死さをさらに増して十字に言う。ここぞとばかりに。
「何でも言ってくれ。欲しいものは何でもやろう」
「何でもですか」
「そうだ。それでは何だ、欲しいのは」
「汚れた魂です」
 これが欲しいとだ。十字は答えた。
「それが欲しいのです」
「汚れた魂だと!?」
「そうです。貴方の汚れた魂」
 十字は由人に告げていく。
「それが欲しいのです」
「何っ、それではやはり」
「裁きの代行を行います」
 その汚れた魂を奪う、その為にだというのだ。
 そしてだった。まずは。
 由人の下半身の汚れた棒、多くの罪もない少女を陵辱してきたそれを右手で握った。
 そこから瞬時にだった。その棒を握り潰したのである。
 声にならない絶叫が起こった。十字の白い右手がどす黒い血で染まる。
 その絶叫を聞き血を見ながら。十字は由人に告げた。
「僕の握力は百あります」
「・・・・・・・・・」
「普通の人より遥かに強いのです」
 そしてその握力でだというのだ。
「必要とあらばこうして棒なぞ握り潰せるのです」
 実際に握り潰しての言葉である。
「それも軽く。そして」
 さらにだった。今度は。
 睾丸だった。それもだ。
 右手で握り潰す。再び声にならない絶叫が起こる。
 これだけで息も絶え絶えになる由人にだ。十字はまた告げたのだった。
「これで貴方は二度とおぞましい宴を楽しむことはできません」
「わ、私の楽しみが・・・・・・」
「そして裁きの代行はこれで終わりではありません」
「まだあるというのか」
「そうです。今度はです」 
 あるものを出してきた。それは。
 車輪だった。巨大な、十字の身体の大きさ程もある木製の、樫のそれと思われる巨大な車輪を持って来た。それを両手に持ちながらだった。
 彼はそのおぞましいものが潰された由人にまた告げたのだった。
「今度はです」
「それは車輪か」
「車輪刑というのを御存知でしょうか」
 ここでも淡々と言う十字だった。
「それは」
「車輪刑、何だそれは」
「欧州にあった処刑です」
 それだというのだ。
「この車輪で両手両足を砕くのです。
「何っ、では今から私は」
「そうです。貴方はこの車輪で両手両足を砕かれます」
 これからどう処刑されるのか。それを由人本人に宣告した。
「そうなるのです」
「私の手足が」
「おぞましい下半身のもので終わらせるつもりはありません」
 最初からだ。そんな考えはなかったというのだ。
「こうしてこの車輪で砕きます」
「そんなことをすれば」
「貴方は確実に不具者になります」
 両手両足を失う。それによってだというのだ。 
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