展覧会の絵
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第十七話 死の島その二
「運び込もう」
「はい、ではすぐに」
「場所は。あそこだよ」
「教会の地下室ですね」
「用意ができているからね」
それでだというのだ。
「そこに運び込もう」
「では後は」
「苦しめ抜いてね」
淡々とだ。十字は後ろに来ていた神父、彼の後ろに影の様に寄り添う彼に言った。
「そのうえで地獄に送るよ」
「いつも通り」
「そうするからね」
こう言ってだ。気絶させた四人をワゴン車に放り込んだ。そのうえでだ。
十字は神父の運転する車で四人を教会に連れ込んだ。四人が目覚めたのは。
暗い。コンクリートの殺風景な部屋だった。灯りはなく冷たいコンクリートの感触が背中にある。その冷たさと硬さに嫌なものを感じながら目覚めると。
身体が動かなかった。両手両足がバツの字に引っ張られそのうえで手首と足首が縛られ何処かで止められているのがわかる。顔を向ければ確かに縛られその縄が杭にあった。
しかも誰もが全裸にされている。彼等がわかったのはこうした状況だ。
まず鳩山がだ。仲間達に問うた。
「おい、これ何だよ」
「俺が聞きたいよ」
「俺もだよ」
菅と山岡がこう彼等に返してきた。実に忌々しげな口調だ。
そして彼等はその忌々しげな口調でだ。さらに言ったのだった。
「あの金髪野郎をぶちのめそうとしてたよな」
「で、何でこんなところにいるんだよ」
「しかもこうして縛られてな」
「何で裸なんだよ」
彼等はこの事情がわからなかった。何がどうなっているのか。
だがその彼等にだ。彼の声が告げてきたのだった。
「起きたみたいだね」
「!?その声は」
「まさか」
「そうだよ。僕だよ」
四人の目の前に暗がりの中からだ。十字が姿を現してきた。
白い、あの詰襟の制服を着ている。その彼は淡々としたいつもの口調でこう四人に言ってきたのだ。
「君達をここに連行したよ」
「連行?何だそりゃ」
「どういうことだよ」
「これから君達はこの世で最も恐ろしい責め苦を受けてその悪事に相応しい報いを受ける」
十字は彼等に宣告した。
「そのうえで地獄に行くんだよ」
「何っ、手前まさか」
「俺達を殺すってのかよ」
「そう言うのかよ」
「ただ殺すだけじゃないよ」
言いながらだ。十字は。
何処からか焼けた火箸を出してきていた。暗がりの中にその火箸が赤く燃えているのがわかる。
その火箸をだ。一川の睾丸に押し付けたのだ。
「ぐわああああああああ!!」
火箸が睾丸に押し付けられた瞬間にだ。一川は絶叫した。急所が焼けるその痛みに。
その絶叫を無表情で見下ろしながらだ。十字はさらに言うのだった。
「痛いかな」
「手前、何しやがる!」
「言った筈だよ。この世で最も恐ろしい責め苦を与えるってね」
「そうして殺すってのかよ」
「そうだよ」
その通りだと言いながらだ。そのうえでだった。
十字は一川のその両脚の間に来てだ。それでだった。
右足を前にさっと動かした。その動きでだ。
一川の焼けて煙さえ出している急所を蹴った。忽ち鈍い嫌な音がした。
そしてその焼けた場所から血が、どす黒い血が流れる。睾丸が潰れた。
一川は声にならない叫び声をあげた。あまりもの激痛に気を失いそうになる、だが。
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